第七話
先ず俺が行なったのは物理的に攻撃をする技能を増やすこと。
ここでは『体当たり』やその他の攻撃手段を指す。
「ガウ!」
(ハアッ!)
俺は全力で空に体当たりを試すが、やはり技能は増えていない。
『体当たり』という技能が無いのか、それとも方法が駄目なのか…俺は考える。
何故『咆哮』や『威圧』は技能として習得できたのか。
あの時と今の違い、それは……分からない。
と言うより考えられることが多過ぎてどれか一つに絞ることが出来ない…。
俺はそれからも数分間、数時間体当たりを空に向かって試したが技能として習得することは叶わなかった。
日が暮れる頃、俺は晩飯にするための魚を川に獲りに川に来ていた。
狙うは大きくて脂が乗っていそうな、すなわち『美味そうな魚』。
清流には鮎の様な魚が夕日を反射して泳いでいる。
「ガア…」
俺は口から垂れそうになる涎を飲み込み、いざ行かんと狙いを定めて川に突進する。
清流は俺が飛び込んだことにより一瞬で濁ってしまった。
そして川から顔を出した俺の口には三匹の魚が咥えられていた。
これで俺の晩飯は確保出来た。
俺はルンルン気分で寝床に戻ろうとしたその時、視界の端に光を確認した。
(これはあの時と同じ光か?)
俺は魚を咥えたまま心中でステータスと唱える。
▽
レックス 劣等竜 LV1
筋力:120
耐性:130
魔力:0
咆哮、威圧、竜突進
▽
俺は咥えていた魚を落としてしまった。