第十四話
雑木林でオークを一匹倒したのだが、どうやらオーク共は俺の襲撃に気付いていないようだ。
俺は草陰に身を潜めてオークの砦を見るが、どうやら先行組はまだ到着していないらしい。
(だとすれば俺が先に行ってオークを襲撃するか?)
それも良いだろう、だけどこれは村長たちの問題だから…まあ既に一匹倒した後なんだけど…。
(生物を殺したってのに罪悪感が無い…身体だけじゃなくて心まで魔物になったのか…)
何だか人間だった頃の自分がとても遠い存在に思えてきた。
もし俺がラノベの王道展開みたいに魔物の姿から人間の姿になれるようになって、それで日本に帰ったとして、果たして殺しという行為に禁忌感を覚えなくなった俺を見て知り合いはどう思うだろう。
(まあ今は目の前の問題から、だな…)
問題の先送りはいけないと社会に出てから学んだけど、今だけは先送りにしたい。
俺が考えていると、具合の良くなった村長たちが雑木林に身を潜めている俺の元へやって来た。
「…私たちも回復したので加勢します…」
俺は分かったと伝え、別行動をさせてもらうことにした。
村長たちは各々の武器を構えて砦に行ったが大丈夫だろうか。
仮にもオークは集落を落とす程の力を持っている。俺は一撃で仕留められたが、村長たちは違うだろう。
(この世界に来て初めて意思疎通をした人…魔物たちには死んで欲しく無いな)
それは俺の事情だ。
そうは分かっていても俺は砦の周りを巡回しているオークを苦戦の末に倒している村長たちの戦いを傍観する。
この世界に来てから考えることが多くなった。この身体はどうすれば効率良く動かせるのか、日本には帰れるのか…。
俺は頭を振り雑念を振り払う。
(さっき決めただろう。俺が今すべきなのは目の前の問題を解決することだ)
俺は何時もに増して重たく感じる足を上げて、村長たちとは逆の方向にいるオークを倒すべく雑木林から身を出した。




