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この先には
階段を登り始めると興奮が止まらなかった。今からとうとう花火を打ち上げるのだと呼吸が激しくなった。
しかし、階段を登るのはゆっくりだ。急いで登って自警団に見つかるのもいけないし、そもそもおじいさんがそんなに速く登れるわけがなかった。ゆっくり一歩ずつ、しかし堂々と登った。
そして、最後の段まで辿り着いた。目の前には扉がある。一度深呼吸をする。
「この先はもう境界部屋じゃ。ワシが扉を開ける。そうしたら一目散に走れ。いいな?」
二人の目には涙が浮かんでいた。おじいさんとの会話がもしかするとこれが最後かもしれないからだ。それでも、走る準備はできていた。
「3、2、1……今じゃ!」
おじいさんは思いきり扉を開けた。