三人のデート
次の週安部は花梨と海松と、デートした。
まさに両手に花だったが。
海松と花梨が実は女の子同士で、
好き合っているとは思いもしなかった...
だがそれは憧れという意味で出し、
どちらかというと、恋人とかそういうものでは
ないはずだと安部は花梨を信じていた。
花梨はいった。
生き物は不思議なものでひとつひとつが
繋がりを持っているのに、それを
からだという箱のなかで別れているの...
そうおもうの...
だから、お互いの故郷を行き来するには、
それは無理なの...
ひとつの国がその人だとすれば、その
故郷には立ち入ることはできないの...
そうなのか...安部はいった...
海松は浜辺でごろんと寝そべった。
でも気持ちはとても近いところに感じる
ことはできるともうけどなぁ...
そうでしょうか?
それは感じとることでしかないのではないのでしょうか?
安部はその時はじめて花梨の持っている
なにかの影の原因を突き止めた気がした。
花梨・・・
そうだったのか...
花梨ははっとして口を閉ざした。
安部は悟った。
花梨はきっと神を信じていたんだろう。
きっとそれをしたっているのに自分の前に
現れてくれないその気持ちが人と人との
接点を持てない気持ちとそれがなにか
運命共同体という世界のなかで
共に生きているという僕たちとの
間に矛盾点を抱いているのだろう...
何となく気がついていたがそれは
現実そうなんだろうと悟った。
海松にそれを見いだしているのは
たぶんその時に安部は気がついてた。
海松はそれを自然と親密さという
垣根を取り払う能力を通して
打ち消してくれるなにかを持っていた。
だから紹介したのかもしれないと
安部は思った。
僕らは、防波堤にそって歩いていると
風がふんわりと包みここでいた。