13 田舎での暮らし 3
「ごめんなさい、ダークは私を守るつもりで。
とても頭のいい子なんですけれど、環境が変わったので気が立っているんです、きっと」
なるべく暖炉の方を見ないようにしゃべっていると、やがてとん、と軽い音がして、暖炉から降りてきたミューさんが咳払い。
「あー、お見苦しい真似をいたしまして。
見事な番薔薇なので、観賞用かと思っておりました」
「ダークといいます。祖母の家にずっとあった子なので、私より年上なんですよ」
「ほう、それは珍しい。普通五年か十年で刈り取って植え替えたりするものでございますからね。
年を重ねるごとに狂暴・・・こほん、いや、利口になるようで。
こほん、これからお一人で暮らされるなら、良い留守番になることでございましょう。
えー・・・こほん・・・」
「えーと・・・」
ぎこちなく会話を続けたけれど、ミューさんは咳払いばかりするし、私も目を合わせられないし。
「「あの・・・!」」
声が重なってしまって、ますます気まずい雰囲気。
「あっ、あの、お茶でもいかがでしょうか」
「いえ、ご心配なく、それより、遠乗りでもいかがでしょう。
この土地をご案内しようと、馬車を仕立ててまいりましたので」
遠乗り?
あ、それはいいかも。
外に出た方が、気まずさがまぎれるわ、きっと。
「素敵ですね、ぜひ」
「では、お支度を。
そのトランクの中に、いろいろ入っているはずでございますよ」
「はい」
私は大振りだけれど片手で持てるくらい軽いトランクを下げて二階に上がり、ベッドの上で蓋を開いた。
すると、ぽん、と飛び出すように、麦わらのボンネット型の帽子が出てきた。
その下にあったのは、きれいなショール。そのまた下には、編み上げの華奢なブーツ。
わ、お散歩にぴったりのセット。




