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妹とは呼ばせない! 作者:東 啓太

第1章:妹と妹オタク

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第十三話『面倒だけど』

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「やけに綺麗だな」
「ほんとう」

 入った喫茶店は外見と違っておっかなびっくり。外観はどこにでもありそうな喫茶店、という感じだったのだが、意外と中は素晴らしかった。

 二階建と思っていた慶人だが、実は突き抜けており上を見ればとても開放感がある。音楽も静かな雰囲気を醸し出し、落ち着きを出していた。また、年季が入ったようなテーブルもなんとも言えない素晴らしさがあった。

「ご注文はどうされます?」
 と店員の人が来て聞く。

「俺はコーヒーで」
「カルピス」
「私もコーヒーお願いします」

 そんな感じで喫茶店のひと時は進んでいく。

 ーーーーーーーーーー

「あの……さやかさん」
「はい〜」
 ゆったりした感じで答えるさやかさん。

「編集者ってやっぱ大変なんですか?」
 まず出て来た慶人の質問はそれだった。少し前から聞こうとしていたのだが……聞くタイミングを全て愛香に奪われたので出来なかったのだ。
 編集者は本を作る上で作家と同じレベルで関わる職業。目の前にそんな職業の人がいるのだ。聞かないわけがない。

「ん〜。大変といえば……大変ですね」
 ふふふ、と少し柔らかな笑いをして、さやかさんは話しだす。

「一番の大きな仕事は誰が相手かわかります?」
「イラストレーターと作家ですか?」
 なんとなく思った答えを慶人はいう。

「イラストレーターや、デザイナーも勿論重要ですが、実を言うと作家相手です。何しろ、作家が書かなければ、予定も何も立てれませんので」

「なるほど……」
 意外と編集の仕事も大変なようだ。

「作家が始めに書いて送ってきた原稿を何度か読み、よくすべきところや、もっと分量が欲しいところなどを指摘して、再度電話やメールを使ったり、直接話して知らせます。そしてそのやり取りを何度かして、これなら出せる、と思うものに仕上げると作家本人相手の仕事は大体終了です」

「あ、はい」
 聞いてもいないのに色々話す、さやかさんに少し戸惑う慶人。そもそも、途中から自分に話しているような感じがしなくなっているので微妙な感じだ。

「そのあとは、全ての誤字脱字をチェックし、あれば直します。同じ時期にイラストレーターがイラストを完成させて、校閲、印刷所、などその他沢山の人の手が加わってようやく一つの本として店頭に並ぶのです。自分が手がけた本が売れる瞬間を見たときはまさに天にも登るような嬉しさですよ」

 ようやく喋り終えたのだが、さやかさんはすごく満足そうな表情を浮かべる。
「へぇ。す、すごいですね」

 なんとか全てを理解……は出来なかったが、途切れ途切れに理解して、「俺もなってみようかな?」と慶人は呟く。
 だがさやかさんは、

「私的には、やめておいた方がいいかもしれないですよ」
 という。

「確かに、さっき話したようにとてもやりがいがある、いい仕事ですが……とにかくブラックです。ブラックすぎて笑えるほどです」

 少し前から担当している妹ものの作家はなかなか原稿、出さないし……おかげで私はほぼ編集社に寝泊まりですし、とイライラした感じでさやかさんはいう。その新人作家は、『可愛すぎる妹に困る』の作者だろうか?

「だから、私はああやって、自分が担当した新刊が出たときは必ず見に行って、買われるのを待ってるんです」
 今回みたいな事は始めてですが、というさやかさん。

「そう……」

 その一言で忘れていたもう一人を思い出す、慶人とさやかさん。ずっとカルピスを黙って飲んでいたもう一人の女の子。

「ごめん、愛香。忘れてた」
「すみません。つい、話に夢中になって誰も視界に入ってなかったのです……」

 少し、すまなさそうに慶人は言う。すまなさそうに、酷いことをさやかさんは言う。
 それを聞いた愛香は、

「分かればいい。だかーー」

 急に口を開けたまま右斜め前を見て数秒停止する愛香。
 パクパクと声が出ないまま、なにかを訴えるようにして、さっと慶人たちの方を向き直る。
 そして、

「妹が……」

 そう言った。確かにそう言った。
 そして、慶人が愛香が見ていた方向を見てみるとーー

次回、真の妹登場!?
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