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勇者が消えた後で  作者: 葉月秋子


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23/34

23 魔界で

ストーリー上必要な、ただ一回の残酷シーンです。

苦手な方がいらしたら、ごめんなさい。




 魔王城を撤退した魔族たちが集う、魔界の一角。


 群がる魔族たちの前に、瀕死の『勇者』が横たわっている。

 四肢を砕かれ、両眼を潰され、胸を切り開かれて。


「でも死ねないの」

「勇者ですもの」

「その肉体が、強靭すぎて」

 楽しそうにしゃべるハーピーたちが、舌なめずりして見つめているのは。


 断ち割られ、押し拡げられた血みどろの胸郭の中で、剥き出しになったまましっかりと脈打っている『勇者』の心臓。


「回復はさせぬ。しかし、殺してもやらぬ」

「この心臓が動いている限り、次の勇者が生まれて来る事はないのだからな」

「この状態のまま、苦しみながら生き続けるがよい」

「これで、我等魔族の天下よ」



 しかし、最早動くこともかなわぬ『勇者』は、不敵に笑った。

 こみ上げる血にむせびながら、力を失わぬ声で言う。

「じゃ、ひとつ反則技を見せてやるか。

 ちょっと変わったトモダチが教えてくれた、異世界の裏技ってやつ。

『かそくそうち』ってな」

 かちり、と奥歯で音がした。


 剥き出しの心臓が、ブレたように揺らいだ。


 血を吐きながら、勇者は(わら)う。

「心臓の一生分の鼓動数は、決まっているんだそうだよ。

 だから心臓だけ、時を進めて一気に動かしてしまえば・・・

 百年も時を進めてしまえば・・・

 ・・・寿命が来て・・・心臓は・・・自然に・・・止ま・・・る・・・」


 心臓が、ブレながら脈動する。

 とくとくとくとくとくとくとく・・・・・・


 驚き騒ぐ魔将たち。


「自殺する気か!」

「やめさせろっ!自死されたら、すべて無駄だっ!」

「無駄に死なせるくらいなら、せめて経験値をっ!」

「勇者殺しの称号をっ!」


 あわてた魔将の一人が、功を焦って槍を振りかざし、勇者の胸を狙って突き下ろした。


「・・・なんてのは嘘八百・・・」


 心臓が貫かれるのと、『勇者』の(うそぶ)きは同時。

 いっときのブーストならともかく、そんな器用なこと、出来るか、ばーか。

 ざまぁみやがれ。

 誰かの経験値になっちまうのは悔しいが、せいぜいあの愚かな国を震え上がらせてやってくれ。


『勇者』の俺がいなくなれば、次代の『魔王』と同時に次代の『勇者』が誕生する。

 後の事は、そいつに任せたぜ・・・

 


 


 ・・・ああ・・・ごめんな・・・ティー・・・・・・

 


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