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12 田舎での暮らし 2
私が突然泣き出してしまったので、おろおろしていたミューさんが、突然。
「うぎゃっ!」
といって飛びあがった。
見ると荷物を載せるためにテーブルから下ろしてあったバンバラの鉢のダークが。
大輪の花をのばして、ミューさんのおし・・・いえ、うしろに、噛みついて。
「ダークやめなさい!
私が泣いたのは、この人のせいじゃないの!」
あわててダークを叱り、ミューさんを振り返ると・・・
振り返ると・・・
ミューさんは、暖炉に飛び乗って四つん這いになり、背中を丸めて尻尾を逆立て。
「フウゥゥゥーーーッ」と。
え?
尻尾?
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・ああ、ミューさんは、獣人だったのか・・・。
今まで住んでいた王国では、いろいろ迫害されていて、あまり姿を見たことがない。
なのでてっきり人族だと思い込んでいたけれど。
この国ではもっと、緩やかに受け入れられているのかな?
ええと・・・とりあえず・・・
・・・見なかったことにしよう。




