表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/14

第二話

『…きて……おき…』


声、だろうか?


死んだ筈なのに声が聞こえる。

死んだ筈なのに体温を感じる。

死んだ筈なのに鼓動を感じる。


まるで無音で真っ暗闇の世界に一人だけ孤立しているみたいな感覚。

真っ暗闇なのに自分の輪郭が分かる。


前(?)を見ると一筋の光が見える。

俺はそこに向かって手を伸ばすも、掴むことが出来ない。


『やっと起きましたね』


その声が耳に届いた瞬間、暗闇は反転し一瞬で純白へと豹変した。

俺はあまりの眩しさに目を閉じる。


「もう目を開けても大丈夫ですよ」


今度は明確に女性の声が聞こえた。


俺は声の言う通りに目を開ける。

目が眩む程の純白も、慣れたからか自然としていられる。


「ここは…?」


俺は方向感覚の無い、時間も分からない空間で一人口にする。

否、一人では無かった。


「ここは貴方達人間の言葉に例えると、死後の世界です」


俺は声の方向に振り返る。

そこにいたのはこの空間と同じ純白の衣を身に纏い、背中に白鳥の様な翼を生やした綺麗な女性だった。

俺は見惚れて何秒か視線を動かせなかった。


「ショックでしたか?」

「ッ!い、いえ」


前にいると思っていたら急に後ろから声を掛けられた。

俺は驚き心にも無い返事をしてしまう。

本当は『死んでしまった』という感情で心が一杯だったのに、彼女を見ているとそんなことはどうでも良いやと思ってしまった。


「あの、俺って死んだのに何で生きてる(?)んですか?」


俺は一見矛盾していることを訊ねてみる。


「貴方の魂は死んでしまいましたが、私がこの世界に滞在することを許可したので擬似的(・・・)に生きているのです」


擬似的に生きている、それはつまり『生かされている』ということ。

俺はそう考えた。


「ここに滞在出来る時間は決まっているので、早く転生を済ましてしまいましょう」

「転生?!」


俺は日常では耳にしない単語に過剰に反応してしまう。

転生とは『輪廻転生』、つまりは魂の循環をするということ。


「あの、記憶とかってどうなるのでしょう?」


彼女は少し考える素振りをしてから口を開く。


「運が良ければ残り、運が悪ければ消えますね」


百パーセント残るわけじゃないのか…。


「あ、あと種族は選べませんので」

「種族?」


白人か黒人ってことか?


「悪ければ道端の石ころ、最高でエルフと言ったところでしょうか」

「石ころッ…?!」


死ぬ迄石ころとして生きろと!?

そもそも石ころって生きるって言うのか?

しかも最高でエルフ!

運が良くて人間に転生すれば、魔法有りきの世界で生きられる。


俺は色々な感情を胸に、歩いて行った彼女の後を歩いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ