あの悩み、解決できるかな?
これ、大丈夫ですかね?
きっと大丈夫ですよね、このくらい。
やほやほー、愛ちゃんだよー。
解決法を考えてみたから聞いてほしいんだ。
問題だったのは愛梨が性別を偽ってるのに女の子の友達と温泉に入らなきゃならないってこと。
温泉なんて性別を誤魔化せるところじゃないもんね。
男が女って言い張るなんて、絶対許されないところでしょ。
でもさ、女の子だよって偽る場合には使える、もっともらしい逃げ道があることに気がついたんだよ!
前世こそ女子だったものの、今は男なものだからすっかり忘れてた。
女の子には、女の子の日ってものがあるんだよね。
あの忌々しいとすら思えるやっかいな日々がさ。
ちょうどその日が来ちゃったよ、って言えば温泉だけ回避できるんじゃないかな?
どう?
愛梨、頭よくない? 天才でしょ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
私たちの可愛い可愛い友達、愛梨のことだけど。
最近ようやく悩みが解決できたみたい。
伏し目がちだった目もしっかり前を見るようになったし、ため息もつかなくなった。
当然バレバレな嘘もつかなくなった。
結局何に悩んでたのかは教えてくれなかったし、力になれなかったのは残念だけど、愛梨の顔がくもらなくなったことが一番大切なことだと思う。
「ねえ、あのね」
あれ? どうしたんだろう?
愛梨が気まずそうにするようなこと、何かあったかな?
あ、あれかな。
この間悩みすぎてお腹が痛くなっちゃったときの授業のノートを見せてほしい、ってやつ。
そう言えばそのあとぐらいからだったかな。
愛梨の悩みが解決できて元気になったのは。
「この間の現代文のノート?」
「え? あ、うん、そうなの。
ごめんね、借りてもいい?」
「もちろんだよ」
「あ、ありがとう」
よかった。愛梨は純粋に笑ってるのが一番可愛いから。
でも変だな、またため息ついてるみたい。
「あの、あのね」
「あ、現代文のノート?」
「あ、うん。ありがとう!
それで、あのね」
「うん? どうしたの?」
またしばらく愛梨はため息をつくようになってたけど、それと関係あるのかな?
今度こそ何に悩んでるのか聞いて力になれるといいんだけど。
「今度行く旅行なんだけどね、どんな部屋に泊まるのかなあって思って」
「ああ、そうだ! もう予約入れたんだよ」
「えっ、そうなの? ど、どんな部屋?」
「豪華だよー。温泉も大きいけど、部屋にもお風呂がついてるの! これなら愛梨も安心でしょ?」
「うん! よかった! ありがとう!」
「うん、どういたしまして」
よかった、こんなに可愛い子が一人で男湯なんて心配だもんね。
愛梨はそれを心配してたのか。
今度は力になれてよかった、よかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ふー、よかった。
もう予約入れてあるって聞いたときは部屋にお風呂がついてなかったらどうしようかと思った。
だって温泉しかなかったら結局別々にお風呂に入るなんてできないもんね。
女の子の日っていってもシャワーだけ浴びればいいのであって時間をずらす理由にはできないから。
これで悩みは解決だね。
春香の言う通り、これで安心だ。
ん? ちょっと待って。
なんかおかしい気がする。
『温泉も大きいけど、部屋にもお風呂がついてるの! これなら愛梨も安心でしょ?』
春香はなんでこう言ったの......?
おひさしぶりです。
ティーの方が投稿できていないので、前にかなり適当に書いた短編の続編を書いてみました。
あいかわらず愛ちゃんはバレてることに気がついていないかと思いきや、って感じですね。
今日はデートでした。
色んなお店を見て回って、お茶して、ペットショップで癒されて、ネックレスを買ってもらって、映画を見て帰ってきました!
まあ、相手は女の子なのですが、内容は完全にデートだと思うのです!