21 お薬作り
ごーりごり。
薬草をすりつぶす。
以前の薬師さんが置いて行った旧式の道具類は、使いなれていたものによく似ていて、手によくなじみ、調子が良い。
「ダーク、お水をおねがい」
ぽたぽた。
「あと一滴」
ぽたん。
濾過したものに魔力を注ぎながら沸騰直前まで熱し、さまして濾過を繰り返す。
「うん、出来た。『鑑定』」
・・・うーん・・・
林の入口で摘んできた、よくある薬草一種だけで一番単純に作っても、初級ポーション特⁺になってしまう・・・
これ以上はない、純正無比な初級ポーション。効き目は中を通り越して、上級ポーション並み。
これじゃ、雑貨屋さんにおろせないわ。
希釈するのもむずかしく、少しでも薄めると突然薬効を失ってしまうし、魔力を下げると今度は保存がきかなくなる。
薬師の修行の初歩の初歩で叩き込まれる、『絶対に自己判断で手順を変えるな、計量を完璧にしろ』に逆らっているんだもの。当然よね。
薬草の種類をかえてみるかな。
確か特上級を作る過程で、希釈しても薬効成分が失われない、希少な薬草を使ったわ。
あれを採取した時は、あの人がS級のサラマンダーを倒してくれたので、楽に採れたっけ・・・
あのあと、残ったものをギルドで買い取ってもらって、えーと、あの時の代金は・・・
・・・・・・
・・・上級ポーションが何本も買えちゃうわ・・・
子供でも楽に飲める、おいしい飲用ポーションですもの。
お値段も、初級ポーション以下に設定しないと。
ふう、自分の作ったものに、お値段をつけるのって、苦手。
ずーっと注意されてたなぁ・・・
『おい。ティー、また原価割れでポーションを卸したろう!』
「だってあの小さなお店のご主人、とっても困っていたんですもの。
奥さんが初産で気が気じゃないのに、大きな問屋さんから嫌がらせされて」
『だからって、ギルドの適正価格からはずれちゃだめだよ。
すこしオマケしますって程度でないと』
「だって、採取から精製まで全部私がするんだもの。かかるのは瓶代だけなのよ」
『だから、君の腕に払ってくれるお金なんだよ。そこんとこ考えてちゃんと値段を付けないと、他の薬師たちに迷惑がかかる。いいね』
「はーい・・・」
『だけどその問屋、腹立つな。ちょっと釘を刺しに行こうか』
「うん!」
『赤ちゃん、無事に生まれるといいな』
「うんっ!」
・・・・・・・・・
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ポーションの分類
等級は使う材料の種類と希少性、品質は薬師の腕と治る速度に関係してくる。
初級ポーション 劣 並 上 特上 一般的な傷に使う。
初級冒険者には携帯必須の品
中級ポーション 劣 並 上 特上 重傷に使う。
上級ポーション 劣 並 上 特上 もっと重傷に使う。
欠損はすぐ切断部分を密着すれば、くっつく。
特上級ポーション 即命に係わる重傷に使う。欠損個所もゆっくり再生
エリクサー 命さえあれば、どんな重傷も欠損も即座に直す。
(主人公の作るポーションは、特上を通り越して『神級』なのだが、通常の『鑑定』では⁺としか表示されないため、本人も誰も気づいていない)




