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Bloody Code  作者: 大森六
第三章 関東大一揆、洛外編

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第80話 クロカタゾウムシ

「那須町役場が爆破⁈ 」


「最も近い機動課と公安が向かっているそうだ。俺たちもすぐ行くぞ!

 移動しながら状況を整理する。まずはテロ襲撃地の那須町に向かうぞ!」


「「「了解!」」」



 高杉、沢田トンボ、片瀬片奈かたせかたな太地たいち月人つきと六太むったのメンバーがミニマルジェットに乗り込む。



「高杉、あとは頼んだぞ!」


「了解しました。快速でぶっ飛ばしていきます!」



 そして高杉達はNFNF(エヌフ)のもとへ飛び立った。



「僕……こんな長い時間操縦するの初めてだわ。GSD(ジスド)引退したらパイロットになろうかな」


「いいじゃないっスか。スッチーさんに会いたい放題っスよ。」


「……ま、まぁね。みんな引っ張るね。そのネタ」



 そして小松部長から連絡が入る。



《栃木県、那須郡那須町の役場だ。リゾート地の那須塩原じゃないから間違うなよ。被害はおよそ150人でNFNF(エヌフ)の数も50はいるって報告だ。気をつけろよ!》



《了解!》



 なぜ、そんな小さは役場を狙ったんだ? シーカー全員がそう考えていた。だが理由を探すことよりも、今はテロ殲滅が先だ。


「トンボ、虫達と連絡取れたら教えて。場所とか正確な人数とか」


「了解っス!」


 そして10分後、トンボが青ざめた顔で高杉達に報告する。



「町役場の隣に小学校があるっス。そこの子供達が逃げ回っているって……」


「なんだと! 町役場だけでなく子供達にまで手を出したのか!」


「おそらく機動課だと思うっスけど、現在小学校の運動場で交戦中みたいっス」


「昼間だからな。爆破で驚いて出てきて、運動場に集まったところをやられたか……」


「子供達は殺されているのか?」


 高杉が一番恐ろしい展開を想像して確認をする。




「……いや、どうやら連れ去ろうとしているようっスね。強引に一箇所にまとまって捕らわれているみたいっス。100人以下の人数で」


NFNF(エヌフ)……絶対に許さない……」



 闇夜刀あんやとうをすでに準備して片瀬がボソッと呟く。相当な怒りの感情を抑えているようだ。



「あと、10分で着くから簡単なルールだけ決めておくね。

 まず、到着時は一回上空を旋回して状況を確認する。それからいつものようにみんな飛び降りて。

 片瀬さんと月人が伍長クラスを担当。余裕があれば雑魚般若(はんにゃ)殲滅せんめつ。多分、機動課が雑魚般若といい勝負していてボスが後ろで観ている状況だと思う。彼らは味方だから、たとえ邪魔でも手を出さないでね。」


「わかったわ」


『任せろ!』



「トンボと太地は子供達の救助優先で動いて欲しい。正直生きているのかどうか望みは薄いかもだけど。無事に確保したら僕に連絡して」



「「了解!」」



 ミニマルジェットが役場と小学校に近づいてきた。役場は煙と炎で包まれている。煙に巻き込まれないように旋回しながら様子を伺う太地たち。


 目に飛び込んできたのは小学校の運動場で機動課と公安の部隊がほとんど壊滅状態だった。事前情報では合同第四部隊までが攻撃中という知らせだったが……どうやら、雑魚般若ではないようだ。



『全員やられてるぞ……片奈、お前どこから攻める?』


「後方ど真ん中でこっちを見ているあの強そうなやつにするわ」


『オッケー、じゃぁ俺はその周りの奴らだな』



『太地、また後でな!』



 そういって片瀬と月人が先に飛び降りる。



「太地! 子供達は学校の中っス。 一緒に行くっスよ!」



 太地は頷き、トンボと校舎の屋上へ。高杉は大きく旋回して空から状況を把握して小松部長と連絡をとる事にした。



 校舎屋上から潜入した太地とトンボは3階で拘束されている生徒を助けに向かう。途中無残に殺された生徒とそれをかばったのであろう教員の死体を目撃する。


「許せないっス……」


『おいトンボ、突入するときは【クロカタゾウムシ<黒堅象虫>】だぞ。オイラがより強固にしてやるからな』


 六太むったがいつの間にかトンボの肩に乗ってトンボの額に前脚で触れながら目を閉じる。

 ポワッと輝いて優しい光が注入されていく。


「お! こっこれは……なんか力がすごくみなぎる感じっス!」


 廊下を走る太地たちの正面にNFNF(エヌフ)ローダー数名が現れて銃口を向けて構える。


「撃てぇ!」



 その瞬間、トンボが太地の前に飛び出す。


「トンボさん!」


「友の力 【クロカタゾウムシ】」


 ドガガガッ!


 太地をかばったトンボに弾丸が直撃する! だが金属に当たって跳ね返るような乾いた音がキンキンキンと廊下に鳴り響く。



「直撃だ! 接近して捕らえろ!」


 近寄ってきたNFNF(エヌフ)ローダーにトンボが渾身の一撃。そして残りを太地がフォローする。 


「よし!このまま進むっス! あの教室の中に子供達がいるっスよ」


 教室には生徒たちが押し込むように大勢とらわれているようだ。更に全速力で前進するトンボと太地。二人が5メートル先まで近づいたとき、ローダーが一人出てきた。



「くそ! まだいたのか!」



「お前ら全員死ね! この世の無慈悲な愚民共に惨き――」


「友の力 【トノサマバッタ】」


 太地の目の前を走っていたトンボの姿が消えた。


「え!」


 次の瞬間、太地の目に映ったのは自爆しようとしたローダーにタックルしていたトンボの姿だった。

 

 強烈な一撃を喰らって自爆のタイミングが遅れたその隙をついて、廊下の窓ガラスを割りながらNFNF(エヌフ)ローダーを羽交い締めして外へ飛び降りる。



「太地〜! 子供達の救出、頼んだっスよ!」


 そして、爆発音と共に付近の廊下側のガラスが全て割れて飛び散る。



「えぇ! トンボさん! トンボさん!」


 いきなりの出来事で焦る太地。トンボが爆発に巻き込まれて……



『おい太地! トンボは生きてるから安心しろ! 今は子供達を逃がすことに集中したらいいんだ』



「わ、わかった!」



 六太むったが太地に助言する。


 わけがわからないまま太地は八十人以上のパニックになって泣き叫ぶ子供達を先導して屋外へ向かった。






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