優しい涙の誘い方
きっと運命の人じゃなかったの
こんな時だけ使う運命という言葉がひどく滑稽にうつる。
交際期間9ヶ月ははたして長いのか短いのか。
分かるのはこの関係が再び修復する事はないと言う事。
はじまりは物語的だった。
なんてことない朝の満員電車で、何気なく目が合うようになって。
最初は逸らしていた視線も偶然が重なり続ければ会釈を交わす程度にもなって。
会話するようになった。
食事に誘われた。
アドレスも交換した。
思い出して気付く。
好きと言われた事はなかった事に。
これが恋愛物語ならなんてマヌケな主人公。
会うのはいつも外で、お互いの住所すら知らない。
恋人ですら、なかったのかな。
ううん、それは違う。
大切にはされていた。
友達の域ではなかった。
ちゃんと女扱いだった。
だから。
ごめんの意味はそういう意味。
結論は、彼に好きな人が出来たと言う事。
なんとなくで付き合ってもいいかな程度の私とは違う、ちゃんと好きな人。
「なんじゃそりゃ、キレイに言ったところで単なる心変わりだろ」
浮気じゃなかった。
二股じゃなかった。
彼は好きな人と両思いか分からない時点で私に別れを告げた。
もうそれだけでいいと思えたの。
「わからん。何がいいのか全くわからん」
それ以上の誠実は私を傷付けるだけだったの。
「バッカじゃねーの」
バカ……かな?
でも好きってこういうものでしょ。
ハッピーエンドだけが恋じゃない。
「人生のエンドをどこにするかは知らねーよ。くっ付いたところでハッピーエンドならお前だって体験済みだろ」
なんで、そんな、事ばっかり。
「あのさぁ、それ、本気で言ってる?」
こちとらわざとあんた傷付ける言葉言ってんの
見開かれた目に快さそうに笑う。
「泣いちまえバーカ。綺麗な戯言聞いて貰うために俺呼んだの?建前はいいから本音どーぞ?」
腫れ上がった瞼をおかしそうにつつかれる。
「心配すんな、行き遅れたらもらってやる」
下手くそな慰めに笑った。
えーと、突発的に出来ました。
ちょっと別れものを書こーかと。
でもバッドエンドはヤダなー、みたいな
年齢設定してません
でも食事に誘うって高校生以下であるのか、とも思います
王道で幼馴染な関係の2人
彼の優しさはあたたかい言葉や慰めではなく突き放し零させる本音と涙です