第4章 悲劇の始まり
数ヶ月か過ぎた後)
一人目の紳士 マウレリア様
ギルドに新たな人が偉大な国のため誉のためにと遥々遠くから参られたご様子で
彼らもまた心に傷を負い痛みと苦悩の嵐にさらわれたのです
そして夜明けに新しい新芽を生み出し光を仰ごうとより一層たくましい魂へと昇華された
その結果古き身分を脱ぎ捨て王国の最高の誇りの一員となったのです
マウレリア そうか あの村人ものたちか
しかしこの力を存分に用いて魔力とはなにか
そのことわりとを憤りを持って示さなねば
護られることが王のしきたりなのだろうか
そうとは思わないのだが
二人目の紳士 そんな……いけませんぞ あなたはこの国の至高の玉座に在られる方
誉あるこの大きな国家に与える影響と及ぼす力をお考え下さいませ
あなたの行動、お考えひとつで未来は姿を粘土のように変えるのです
そして偉大な父祖の血筋を受け継ぐものとしてそのようなことは絶対に
マウレリア(仏頂面を浮かべてから睨む)
うるさいぞ お前は今どういう状況か分かっていないようだな
魔力は人を欺き人を食らう
誰もが恐れていたあの魔力を何者かが悪戯に扱った
此度は住民が殺害された
どいうことかあなたにはお分かりかな
二人目の紳士 しかし…貴方様は考え出す事にこちらがハラハラさせられますこと
(二人とも少し後ずさりする)
そこへ軍服姿の男が突然現れる
ベレト おやおやこんな国の一大事にそのような揉め事はあまり感心出来ませんな
二人の紳士、剣を咄嗟にとるが返り討ちにされる
一人目の紳士 陛下…様……
マウレリア 何を?(驚く)
ベレト ほら 陛下の言うことは絶対的ですよ
口は慎まねば待っているのは死のみ
知恵と共にあるのはたしか…慎みでは?
ほれ陛下様のお出ましだ
マウレリア (怒りに変り少し本気の顔つきを見せる)
わたしの大切な人を……
悪のヒロイズムはそんなに楽しいですか? 後悔するなら今のうちですよ
犯人はあなたですか
ベレト ほぅ これが噂に聞いた男ですかい
なにか古くの友に似ているようだ
まじないで人を縛り付けたような言いぐさはよしてくださいな
趣味が悪いと厄介もの扱いされますぜ
いやいやこちとら気が短いものでつい殺してしまいましたわ
マウレリア ケダモノのようだ
忌まわしい獣のように次から次へと渇望を示し飽くことがない
私の前から消え去れ
(魔法陣が現れ頭上から氷刃が降り注ぐ)
ベレト (素早くかわす)
おっと さすがですな
これは失礼した いやはや、お家芸はいつ見てもたいそう立派なもんですな
マウレリア そうか
あなたが封印魔法で私の未来視の扉を意図的に塞いだのですかね
ベレト 面白い男だ
ついでにもうひとつ面白い話を聞かせてあげましょう
あなたの愛する乙女ジュリア……
マウレリア 何故…それをあなたが……
やはり偶然と言うべきではなかった
霊はいつも小さい手を大きく広げ力を束にしていた
わたしにあるべき祝福をひそかに願い時と運命の乱れを忌まわしい力から必死にこらえるようにしながら私を気づかせようとした……(明らかな不安に変わる)
ベレト そう あなたの勘はただの勘ではなかった あなたが力を持った日から星を照らす光は淡くなり世界の終末時計は短くされた
それはそうと
今のあなたは隙だらけですな (上手く急所を外しながら腹部に刺す)
(マウレリア、負傷しその場にうずくまる)
マウレリア ジュリアをどこにやったのか?
お前には答える義務がある
この命など少しも欲しくない!!
この世にうりふたつのものなどそうそう存在するだろうか
あなたは私を怒らせた
あの人を失うくらいなら死んだ方がましだ!!
生ける神に誓って言おうではないか
(目をぎらつかせる)
ベレト いいですねぇ あなたのそういう感情
儚い人間の記憶すら消し去ってくれる
マウレリアあなたは一体何を述べている?
ベレトしかしどことはこっけいな質問ですな
もうわかり切っているはずなのに
人間というのはどうしてこうも無いものねだりをするようにあるはずのないものに望みを託すのですかね
そうだな 今頃は棺桶の中で寒そうに一人寂しくあなたを待っているに違いありませんね
マウレリア (感情)そんな……わたしの わたしの全てだ
このくらいなんのこれしき(出血を抑える)
凍った淋しきわたしの感情には痛みすら届かない
反対に心が痛くてたまらない
淋しきこの私の日々は暁のような光を受けて変わりつつあった
千年ものようにながく続いた私の日々が一瞬のように感じられた
なのに一体どうしたことか
ベレト まあ信じ難いと言うよりまず受け止めにくいですからね
あなたがご自分の目で確かめて頂きたい
ではまたどこかで会える日を楽しみに待っていますよ
悲劇のロミヲさんよ
(窓から飛び降りる)