へし折られた覚悟
「なるほど……。どおりで育ちは違うけど、世間知らずなところは本当、お姫様って感じ」
「オレはもちろん2人に協力するよ。話してくれてありがとう、シャルロット」
シャルロットの話を聞き終えたデュークとジョシュアは思い思いの感想を述べた。
ジョシュアは快く頷いているので現時点で旅の同行には心配無さそうだ。
しかしデュークは納得いかないような面持ちでいる。最初からシャルロットの印象がマイナスな上、何だか自分を毛嫌いしているのではないかと肌で感じ取れた。
とりあえずノエルの傷が癒えるまではマルゼーラに滞在する予定なので、それまでに何とかデュークときちんと向き合えるようにしようと心に決めるのだった。
そしてマルゼーラに来て3日経った。
ノエルはまだ眠っている。時々起きたりするが、目を覚ますだけで体は動かせないようだった。
というより、デュークやジョシュアがノエルの動きを制限するのでノエルにとっては不自由な生活を送っている。
そしてシャルロットは心の傷がずっと癒えないでいた。あの日以来、元気が取り柄のシャルロットが塞ぎ気味になり、ため息ばかりつく毎日を過ごしていた。食事も喉を通らず、ジョシュアに心配されている。
「ノエル、起きてる?」
ノエルが寝ている部屋へ静かに入る。
今日デュークとジョシュアは仕事があると言って、朝から家を開けていた。ちなみに2人は何でも屋を営んでいる。
「寝てる……よね?」
目を閉じて規則的な呼吸をしているのを確認する。シャルロットはベッドの横にあるイスに腰掛け、寝顔を見つめた。男なのに長い睫毛、鼻筋は高く、寝顔だけでも男前というのがよく分かる。
「ノエル、ごめんなさい。私が何も知らないばかりにあなたを傷つけてしまって。……ついこの間意気込んで旅立ったのに初っ端から挫折しちゃうなんてね。私の覚悟なんて口先だけだったのかな……」
ノエルに問うように顔を覗き込む。当然の事ながらノエルは何も反応しない。
「考えたってどうにもならないわよね。……さ、そろそろ2人が帰ってくるから掃除していようかな」
そう言ってシャルロットはノエルのいる部屋を後にした。
ドアの閉まる音がして、ノエルはゆっくり目を開ける。シャルロットの言葉を寝た振りをして聞いていたのだ。
ノエルは自分の弱さに怒りを覚える。
あの時自分が傷つけられなかったら、今頃何事もなく旅をしていただろう。
そして、シャルロットにあんな思いをさせずに済んだ。
天井を見つめながら悔しさを噛み殺し、手に力を込めて、やるせなさを感じていたのだった。




