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幕間『【雑談】テンション上がりますねえ~↑【コルセア・デ・ネージ】』

・時系列:コルセアの話~鏡華と出会う前


 とある休日。

 コルセア様の引退するしない騒ぎの後だが、今も"切り抜き動画"の編集を続けていた。

 今も作業に没頭し、昼ご飯を忘れかけていた俺は、パソコンに送られてきた通知でコルセア様の配信があると知り、その前にメシを軽くすませてしまおうとインスタントを取りに行っていたところだった。


「あと三分、っと。ん? うわ、思ったより時間経ってるな……。半日も作業してたのか」


 どうやら休日の半分以上没頭していたらしい。

 思ったよりも集中できる自分をこっそり褒め、ラーメンに卵を落としてパソコンの前に戻ると、ちょうどコルセア様の配信予約がおススメ一覧に表示されていた。


 本来なら最初から彼女の配信で待機しておくことこそが彼女のファンとして当然の行動だ。

 が、個人的にコルセア様のファンに引け目がある。

 ぶっちゃけ、隣に住んでいるというだけでヤバイのに、まさかのお手伝いまでしている。

 これ以上抜け駆け他のファンに優位性を保つのは……。と、意味のない良心に咎められ、せめてと配信は始まってから顔を出すことにしていた。


 いやまあ、自己満足だし意味のない事だとは思うけど、それでもやはりあのコルセア様と喋るという筆舌に尽くしがたい環境を想うと、鼻高々だし、ああでもファンだからとはいえコルセア様に認知してもらってるだけでもアレなのにこれ以上特別な仲になりたいだなんてわけでは――。



 オホン! とにかく、それはどうでもいい。

 今はコルセア様の配信だ。

 鼻歌交じりに箸でラーメンの硬さを確認しながら配信を開く。

 鼻先に漂う油の匂いに、心を躍らせていると、配信画面が動き、氷をイメージしたバックイラスト映像が映し出される。

 水色と黄色の背景に、もちもち紅白先生お手製の一頭身デザインのミニキャラが「待っているのだぞ!」と可愛らしく踊る。

 さながら、某狩猟ゲームに昔存在した音楽にのせて猫が躍るダウンロード画面のようなオープニング映像が続き、トランジションを挟んで配信が始まった。


『うむ。良い子に待っていたか、人間たちよ! 余がコルセア・ラ・ミナミ・モンテイジ・デ・ネージだ』


 配信お決まりの口上を多少演技っぽくしゃべるコルセア様に目を細める。

 ああ、可愛い。

 そして俺はキモイ。

 言葉こそ偉そうでテンションを上げて喋ってはいるが、やはり節々に気を抜く優しさが空けている。コレコレ、これこそがコルセア様の良いところなんだ。


『さて、報告があるんだが……。ん、まあ、少し人が来るまで別の話しにしよう。

 さて、最近な、色々動画も見ておるのだが、きりぬき? というモノがあると知ってな。余もまあ、配信を休んでいる間に見させてもらった。それで、余の配信を切り抜いてくれる……とても嬉しい事もあった』


 タイムリーな話題に、作業していた手を止めコルセア様の配信画面を見る。

 今俺の画面には、コルセア様の配信と、コルセア様のすべてを記録するための録画ソフト。そして、切り抜きの編集画面が映っていた。


 一応、"切り抜き"って言葉を簡単に説明すると、配信活動をしてる本人とは別の誰かが、ライブ配信や動画の一部を「これは面白い! 知らないのはもったいない!」と短く分かりやすく編集し、動画として投稿するというコンテンツだ。

 もちろん、本人が許可を出し、本人のライブや動画が投稿し終わった後に投稿すれば重大な問題にはあまり発展しない。

 が、法律であったり、良識の問題であったり、まだまだグレーでセンシティブなジャンルなのは間違いない。

 余談だが、一応、例のアカウントで投稿した切り抜きは、コルセア様が復帰した後に許可は取っているし、収益を得るつもりもないので、切り抜きとして騒がしくなく見れる我ながら両コンテンツになっている。

 まあ、元々コルセア様を少しでも元気づけられたらいいな、で始めたからこそだが、個人的に心残りなのは、事後承諾だったことだ。

 だから、もし自分も切り抜きに手を出そう! と思う時は、まず本人への許可と目的を伝え、相手に悪印象を与える切り抜きを作らないように意識して欲しい。

 ……何の話だったか。


 とりあえず、俺はコルセア様切り抜きの関係者ってことだ。

 ライブに乗せられるコメント欄にも「見たわ」や「コルセア様も見てるんだw」等、のコメントも流れていく。

 和やかな雰囲気のコメントに対し、コルセア様のお顔が、ムッとした表情が変化する。


『だ、だが、あれはなんなのだ! 余の恥ずかしい事ばっかり! 面白いが、もっとためになることも切り抜いてくれぬのか!』


 すみません、コルセア様。あなたの恥ずかしいことが切り抜きで最も注目されるんです。

 ぐっとコメントをしたい手を止め、断腸の思いでコルセア様の可愛いポイント集【10】という動画を編集していく。

 俺もコルセア様が恥ずかしがってる切り抜きだけを作っているわけではない。


 本当に違うぞ。


 ただ、紹介の際に声が上ずったり、言葉を噛んだり、慣れてないゲームにムッとした声を出しながらも必死にプレイする姿は、ファンからしたら垂涎物の動画だ。

 見てない人にも、本人の意図しないカリスマを切り抜き、コルセア様の凄さや面白さを知ってもらうのが目的で、ファンとしてはそう言った"非常に見栄えのするシーン"は一番大事な要素なのだ。

 気まずくなりながらもコメントを見ると、「あの切り抜きから来たわ」や「可愛かった」「女だけどあれでちょっと好きになった」等々、好意的なコメントが流れ、ちょっとだけほっとする。


『な、なに? むう、あれで来てくれた人も居るのか。すまぬ、おぬしたちの好きを否定してしまったな。後で友人にも感想を聞いてみなければ……。

 む? いや、別に余も悪いとは思っておらぬ。こんな余の事を見つけてもらうのは、その、感謝はしてる、ぞ? うむ。

 このように人が来てくれるのも余は嬉しいし、余を知ってもらえるのも日々の糧になる。

 だから、切り抜きをされるのは構わぬ。それがえんため? になるのなら、余も配信していて嬉しい。

 だが、ちゃんと人としての領分を守ってしっかりとするのだぞ?

 誤解を与えるような切り抜きなど言語道断だからな。良いか? ……ふふっ、皆返事は良い子だな』


 ふっとまるで子供のした過ちを諭すかのようにコルセア様はそう言った。

 その後も、ツンデレが入り交じった感謝と見てくれている人たちへの小さな戒めを感じる説明。

 思わず訪れたツンデレポイントと、露骨な評価上げ切り抜きポイントを、秒数をすばやくテキストでメモし、ガッツポーズする。

 これだ、天然でも狙ってでもこの発言を出来るのはポイントがとても高い。視聴者との距離も近いのも相まって個人的には高得点の嵐だ。


『さて、そろそろ本題に入ろうと思う』


「お、そういえば何か話題があるんだっけ。えっと、録画メモメモっと」


 食べていたラーメンの容器を端によけ、すぐにテキストを準備できるようパソコンに向かう。


『余にとって嬉しい報告なのだが、もう少しだけ先だが、フリーゲーム以外のタイトルで実況を撮れるかもしれぬのだ。

 今回の配信のタイトルはそれのヒント……というか、知ってたら答えかもしれぬな。

 以前、勉強がてらに拝見していた動画の人間がプレイしていたゲームなのだが、シリーズ物で余の知らない部分も多いらしいのでまずは手始めにやってみようと……ん?

 なに? このゲームは意外? もう正解を見つけたのか? せっかちさんめ。ふふっ、だが問題はない。最初は難しいかもしれぬが、慣れてみせるぞ。

 ん? うむ、シリーズだと追えぬという心配もいらぬ、余も配信だと追えない場面も多く手軽ではないと思った故、最初はたどたどしいところを見せるとは思う。

 だが、切り抜きや録画を使って動画化も考えておる! 余の手に負えなければ知り合いに頼む。

 そのために色々とゲームをやってみようと思っておるのだが……。

 余はゲームと言う遊具を触ってこなかった故、なにかおススメはあるだろうか? 余としては画面が動かない方が好ましいのだが――』


 ついにこの時が、と感動で打ち震える。

 コルセア様はゲーム自体はやっていたが、著作権フリーのゲームばかりで、画面として映える物ではなく、途中で読むテキストの演技がキラリと光る物ばかりだった。

 その彼女が、別のゲームもやってると明言したのは快挙ともいえるじゃないか。

 だから、ついつい、顔がほころんでしまう。


「ああ、マジか。すごい楽しみだな……。何やってくれるのかな。ホラーは鉄板。でも、コルセア様の声質と演技ならアドベンチャー系も良いし、アクションだってきっと切り抜きの宝庫だぞ」


 俺の妄想のようにジャンルやゲーム名が怒涛のように流れていくコメント欄にどぎまぎするコルセア様を眺めながら、俺もなにかリクエストできないかと、妄想に沈んでいく。

 まあ、俺のリクエストなんていらないだろうけど。


 そのまま彼女に合い、配信映えするゲームや彼女が好きそうなゲームを妄想していた結果、ラーメンを食べるのを忘れ、そのまま水を擦ってソフト麺なったラーメンを片付けるハメになった。



誤字報告をしていた抱いている方々に、この場を借りて心よりお礼申し上げます。かたっ苦しい文章ですが、これからもよろしくお願いします。

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