1万年前。1万年後くらいにまた。
プロローグ「1万年前の貴方へ」
...はっきり言おう。私は最強だ。神や悪魔ですらも仇なす事は出来ないと思う。いや、出来なかった。おや?鬼が戦いに来たな...こいつの二本角。そのうちの欠けた右角。確か、戦鬼グレノオーラか。人族を10万以上。魔族を3万人以上殺したと言われている鬼である。
グレノオーラは棍棒を右手で持ちながら右肩に置き、近付きながら野太い声で話しかける
「今度こそお前に勝利する!ゼルガ・ギセルド。」
私...ゼルガ・ギセルドは完全に人間のような姿をしている。黒髪のセンター分け。美少年...というか美少女みたいだとよく言われる。男なのだが...グレノオーラにそう言われ、少年のような高い声でニコニコしながら答える
「...いいだろう。それでは、来い。」
そう言うと、棍棒を真上に構えてゼルガに向けて突進してくる。
「いくぞ!不敗の魔帝:ゼルガー!」
そう雄叫びを上げながら来るが...
「もう、終わっているさ。」
と、ゼルガは剣の鞘から少しだけ抜刀してすぐに鞘に戻す。
「「第零撃」」
...その瞬間、グレノオーラは体中に浅い切り傷ができる。
「ぐああああぁぁぁ。」
そう言いながら気絶をしてしまった。ゼルガは静かに言った
「...つまらんな。戻るか」
愛しき魔王様の元へ...戻っている道中、話し声が聞こえた
人型の狼と人型の豚の姿をした魔物が会話をしている。人型の狼は話しだす
「どうやら魔王様は鍛錬をするらしいぞ。」
そう小声で話す
「なに!?そりゃまじかよ。あの方が鍛錬なんかしたら鬼に金棒ってやつじゃないか!」
と豚の姿をした魔物は歓喜の声を上げる
「おい、鬼は敵対種族だぞ!発言には気を付けろ!魔王城だぞ!」
と周囲を見渡し、焦りながら言う。
「...やはりそろそろ、私も子から離れるべきということなのかもしれないな。手紙を書こう」
魔王の部屋へと入り、机の席へと座り、紙に筆を走らせる
「「1万年後に転生して帰ってきます。これからの成長を楽しみにしています。ゼルガより。」」
...転生しよう。帰ってくるのは...1万年後くらいにしておこうか。「転生」
部屋の中は静かに光に包まれた
〜1万年後〜
ここは...どうやら転生は成功したらしいな。とにかく一旦この辺を確認してみるか
「「全視眼」「並列思考」」
そうして、直径10kmの地形、人口密度、その他諸々言葉通り全てを一瞬で視ることの出来る「全視眼」
情報処理能力を上げるための「並列思考」を使用する。並列思考は...1万位でいいか。
「ほう...なるほど、理解は出来た。やはり1万年ともなると地形も村も変わってくるか。」
だが、ある程度は理解した。俺の見た目は全くもって変わってはいない。そしてここは、魔王城跡...か。滅ぼされたか?いや、魔王様であればそんな事などはないと思うのだが...別の場所へと移したか?それならばすることは一つだな。
「旅に出ようか。」