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尋常でなく不味いスープが出てきたあの日の給食

 学校の給食というものは当たり外れがあり、それが生じるのは個々のメニュー間であったり給食のおばちゃんと呼ばれる人々の実力差であったりする。

 当然私も現代日本に生まれ育っている以上は義務教育を受けているわけで、小中学生時代にはそういった食物を毎日のように食わされていた。


 その中でも私が小学生の時分に一度だけ遭遇した、飛び抜けて不味い料理の話をしよう。


 学年や季節がいつだったかは思い出せないが、恐らく二学期くらいだったか。

 私や友人達はいつも通りに給食をトレイの上に並べて自分の机に置いていた。


 正直に言って当時のメニューはうろ覚えだ。なので弱々しい記憶を頼りにしながらになってしまって恐縮だが、「大体こんなだっただろう」という推測の下に食べ物の名前を羅列していく。


 まず、バターロール。給食においては珍しくないタイプのパンだ。

 次に海藻サラダ。これもオーソドックスな給食のサラダと言える。

 デザートの冷凍蜜柑。まだ夏が終わり切っていなかったのだろう。


 そして、スープ。

 このスープが問題だった。


 車酔いしない体質の人にはわかりづらい事この上ない比喩となってしまって非常に申し訳ないが、酔いを誘発するような観光バスの中の臭いがするのだ。

 思わず私はスープの具を見つめた。異常な物体が入っているのではないかと疑ったからである。


 人参、きくらげ、キャベツか白菜かわからん葉物……。

 まあ、そんなに奇妙な面子ではない。はずだ。もれなく観光バススメルを帯びているが。


 それでも食べようとはした。食べてみればイケるんじゃないかと夢想したのだ。

 吐きそうになってすぐにやめた。無理な真似をするものではない。


 えづくレベルでひたすら不味さを前面に押し出すこの謎の食物らしき何かを前に「これって多分食い物なんだよな?」と思ったのは私だけではない。友人達も口々に「これを食わせようとするとかどうかしている」「食べ物を無駄にするな」と文句を連ねていた。

 他の連中は大丈夫か、と周囲を見渡す。




 皆、無言で食べていた。

 しかめっ面の担任教師の顔をちらちらと見ながら。




 読者の皆様にはどうか小学生時代を思い出してみていただきたい。当時の学校の先生なるものは、子供達にとってある種の支配者だった。

 いや最近はそうでもないのかもしれないが、私が子供の頃はそうだった。


 当時の担任は私のブログでも一度記事にした島国先生(仮名)なる人で、まあブログを見ていない方にもわかるように説明すると女尊男卑を謳い上げ何かあれば校長室まで生徒を引っ張り出し最終的には男子生徒達から苛烈な報復を受けて翌年に担任を外れる事となる人物である。


 まだそこまで報復しようという気になっていなかった我々男子生徒一同は一気に委縮して、それ以上文句は言わず不味いスープを残すに留めた。

 格好悪いと嘲るならば嘲ってくれて構わない。子供が大人に、それも先生に勝つなんて……と当時は思っていたのだから。反旗を翻すまでまだ少し期間が空いたのではなかろうか。


 何にせよその尋常ならざる風味のスープは流石に他の場所でも評判が悪かったらしく、二度と給食で出されることがなかった。

 今もあの観光バス味のスープがどのようにして生み出されたのか。気にならないでもない。


 ただ一つ確かな事として。


 本当に不味い給食は残して良い。

 えづいてまで食べる必要などどこにもない。


 それだけ私は言っておきたかった。多少口に合わないくらいならまだしも、吐きそうになりながら食べるのはそれこそ食材、農家や牧場主といった人々、料理人、そして同席している全ての人に対する最大の侮辱であると思う。


 以前も「不味いからと給食が大量に残された」といった内容のニュースが話題になったりもしたが、不味いものは不味いのだ。食事は楽しくするべきである。


 こんな経験をしておきながら初めて入ったラーメン屋でよだれの臭いと味しかしないラーメンを突き出され、泣きそうになりながらも完食した馬込巣立とかいう馬鹿たれのようになってはならないのだ。

 現在小中学生としてこれを読んでいる皆様にはどうかその事を強く、強く戒めて欲しい。義務教育を受けながらこんな駄文を読んでいる層がどれほどいるかは知らんけども。

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