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勇者が消えた後で  作者: 葉月秋子


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25 古の勇者


    ---ミューさんの一人語りですーーー



「古の勇者、あの方のお力は召喚。一風変わった召喚の技を持っておられました。


 前世で読んだり聞いたりした物語の主人公を、この世界に呼び出すことがお出来になられたのです。

 勇者と共に魔王に挑まれた方々は、クー・フーリン。ジーグフリード。ブリュンヒルデ。

 また魔法使いマーリンと、アーサー王と、円卓の騎士の方々。

 前世で病弱な少年だったあの方があこがれた、御本の中の伝説の英雄方でした。


 無事魔王を倒し、共に戦った英雄方をお還しになり、ここに移り住まれてからは、戦う力を持つ者は一切呼び出されませんでした。

 呼び出されたのは、もっと幼いころの、枕辺の母上に読み聞かせてもらった、前世の思い出だった者ばかり。

 わたくしめは、前世の御母上がお気に召されていた、御母上との大事な絆、だそうでございます。

 御父上は『せかいたいせん』という大きな戦で亡くなられて、御母上と二人だけのお暮しでした。

 あちらでは御母上を残して少年のまま亡くなり、こちらでは産褥で母上を失くされました。

 どちらの世界でも、母上との縁の薄い方であられましたよ。


 私と蜂蜜好きな熊がいつも呼び出されておりましたが、勇者の死と共に消えるはずのわたくしめは、気が付けば肉体と意志を持って、この世界に立っておりました。

 熊の方は、それきり姿を見たことがございません。

 いまもあの方の傍らに、静かに寄り添っておりますのでしょう。




 わたくしめは古の勇者の夢の具現。

 自由意志を持ち、現実となった夢の住民、『長靴を履いた猫』でございます」

※『せかいたいせん』=第一次世界大戦の方です

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