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037 奪い合う世界

ガラティンで空を飛ぶオレに誰かが呼びかけている。

オレは辺りを見渡すと、レシアが傷つきながらも手を振っていた。


「れ、レシア!無事だったのか!」


レシアの隣にはエンジュもいて、2人とも怪我をしているが何とか無事でいた様だ。円卓の騎士のケイの姿はない。


オレは2人の元へ行こうとする。が、光線が飛んでくる。


「うわっ!」


ギリギリでガラティンで弾き飛ばす。オレの目の前には、さっき吹き飛ばしたランスロットの姿があった。


「よそ見している場合か…?メドラウト…」


そういうと目にもとまらぬ速さで向かってきて、アロンダイトでオレを叩きつけた。

ガラティンで防ぐがそのチカラは圧倒的で持ちこたえられない。


今度はオレが吹き飛ばされて建物を突き破り地面に叩きつけられる。


「くっ…なんて強さだ、あの剣…」


砂煙が舞い、瓦礫が周りに落ちる中、オレは考えた。あの魔法具を止める方法を。


ドドドと鈍い音が聞こえたと思った瞬間、壁が破壊されて魔獣が突っ込んで来た。


―グガアアアアアア!!


「…クソ!魔獣かっ!」


ガラティンの魔法の斬撃で襲ってきた魔獣を焼き尽くす。

まだ街には魔獣が数体いる様子だった。


「はっ!?」


「同じことを何度も言わせるな!!」


ランスロットはすぐ頭上まで近づいて来ていた。アロンダイトを振り下ろす。

オレはそれを両手のガラティンで受け止める。


―ガチンッ!!!!


激しい音と衝撃波が煙や瓦礫を吹き飛ばす。地面に両足を付いて何とか持ちこたえようとするが骨が軋む。息が出来ない。一瞬でも気を抜けばバラバラにされる。

それだけのプレッシャーがアロンダイトの攻撃にはあった。


「ぐ……!!!」


「どうした!!!その程度か!!!」


「ぐ…ぐ…ら、らぁああ!!!!」


足元に落ちている瓦礫を蹴ってランスロットの顔面に当てる。しかし、魔法障壁で傷はつかない。

一瞬気を反らせたことで、片方でアロンダイトを支えながら、もう片方の剣に炎を纏わせ、ランスロットの腹部を切りつける。


激しい音と共にランスロットをその攻撃が直撃するが、びくともしない。

ランスロットの左腕のパンチを顔面にもろにくらい、空に吹っ飛ばされてしまう。


上空で大勢を立て直してランスロットがいた方角を見るが。


「いない…!?」


「こっちだ!」


真横にランスロット近づいておりアロンダイトの一振りが目の前に来る。

咄嗟に幻影からサザンクロスを出して防ぐが弾かれて飛んでいく。

しかし、また地面に叩きつけられてしまった。


「ハァ…ハァ…」


オレはロンギヌスを取り出して地面に突き立てて立ち上がる。


「…なぜ、そこまで生にこだわる?…この世は腐っているんだぞ、生きていて良いことなど何もない」


ランスロットがオレの目の前に降り立ち、尋ねる。


「急に……なんだ……」


「お前も、お前のそのチカラも、この世界を象徴している様ではないか……ならわかるはずだ。この世は、奪い、奪われる世界。殺し、殺される世界だ…そんな世界で生きていても希望などない」


ランスロットは続ける。


「なに言ってんだ…あんた」


「残るのは、憎しみと悲しみだけだ…アンブローズ様はそんな世界を救済しようとされている。こんなに崇高で志の高い方はいない…お前も、こちら側に付けば…」


「…ふざけるな!!これが、これが救済だっていうのか!!」


オレは手を広げて街を見渡す。暴れる魔獣。傷ついた人々。壊れた街並み。


「お前らがやってることはただの殺戮と同じだ!!!ただ、傷つけてそれを正当化しているだけだ!!」

 

「………ふん、戯言だな。お前も円卓の騎士から武器を奪ってるではないか、それで人を傷つけるではないか。相手がどんな連中だろうと、やっている行為は同じだ」


「なん…だと!?……ち、違う!!オレは!!」


「なにも違わないさ!!お前は奪われたから奪い返しているだけだ…同じだよ、俺と!!俺も…この腐った世界から奪われた。…だから世界から奪い返すのさ!」


ランスロットは憎しみの目をアロンダイトに向ける。


「お前が…奪われた??円卓の騎士の第1席が何言ってんだ…!!」


「ふん、なら教えてやろう………この、アロンダイトという血塗られた魔法具についてな」


アロンダイトの剣先をオレに向ける。


「俺はトリスタンやガウェインの様な貴族や名門の出では無い、一般的な家庭の生まれだった……父親は身を焦がして働き、母親は身体を売って金を貸せいだ。俺を騎士学校へ入学させるためにな…」


ランスロットは続ける。


「両親にとって俺は拠り所だった。魔法の才能があった俺は貴族や王族にも取り入る可能性があったからな…。一般家庭から脱する希望だったんだろう。俺も、そんな両親に認められたいと努力をした……。しかし、母親は身体を売っていたことで病気を貰い、父は働きすぎで身体を壊して、2人ともすぐに死んだ……」


アロンダイトの剣先が震えている。


「…そして騎士学校ではアロンダイトの所有者となる才能を秘めた子供同士で毎日、毎日、どちらかが死ぬか身体が動かなくなるまで訓練させられた……」


ランスロットは俺を睨みつける。


「両親は、この格差のある世界の仕組みに殺されたのだ。もっと裕福になりたいと、もっと豊かになりたいと…。願い、焦がれた。願わなければ、知らなければ、手が届くと思わなければ死ぬこともなかった。……人は誰しも皆、人から奪うために生きている。幼いころから居場所を奪い合い、食うものを奪い合い、女を奪い合い、金を奪い合う。そうやって生きている。……そして、奪い合いに勝ち残り生き延びた俺は、アロンダイトの持ち主となり、戦争の道具として各地で人を殺し、国の領土を広げるために使われた………両親や友の命を犠牲にして残ったのは何だ?残ったのは憎しみと悲しみだけだ……奪い合いの先に、何がある!」


ランスロットは続ける。


「何も無い…何もッ!!何も有りはしない!!ただ奪うだけの世界の先にはッ!!!」


「……だから…あんな奴に、あんな奴の言う事を聞くって言うのかっ!」


「そうだ……この世界に救いはない…だが、アンブローズ様はそんな世界に救済を下さる……お前にはわかるだろ?俺の気持ちが…奪われる者と奪う者の想いが!!気持ちがッ!!」


「う……」


オレは後ずさる。


「そ、そんな!…ちがう…オレは……!オレはっ!オレには!!そんな…!」


パルとの記憶がフラッシュバックしてオレはランスロットから目を背ける。


「現実を見ようとしなくても、そこにある現実は変わらない…メドラウト」


「…う……オ、オレは……」


あの光景が脳裏に焼き付く。父さんが血を流す姿もフラッシュバックしてくる。


「オ、オレは……ううう……」


どうすればいいんだ…。オレはいったい…。


奪わなければ、生きて来れなかった。

追放されたあの日から。すべてを奪われたあの日から。魔獣から、盗賊から、円卓の騎士から…。


オレは、自分の事だからと正当化していたのか?自分が奪われたから、奪ってもいいと?その力があるから……だとしたら。


オレは…アンブローズやランスロットと同じなのか…。


同じなのか……。


両ひざと手をついて、ロンギヌスから手を離してしまう。


「………ふん…理解できたか…俺とお前は同じだ…抵抗など無意味だ」


ランスロットがそう言いながらオレに歩き、近づいてきた。


暗く冷たい世界に1人でいる様な孤独を感じた。








その時――――。









「しっかりしなさい!!バカラウト――――――――――!!!!」








「…はっ!」


風が止み、暗く冷たい世界に一筋の光が指した気がした。オレはその声の方を見上げた。

道の真ん中に立つ金髪朱眼の少女がその長く綺麗な髪をなびかせながら、まっすぐオレの事を見て叫んでいた。


「なんだ…貴様…?」


ランスロットが睨みつける。


「……レシア…」


オレはぼそっと呟いた。


「しっかりしなさい!!バカラウト!!…あんたは、あんたはそんな奴とは違う!!私は知ってる……人を守る強さを教えてくれたから…だから!自分の心の気持ちを、想いを迷っちゃダメよ!だってあんたは、私の見てきたあんたは!奪うだけじゃない、人に与えられる人だってことを!!」


「れ、レシア……」


「だから、しっかりしなさい!!あんたは負けない!こんな奴に!!…そんな奴と同じなわけない!!」


レシアのその言葉にオレはハッとする。

そして、破壊された街を見渡す、住民たちが力を合わせて助け合っている姿がそこにはあった。


漁師のオドリオに助けられて、色々な街を旅した。沢山の人にお世話になった。みんな、誰かの為に、想い合い、与え合って生きていた。誰しも自分自身の為だけじゃなく、人の為に行動していた。


奪うだけじゃなく、人に与えられる人々が、この世界には沢山いる。


それは、きっとパルや、母さんも同じだ。


なら、オレは!!


「うるさいぞ…小娘…!」


ランスロットはアロンダイトを振り上げて一瞬でレシアの前まで移動し、切りつける。


「きゃああっ!」


―ガチッン!!!


レシアは恐る恐る目を開ける。

オレのクラレントがアロンダイトの攻撃を受け止め、攻撃を防いだ。


「…ラウトっ!」


「ありがとうな…レシア…おかげで目が覚めたよ」


オレは後ろのレシアの目を見て、もう大丈夫だと伝える。レシアは目に涙をためながら大きくうなづいた。


「ふんっ!!ならば共に葬ってくれるわ!!!」


「オレは負けない…!!ランスロット、お前を止める!!」


クラレントを振り上げてアロンダイトを弾く。


「な…ッに!?」


ランスロットは驚いていた。魔法具でもない武器がアロンダイトを弾くとはと。

オレの全身に幻影の魔法が包み込む。紫色に輝き始めた。


「いっけぇえー!!ラウト!!!」


レシアが叫んだ。オレは、力強く地面を踏み込んでランスロットの懐に突っ込んだ。

「面白かった!」


「ラウトたちの行く末が気になる、読みたい!」


と思いましたら下の☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。

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