この聖痕は、罰か祝福か。悪魔は「死ね」と、天使は「生きろ」と囁いた。

厳格な聖アンセルム高校で「空気」のように生きる少女、マリー・レインストーン。彼女にとって最大の恐怖は、誰かの目に留まることだった。

だがある日、クラス全員が見守る中で、彼女の体に突如として「救い主」の聖痕が浮かび上がり、血を流し始めたとき、その恐怖は過去のものとなる。

説明不能なその現象は、マリーを自身の魂を賭けた超常的な闘いの渦中へと突き落とした。彼女の前に現れたのは、二人の謎めいた存在。その傷は不当な罰であり、救いは「死」にあると囁く少女、ルシエル。そして、その苦しみは聖なる試練であり、耐え抜く先にこそ光があると説く少年、カレブ。

現実が歪み、愛する者さえも脅威に変わる悪夢の中で、マリーは自身の信仰の限界を試される。

その身に刻まれた聖痕は、祝福か。それとも、彼女を「深淵」へと引きずり込む呪いか——。