少年は眠る
ピ、ピ、ピ、ピ、ピ。
ムキシツナオトガヒビク、デモコノオトハナンノオトダダッタカ?
「○○? ○○!」
コンドハコエダ、コレハキキオボエガアル、コレハ……コレハオレノシンユウノコエダ。
「○○? 聞こえてる? 返事してくれよ」
「○○? ○○○君きてくれたよ? 分かる?」
アア、ワかル、ソウだ、オレ。
「……先生、○○は」
「……」
ダイブ、目もミエるヨウにナッテキタ、アア、ナンテ顔シテんダヨ親友?
「○○~~~~~!!!」
……アネキも、ナんて顔してンだ? オレのナマエそんな叫んだって何の徳もないだロウに。
「……」
あー、センセイ言いずらそうな顔してんナー、ソレジャ俺ガ――
「先生! お願いします! ○○はまだ何も出来てないんです! 自分がやりたいこと何一つも出来てないんです!」
……なんでこんなに必死にナッテンだか、それに先生に何むちゃくちゃ言ってんの? ンナことが無理なのは分かり切ってる事じゃねえか……まったく情けねえ親友だよ。
『ム、チャ、イ』
「「「「!!!」」」」
クッソ、声スらろくにダせんのか、それでも気づいてくれただけましか……。
「そんな!? 声を出せるような状態ではないはずなのに」
「○○!? なんだ? 何が言いたい!?」
『ダカラ、セン、セ、イにムチャ、言ってんじゃ、ネェヨ』
ヨウやく言えた、なんでこんな当タり前なこと言うのにこんな苦労せにゃならんノか、そんで俺の久々の言葉に皆さんは何も返さない……全く、声出すのもツらイっつうノニ。
『まッタく、、何でそんなニ、騒いでんだヨ?』
「……お前、お前なに言ってんだよ、自分の状況分かってて言ってんだろうな!!?」
『……』
「お前、今自分がどうなってるか分かってんだろうな!? 今自分が何処にいて、何処に寝てるか分かってんだろうな!!」
『……』
「今自分が――」
『ヒト、一人ガ、死にそうなコト、なんて、普通だろ?』
「!???」
なに驚いてんだよ? 親友? 俺が死に掛けてる事なんて自分が一番分かってる。
入院して、治療して、薬飲んで、今まで戦ってきたけどもう無理だって事はオレだってわカッてる。
デモ、そんなコトは案外このヨの中では普通に起こるコト。
たまたまオレがそうなっただけ、ソンデもって俺は戦うことを選んだけど……今負けたってだけ、ただ、ただそれだけ。
「普通? ……ふつう、か、お前にとっては自分が死ぬことが……いや、お前は自分が死ぬことをすんなり受け入れられるのかよ!!」
『……』
「○○○君、少し落ち着いてくれ」
じいちゃんが親友の肩をつかんで後ろに引くのが見える、マったく、ホントに、俺がいなくなっても大丈夫なのかね?
「○○、お前は生きることを諦めてるのか?」
……ジイちゃん、それはグモンってモンジャないデすかネ? 俺が死にたがってる? オレが皆と別れたいと? んナコト,……ンナワケ……!!!
『ンナ、ワケ、ネえ、ダロウガ!!』
「……そうか」
『俺だって、まだ、あきらメタくない!!』
「そうか」
『まだ、戦いた、イ!』
「そうか」
『マダ! まだ!!』
『生きていたい!!!』
「……そうか」
クッソ、当たり前だろ、ヤリキれてない事のホウガまだオオいのに、マダシンユウやセンセイ達と、爺ちゃんと、過ごしたいのニ、マダカゾクト、イッショニ、いタイノに。
「……」
「先生、ほおけてないでいきますよ」
「……え? あ、ひゃい!」
ドコニ? ジイチャン、ナニヲスルツモリ? ……アレ? ナンか、イしキ、うスク、ナッて。
「? ○○? ○○!? ねえ! 返事してよ!」
あネキの声がキコエル、デモ、ナンカ、とおい、ドコカラハなシてる?
「ねえ……返事してよ……私たちとはまだ話せてないじゃん……返事してよ……」
アア、ゴメン、クチモウウゴカナイ、コタエラレナイ、カアサンナイテル、ミンナナイテル、ゴメンヤッパリ、イッショニハ、イラレナ、イ。
ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ――。
その時、俺の視界には何も映らなくなり、俺の耳はその無機質な音までも拾わなくなった。