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忘れられた姫の冒険  作者: こと
第2章 リディネイラ王国
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戦いたい

夜、シャルロットのおかげで安眠についたノエル。1人で大騒ぎして疲れたせいか、子どものようにすやすやと気持ちよさそうな寝息を立てて眠っていた。こんな寝顔にクスッと微笑むとシャルロットは隣にいるデュークとジョシュアを見る。2人もぐっすり眠っているようだった。


そんな3人の寝顔を見て、今更になって異性と一緒に寝ている状況に恥ずかしくなる。余計な事を考えたせいで、シャルロットはますます目が覚めていく一方だ。


もぞもぞと寝返りをうってみると、ふとあるものが目にとまる。



「(これはノエルの……)」



ノエルの枕元にある剣に目が釘付けになった。よく見ると鞘の部分にはタイクーンの紋章が描いてある。見るからに高価そうだ。



「(あの剣で人を……)」



シャルロットはあの日以来、戦いの記憶が鮮明に脳裏に焼き付いていた。そしてデュークと話した時からある思いが胸にあった。





自分も戦えたらと。





4人で旅を始めると、昼間にノエルたち3人が剣の稽古をしている時がある。シャルロットはその時3人をじっと見つめて、動きをなんとなく見つめていたのだ。


「(……もしかして今日はチャンスなんじゃ……!)」


今シャルロットは目が覚めている。

それに3人は眠っていて、こっそり抜け出して剣の練習を出来るのではないかと。

早速ノエルの剣に手を伸ばす。枕元にあるので慎重に音を立てずにゆっくりと手を進める。


「(もう少し……!)」



鞘に触れて、自分の方に手繰り寄せようとした時、シャルロットの手を勢いよく更に大きな手が掴んだ。




「何してるんだ?」




起こされて不機嫌なのかただ単に怒っているのか分からないが、いつもより低い声のノエルがシャルロットを見つめた。


「あ、いや、これは……」

一気に心臓の鼓動が早くなる。

「つまりその……眠れないから身体でも動かそうかな〜と……」


「剣を使ってか?」


苦し紛れに言い訳をするが、ノエルにはお見通しのようだった。嘘をつくのは諦めて正直に話そうとノエルに向き合う。





「ノエル、私も皆と一緒に戦いたい」






「……君にそんな事させたくない。それにもう俺だけじゃない。デュークもジョシュアもいるんだ。大人しく諦めてくれ」


「嫌よ。私だって皆の力になりたい。足でまといになりたくないの!」



お互いに真剣な面持ちで見つめ合う。

1歩も譲らない姿勢をみせるが、先に折れたのはノエルだった。



「じゃあ弓ならどうだ?接近戦の剣と違って扱いやすいだろう」

「うん!やりたい!教えてノエル!」

「でも今日は遅いから明日な。……虫が寄ってくる前に早く寝ないと……」

「ふふ。絶対明日ね」


虫を気にするノエルに微笑んで、シャルロットは再び寝床についた。



「(まあ、すぐに根をあげるだろう)」



正直ノエルは到底扱えないだろうと適当に返事をしていた。1番の理由は武器をシャルロットに持ってほしくないという願いからだったが。それに一国の姫が武器を持って戦うなんて前代未聞だった。シャルロットの未来も考えて、戦うなんて事をさせたくなかったのだ。

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