リトバス同窓会!
「よう」
「こんにちは」
「よ、宮沢ご夫妻様か。お前らが一番乗りだぜ」
宴会場のような場所に座っていた恭介の所に、謙吾とみゆきがやって来る。
「今日は剣道場は良かったのか?」
「なぁに、前から休みにすると言っておいたから問題ない」
そう言いながら、二人が席に着く。
「それにしても、私がこの場にいてもよろしいのでしょうか・・・」
みゆきが遠慮するように言う。
「気にするな。入ってなかったとはいえ、他のメンバー全員と学生時代からの知り合いだし、何より謙吾の妻なんだから当然だろ?」
「そう・・・ですか」
みゆきが嬉しそうに言う。
「おーっ、お前ら先に来てたのか」
真人も入ってくる。
「久しぶりだな、真人」
「お久しぶりです」
「おう」
簡単にあいさつをする。
「なあ、俺の上腕二頭筋前より太くなったと思わねえか?やっぱりジムに就職して正解だったぜ!」
「インストラクターとはそういう仕事ではない気がするが・・・というかそのセリフは何度も聞いた気がするぞ」
「何度も思ってるんだよ!」
「うっさいわボケ!」
ばきぃ!
「お、鈴も来たか」
「あいかわらずばかだな、こいつらは・・・」
いつの間にか鈴も参加していた。
「小毬や能美と一緒に来るんじゃなかったのか?」
恭介が鈴に尋ねる。
「いや、もう来てるぞ」
鈴の指差す先には、こちらにやって来る二人の姿が。
「おひさしぶりです~」
「お久しぶりです、恭介さん」
「おう」
「ん、何か持ってきたのか?」
大切そうになにやら箱を持っている二人に謙吾が尋ねる。
「あ、これは特製パフェですよ。おみやげに作ってきました~」
小毬の箱の中身は、様々なパフェだった。
「うまそうだな。趣味があるのはいいことだ」
謙吾が感心したように言う。
「私はジャムを持ってきました。お口に合えばいいのですが・・・」
クドもおみやげに、色々なお手製ジャムを持参していた。
「大丈夫だろ。お前が同僚に配るジャムはおいしいと評判だと、宇宙開発局の知り合いから聞いたぜ」
「そうですか。えへへ。ありがとうございます」
クドがぺこりと頭を下げる。
「ヘイ、エブリワンズ?元気かーい?」
と、相変わらず脈絡のない口調で葉留佳が登場する。
「そういえば鈴さん、この間はストレルカとヴェルカのシャンプーとグルーミングありがとうございましたー。ふたりに改めてお礼を言っておくよう頼まれたんですよ」
「いや、仕事だから礼なんていいぞ。犬でも猫でも洗うだけだしな」
「元気かーい?」
「おーい真人、そろそろ起きろ」
「・・・・・・ん、いつの間にかメンツが増えてるじゃねえか」
「げ・ん・き・かーい!!」
「うるさい、はるか」
「なんか私の扱いひどくない?」
「いやいや、葉留佳君の扱いは昔からそんなものだったと思うぞ」
ヘコむ葉留佳の背後に突然来ヶ谷が出現する。
「うわっ!相変わらず神出鬼没デスね姉御」
「まあな。普通に登場してもつまらんだろう?」
はっはっは、と来ヶ谷が笑う。
「じゃあ学校でもそんな登場の仕方してるですか?」
クドが尋ねる。
「いや、毎度毎度やっていたら新鮮味がなくなるだろう。たまに生徒にパフォーマンスを見せたりさせたりするだけだ」
「させたりって・・・生徒に何をさせてるんだ」
「いや、それは聞かないほうが身のためだぞ謙吾少年」
げんなりしながらの謙吾の質問を、来ヶ谷は軽く流す。
「そういえば、まだ来てないのは理樹たちだけか?」
「ん?そうだな。あいつらなら早めに来そうなもんだが・・・」
「・・・ん?きょーすけ、なにか聞こえなかったか?」
鈴の言葉に、皆で耳を澄ませる。
「・・・予定より遅くなってしまいました。理樹さんのせいです」
「・・・なんでさ!?美魚だって途中で忘れ物したじゃないか!」
「私はいいんです」
「ちょっと・・・って子供たち泣き出してるよ!」
「あっ・・・ああよしよし、落ち着きましょう。大丈夫ですよ」
「・・・なんか騒ぎになってるのか?」
「・・・さあ?」
「みんなー!遅くなってごめん!」
「遅くなりました」
理樹と美魚が入ってくる。・・・二人の赤ちゃんを連れて。
「理樹君、みおちゃん、それって、もしかして・・・」
「うん。僕と美魚の子供だよ」
「うわーっ!おめでとー」
「おめでとうございます」
小毬とクドが祝福する。
「遅れたのはそいつらのせいか?」
「うん。ちょっとトラブルになっちゃってね」
真人の言葉に、理樹は頭を掻く。
「さて、紹介するよ。こっちの子が、謙介。こっちの子が、美鳥。」
理樹が二人の子供を紹介する。
「理樹、なんであたしたちに教えてくれなかったんだ?」
「いや、恭介がそのうちリトルバスターズの同窓会をやるから、その時まで隠しておけって言うからさ・・・」
鈴は不満げに恭介を睨むが、恭介は気にせず、謙吾と子供たちの頭を撫でている。
「前見たときより大きくなったな」
「確かに。まあ成長期だからな」
「・・・お前ら知ってたのか?」
真人が恭介と謙吾に詰め寄る。
「ああ、理樹が男の子が生まれたら、俺と謙吾の名前を使いたいって言ってな」
「俺もそう聞いた。産まれたばかりの頃にも会いにいったぞ。可愛かったな」
「じゃあ、謙介ちゃんは恭介さんと謙吾君の名前をもらってるんですね~」
「うん。恭介みたいに人を救ってみんなを幸せにして、謙吾みたいに強くて頼もしくなってほしいと思ってつけたんだ」
「・・・待てよ。それじゃあ、理樹は子供に俺みたいになってほしくないってことかよ!」
「はい。筋肉ダルマになったら困りますから」
「うおぉーっ!!」
真人が絶望する。
「そんなことないから真人!美魚もいじめないであげなよ」
「・・・冗談ですよ井ノ原さん。安心してください」
「はあ・・・理樹が俺のこと嫌いになったのかと思ったぜ・・・」
「大丈夫だよ。それじゃあ、もし三人目が産まれたら、真人からも一文字もらう事にするから」
「理樹・・・やっぱりお前は・・・最高の幼馴染だぜ・・・」
今度は感動して泣き出した・・・
「・・・ほーぅ。理樹君と美魚君は三人目も望めるほど夜の生活が充実しているのだな」
「・・・・・・!」
ニヤニヤしながらの来ヶ谷の言葉に、真っ赤になる二人。
「ほほう、うらやましいことデスな」
「あたしはよく分かんないんだが、はるかは分かるのか?」
「えっ、わ、私?」
「はるちゃん、私も説明してほしいな」
「え、えぇーっ!」
葉留佳は余裕を見せたつもりが、恥ずかしい事を問い詰められることになったのだった。
「・・・なあ、全員そろったんだし始めねぇか?」
「そうだな。じゃあ皆グラスを持て!」
恭介の号令に、みんなはグラスを掲げる。
「離れ離れになろうとも、リトルバスターズは不滅だ!乾杯!!」
「「「「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」」」」
グラスを合わせる音が響き、宴会が始まる。
「みお、美鳥っていうのはどういう意味なんだ?」
鈴が美魚に問いかける。
「・・・詳しいことは言えませんが、私の大切な人の名前です」
「そうか・・・詳しいことは言いたくないならしかたないな」
遠い目をする美魚に、鈴はあっさり引き下がる。
「あれ?そういえばみおちゃんって、少し目が悪くなってきたから眼鏡をかけるって言ってなかった?」
「コンタクトレンズを使っています。それに訓練すれば視力を上げることも不可能ではありません」
「そうなのですかー。でも商店街でお会いした時、眼鏡を買うとおっしゃってませんでしたか?」
「ああ、それは―――」
と、クドに説明しようとした理樹は、美魚からの視線を感じて黙ってしまう。
「・・・そういうことか」
恭介が納得したように言う。
「どういう事だ?」
真人が尋ねる。
「大方、理樹が眼鏡をかけない方が可愛いとでも言ったんじゃないか?」
「え、どうして分かったの?」
「理樹さん!」
「あ、ごめん・・・」
二人のことを、恭介はにやにやしながら見ている。
「・・・そうか。やはり美魚君は男を尻に敷きそうに見えて、少年には相変わらず骨抜きにされているのだな。大方夜は少年にいいようにされているのではないか?」
「な、な、何を言うんですか、来ヶ谷さん」
図星だったのだろう。美魚は顔を真っ赤にしてわたわたしている。
「フッ、こいつは昔から恋愛が絡むとキャラが変わるな」
「・・・謙吾さん」
「ん、何だ?みゆき」
「お二人のお子さんを見ていたら・・・私も子供が欲しくなってきました」
「・・・・・・・・」
今度は謙吾とみゆきが顔を真っ赤にしている。
「かあーっ!理樹も謙吾も女とラブラブしやがって!なんで筋肉には寄ってこないんだよ!!」
「そもそも筋肉に寄ってくるような女はいないだろ」
「なんだとてめぇ、筋肉を馬鹿にすんじゃねえ!!」
「うっさい!!」
ばきぃ!
「・・・すいません」
真人は白目を剥いて謝る。
「・・・ふふっ」
「どうかしましたか?理樹さん」
「いや、みんな変わらないなって思ってね」
「確かに、私が入ったころと全く変わっていない気がしますね」
美魚もくすくすと笑う。
「まあ、僕もそんなに変わってないんだけどね。美魚を好きって気持ちとか」
「・・・いきなりそんな恥ずかしいことを言わないでください」
美魚は頬を赤らめる。
「いじめられたから、つい可愛い美魚が見たくなってね」
「・・・そういうセリフを言い慣れたのかもしれませんが、私はいつまでたっても慣れないので、やめていただけませんか」
「僕だって恥ずかしくないわけじゃないんだけどね。でも、美魚の照れてる姿を見たいから、いつまでも慣れないでほしいな」
理樹の言葉に、美魚は黙り込んでしまう。
「お前ら、相変わらず仲がいいな」
恭介が声をかける。
「理樹よう、いちゃつくのはいつでもできるんだから、今日は俺たちと騒ごうぜ!!」
「そうだぞ?せっかくみんなで集まってるんだからな!」
「・・・うん。そうだね。・・・リトルバスターズ、最高!!」
「「「「「「「「おーっ!!」」」」」」」」
「ふぅーっ」
宴会場で散々騒いだ後、男女に分かれて入浴に来ていた。
「今の生活が嫌なわけじゃねえけど、やっぱりこのメンツが揃っている時が一番しっくりくるよな」
「そうだな。新しい仲間や弟子が出来ても、やはりリトルバスターズに勝る絆はない」
真人の言葉に謙吾が頷く。
「そうだな・・・俺が作って、理樹が守って・・・それが今でも続いてるなんて、最初は考えもしなかったぜ」
恭介も感慨深そうに頷く。
「・・・ありがとうね、恭介」
「なんだ、理樹?」
理樹の言葉を、恭介が聞き返す。
「恭介はリトルバスターズは僕が守ったんだから僕のものだって言うけど、やっぱり恭介が作らなかったら僕は何も出来なかったと思うから。それに・・・」
理樹が少し恥ずかしそうに俯く。
「恭介が野球チームを作るって言い出さなかったら、僕は美魚と出会えなかったかもしれないから。だから・・・恭介には本当に感謝してるよ」
「・・・そんなことはないと思うぞ、理樹」
しかし恭介は首を振る。
「・・・え?」
「少なくとも、俺が何もしなくてもお前は美魚と出会っていたと思う」
「そうだぞ。俺たちはお前らがいわゆる「運命の二人」だと考えているからな」
「う、運命って・・・」
謙吾の言葉に理樹は少し面食らう。
「オレもあの世界での事は色々見てたけどよ、理樹が西園のヤツに懸ける思いは他のどいつに対しても強かったぜ。正直ちょっと焼けたぜ。西園のヤツによ」
真人が言う。
「ああ。繰り返しの世界では色々な事が起こったが、理樹がまともにやったら死ぬような事をやったのは西園を助ける時だけだったしな」
恭介も同意する。
「そして世界を越えてなお、お前たちは互いの気持ちを忘れずに結ばれた。これを運命と言わずに何と言う!」
ロマンティック大統領こと謙吾が締める。
「美魚が僕の・・・ね。じゃああのおみくじは当たってたのかな・・・」
「・・・何の話だ?」
理樹の呟きに謙吾が尋ねる。
「みんなが揃ってから最初の元旦にみんなで初詣にいったでしょ。そのとき僕と美魚のおみくじには、今の交際相手が運命の人かもしれないって・・・」
「神のお墨付きか。じゃあやっぱりオレたちの推測は正しいわけだな」
真人が満足そうに言う。
「まったく羨ましいヤツだぜ。高二で運命の人と出会えるなんてよ」
恭介が理樹の頭を乱暴に撫でる。
「痛いって恭介!そういう恭介だって昔からモテモテでしょ?」
「いや・・・恭介はロリでシスコンだからな・・・」
「どっちも手出したら警察にしょっぴかれるぜ・・・」
「だから俺はロリじゃねぇーーっ!!」
深刻そうな真人と謙吾の言葉に対し、恭介の悲痛な叫びが響き渡った。
一方の女湯。
「・・・なんか今、馬鹿兄貴の声がしなかったか?」
露天風呂に一番に入ってきた鈴が言う。
「確かに今恭介氏の声がしたな。己が性癖に苦悩するとは・・・まだまだ青いな」
「危険な説明はいいですから、道を塞がないでくださいよ姉御」
「おっと。すまんな葉留佳君」
来ヶ谷が進み、皆が入ってくる。
「・・・・・・」
鈴は一目散に蛇口に向かう。
「おっと鈴ちゃん逃げるつもりかー?こまりん、クド公、対鈴ちゃん用バブリースポンジですヨ。みんなで鈴ちゃんをキレイにしてあげましょう!」
「おーっ!」
「了解なのです!」
小毬、クド、葉留佳の三人で鈴を包囲する。
「うわぁっ!いい、いいっ!」
「ではおねーさんと二人でゆっくり洗うか」
「もっといやじゃ、ぼけーっ!」
「じゃあみんなでしようねー鈴ちゃん」
「う、うぅーっ・・・!!」
相変わらず鈴はいじられキャラなのだった。
「ふむ。やはり目麗しい女性たちと裸の付き合いをするのはいい事だな」
湯船に浸かりながら相変わらず不穏な発言をする来ヶ谷。それを葉留佳がじっと見つめていた。
「ん?何だね葉留佳君」
「いやー、姉御の胸って相変わらず大きいなーって。私は昔から成長がないデスヨ」
てへへ、と葉留佳が苦笑いする。
「キミには昔に教えただろう?胸を大きくしたければ揉んでもらえと。葉留佳君は実践しなかったようだな」
「・・・その方法で本当に大きくなるのでしょうか?」
みゆきは少し疑わしげだ。
「当然だ。実際、実践した美魚君は以前とは比べ物にならない大きさだ」
その言葉に、皆の視線が美魚に集中する。
「・・・たしかにすごく大きいのです」
クドが心底羨ましそうに言う。
「いえ、子供を産むとしばらくは大きくなるものです」
美魚はあわてて否定する。
「それにしても大きいだろう・・・私の見立てでは、葉留佳君よりも大きいな。小毬君といい勝負だろう。何年も少年に揉まれまくった成果か」
「・・・・・・」
美魚は真っ赤になって俯いてしまう。
「なんだ、胸がでかいとなんかあるのか?」
相変わらず鈴はよくわかってない。
「鈴君はそういうところが可愛いな。・・・それにしても、そんなに美魚君の胸は触り心地がいいのか・・・少し揉んでみよう」
来ヶ谷が美魚に近づく。
「・・・っ!」
美魚が素早く来ヶ谷との距離をとる。
「はっはっは。冗談だ。大方、理樹君以外に触らせたくないのだろう?」
「・・:はい」
美魚が恥ずかしそうに頷くのをにやにやしながら見ると、来ヶ谷は次の獲物を物色する。
「・・・クドリャフカ君、キミのを揉もうか?成長があるかもしれないぞ」
「いえ、遠慮しておきます・・・やっぱり大切な人にしてもらいたいですから」
「そうか。残念だ」
来ヶ谷が本当に残念そうにする。
「楽しい人たちですね、本当」
みゆきがぼそっと呟いた。
理樹と美魚の娘の名前の由来は本編をクリア済みなら分かります。
美魚の一部分が成長しているのは二人がそこを成長させるという名目で行きつくとこに進んでいったという脳内設定があるため。その話は連載小説の方でも書く予定です(R15ですので18禁ギャルゲーの移植版のような構成になるでしょうが)。まあ個人的な趣味も入ってますが。