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プロローグ


「あー、めんどいお」


 あたし――雪原ゆきはら雪華ゆきか17歳はラフな着くずしたジャージ姿で、布団で寝転がりながらRPGゲームをしている。

 ストーリー重視で有名な覇王伝の最新作――覇王伝4をプレイ中なのだが、海底神殿のボスに至るまでの雑魚敵ざこてきとのエンカウント率の多さに軽くうつっている。


「仕方ないお……ここはAUTOモードの出番だお――ぽちっとな」と戦闘をAUTOモードにし、戦闘終了のリザルト画面のときと、通常マップ移動の時以外は観戦を決め込むことにする。


「戦闘中のうちに食料確保だお〜」


 お尻をぽりぽりかきながら――数時間ぶりに立ち上がり、すぐそばにある冷蔵庫から大容量のスポーツドリンクのペットボトルを、そして戸棚からはポテチを確保する。


(「宝くじあたってラッキーだったお。

 天涯孤独だったあたしに神様のご褒美だったお」


 あたしは両親がいなくて、親戚の家に厄介になっていたのだけど――お小遣いで買った宝くじが大当たりして、大当たりしたその日の内に高校をドロップアウトし、一人暮らしをすることにしたのだった。

 一生働かなくていいお金を手に入れたあたしは1LDKの安賃貸のこの部屋を自分のお城として生活をはじめた。


(「正直、人付き合いとか苦手だったし――死ぬまで適当にゲーム出来れば万々ばんばんざいお」


 親戚の家の子と軽くゲームするくらいだったあたしだったが――親戚の家を出てからはゲーム三昧と週に一回のアニソンを独りカラオケするくらいだ。

 ちなみに主食はポテチ。

 たまに親戚の同い年の子がご飯を作ってくれたり、果てはお風呂に入れてくれたりの生活。

 

 戸棚のガラスにあたしの顔が映る。


 ――童顔でチビで目つきの悪いぼさぼさの黒髪ツインテールの胸なしのゆきかちゃんが映る。


「交通機関子供料金で乗れるからラッキーだお」

 負け惜しみでもなく本当にそう思っている。

 別に誰かによく見られたいとか思っていないし――この「お」っていう語尾も2サンネルの掲示板の書き込みで語尾を「お」で打っていたら、実際しゃべるときもいつの間にかそうなっていたという。


「2サンネル――おそろしい子……あっやば!!」


 久しぶりに立ち上がったから思った以上にぼーっとしていたらしく、ゲーム画面を見てみると敵が仲間を呼んで変なループに入っており――ありていに言えば、全滅しそうだった!!


 あたしは急いでAUTOモードを解除して、自力操作で打開しそうしたのだが――


「あっ!!」



 ――あたしはタコ配線となっていたコンセントに足を引っ掛けてしまう。


 一瞬の浮遊感ののち、


「あべしっ!!」


 頭の後頭部に何か鈍器のようなものがあたった。


 倒れゆくあたしの視界には――大容量のスポーツドリンクのペットボトルがみえる。


(「なんてこったい」


 薄れゆく意識の中、理解する。

 転んだ拍子ひょうしにペットボトルがあたしの手から離れて舞い上がり――そして、まるでコントのようにあたしの頭に衝突したらしい。


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