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忘れられた姫の冒険  作者: こと
第2章 リディネイラ王国
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ノエルside 初めての人

ノエル視点です。

俺が14歳くらいの頃、兄のリベールは早くも婚約者を決め、時期国王として周囲の期待を受けていた。俺は相変わらず好き勝手に城を抜け出しては、デュークとジョシュアの所へ遊びに行く毎日を過ごしていた。

城にいる時、唯一楽しかったことと言えば剣や弓、馬の稽古の時間だった。



「ノエル様、本日も絶好調ですな」

先生が拍手をしながら俺を褒める。


「その調子で座学もしっかりしてくれればいいんだけどね」

そう言って兄上は呆れたため息をついた。兄上は勉強が出来て、弟の俺は運動の方が得意だった。


「兄弟でバランスが取れてていいじゃないか。俺は兄上が王位についたら1番の護衛になるつもりだから。だから剣とか弓とかが出来ていればいいんだ」



……よし。うまく当たった。

俺が放った矢は見事真ん中に命中していた。

先生はまたも俺に拍手を送ってくる。



「それは頼もしいな。ただ剣や弓がうまくても、いざという時頭が使えないと意味がないだろう?……あぁそうだ。ノエルにも許嫁がいたら少しは考えが変わるかもな」


「え……」



それは頭が痛い。

それに俺にはまだ早いと思っていた。

しかし兄上のその言葉がきっかけで、両親は俺にしつこく縁談の話を持ってくるようになってしまった。



だけど俺にその気はないし、まだ女性に対して興味もなく、いくつもの縁談が失敗に終わっていた。何人もの姫や令嬢から、貴方は女性の扱い方がなっていない、ノエル王子がそんな方とは思ってもいなかった……などと数々の罵声を浴びさせられてきた。


……というか王子だからって女性の扱いが上手い訳じゃないし、兄上のような寛大な心も持ち合わせていない。皆思い込みが激しすぎる。






こんな話をデュークとジョシュアに土産話として話してみた。


「ノエル、君は女性というものを分かっていないね。良ければ恋愛スペシャリストのこのオレがアドバイスしてあげようか?」

「……いい。遠慮する」


この頃からジョシュアは既にいろんな女性と遊び歩くプレイボーイだった。

ジョシュアは自信満々に詰め寄ってきたが、両手で阻止して苦笑いで断る。こいつに聞いた俺がバカだ。あてにならない。


……デュークならどうだ?


「ん?俺はそもそも女に興味がない」



ですよねー。

浮ついた話なんか1回も聞いたことないし。


……なぜジョシュアとデュークの差はこんなにもあるんだ。半々にバランスが取れてたら快く相談出来たのに……。


ガッカリと肩を落とすが、2人に相談しても真剣な答えを求めていない自分がいた。とりあえずこのまま適当に逃げていれば両親も諦めてくれるだろうと思っていつもの日々を過ごしていた。








それから3年後。

相変わらず城を抜け出すのが好きな俺は、近場はほとんど行き尽くしてしまって飽き飽きしていた。

「(今日はどこへ行こうか……デュークとジョシュアは仕事でいないと言っていたし)」


どこへ行こうかと考えていると、ふとある森に目がついた。

父上から絶対に足を踏み入れてはいけないと言われていた場所だ。タイクーンで行ったことのない場所といえばあの森くらいだった。この頃城の中で剣術も弓術も馬術も俺に勝てるやつはいなくなっていた。もし森に入って猛獣に襲われたりしても勝てる自信はあったので、何があっても大丈夫だと過信し、俺は森の中に入った。



「……何だ、獣もいない、平和な森じゃないか」


俺は拍子抜けしてしまった。絶対に入ってはいけないと言われていた割には驚くほど何もない。それに空気も澄んでいて、草木や花も綺麗に咲いている。


しかししばらく森を歩いていると困ったことに迷ってしまった。この森には道という道もない。当然人も出入りしていないので道案内の看板だってない。



途方に暮れていると突然森の奥から女性の声が聞こえてきた。人が入れる場所ではないのに誰かいるのか?と、不思議に思ったが助けを求めようと声のする方へ足を進めた。


「(……草が多いな……)」


声のする方は更に草木が生い茂っていて、前が見えなくなるほどだった。

何とか草をかき分けて進むと急に視界が開ける。


「……お、やっと開けた場所に出られた」


陽の光が当たる所へ出られてホッと胸を撫で下ろす。すると視界に1人の女の子が驚きの表情で俺を見ていた。



俺はその子を見ると、身体に電流が流れるような感覚に陥った。 クリーム色で風になびく長い柔らかそうな髪、空と同じ爽やかな水色の瞳、絹のような白い肌に釘付けになる。




……俺はこの時、シャルロットに一目惚れしてしまっていた。




あんなに女性に興味がなかった俺がこの無邪気に笑う女の子に惹かれていた。見ず知らずの子に素性を明かしてしまう失態を犯してしまうほど好きになっていたんだろう。




後に彼女と一緒に旅をする事になって、急に抱きしめて、シャルロットの唇に触れようとして……。


シャルロットは驚いていた。

俺も自分のした事に驚いた。

彼女が無事にオーフェリアに着くまで隠し通すつもりだったのに、抑えきれなかった。

悪い事をしたと反省している。




……でも見つけてしまった。

兄上には申し訳ないけど、1番に守りたい人を。




これからもっと過酷な運命に立ち向かっていく小さなお姫様を、俺は傷つけない。

絶対に守り抜くと心に誓った。

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