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勇者が消えた後で  作者: 葉月秋子


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33/34

33 その後



 そして、数年が過ぎると、新たな『魔王』が誕生した。


 正常ならば、数十年、数百年のサイクルで繰り返されるものが、討伐されてから、これほど早く誕生するのはおかしい。

 前回の討伐は、本当に行われたのか、確かに『魔王』を打ち取ったのか、と、資金と兵を提供した各国は、あれほど盛大に『勇者』を送り出した国を、一斉に非難した。


 魔王討伐の一行を査問しようとしたが、『勇者』と『僧侶』は死亡。『聖女』と『魔法使い』と『シーフ』は行方不明。『王子』は『魔王』の死を確認したと神に誓ったものの、なぜか挙動不審で、特に「ステータス鑑定」を激しく拒む。


『勇者』の国は各国に莫大な慰謝料を払うこととなり、重税にあえいだ国民はとうとうクーデターを起こし、王朝が交代するという騒ぎになった。

 逃げ出した王子は、かっての『勇者の館』に付属した廃園で捕らえられたとか。

 とばっちりで打ち壊された修道院に、「私は『聖女』だ!」と叫ぶ狂女がいたとかいなかったとか。


『魔王』とともに誕生する、新たな『勇者』の称号が顕現した者は、今回は、大陸の反対側の国の、伯爵の次男坊だったそうだ。

 華やかな式典の後『魔王』討伐のパーティーが組まれ、遠征軍と共に出発したと言うが、はるかに遠い国のこと、詳しい話は伝わってこなかった。

 討伐がなされるまでには、まあ、数年はかかる事だろう。




                           最終話に続く

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