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Bloody Code  作者: 大森六
第二章 東京都区別対抗学戦祭編

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第38話 最初の競技を終えて

《転送完了です。カプセルを開きます》


 プシュー


 選手がカプセルから出てくる。




 そして太地たいちもカプセルから出ようと起き上がった。周りをみると青川区メンバーが太地が目覚めるのを待っていた。



「起きたね! 六条ろくじょう君お疲れ!」


「さすがだな。六条!」


ろくちゃんやっぱすごいわ!」


「え……あ! みなさん無事にヘリで脱出できましたか?」


 チームで別行動をとったので状況がわからない太地だった。


「もちろんですわ! 計画通りに完璧にコトを進めたのですわ!」


「お嬢のドヤ顔すげーな」



「「「ハハハ!」」」



 10階で青川区チームは一旦全員で5階まで降りてきた。その際に遭遇した武装兵を無事に制圧し、手に入れたハンドガンとマシンガンをヘリ脱出組が装備して太地と別行動をとった。

 そして時間が許す限り各フロアの逃げ遅れた宿泊客をピックアップして階段を上がっていき、途中で緑野区みどりのくチーム、黒川区くろかわくチームと合流し、共に屋上階へ向かった。途中偵察兵と2回遭遇したが、武器を持っていた葛城聖司かつらぎせいじ鏡慎二かがみしんじの連携で制圧し、死者を出さずに宿泊客20名とともに無事屋上へ。


 茶山区ちゃやまくチームは33階を動かずに待機し、ヘリがきたと同時にすぐに乗り込んで最速タイムで課題をクリアする。他のチームは宿泊客を優先して、最後の5台目のヘリで脱出したのだった。


 その後、残り5分くらいから太地の状況をモニターで少し観ていたようだ。





『さて、河村さん。これで全チームが無事に転送されて戻ってきました』


『いやぁ〜手に汗握る攻防もあって、ついつい観入ってしまいましたね! 採点が楽しみです!』


『現在審査員の皆様で各項目の採点を行なっております! 皆様、もうしばらくお待ちください!』



 * * *



「青川区のみなさん、お疲れ様!」


 黒川区チームの永井ながいみなと、天月千早あまつきちはやが話しに来た。


権田ごんださん、みなさん、さっきは共闘という形を取らせてもらって本当に助かったよ。ありがとう。あのまま青川区と出逢わずに下の階に降りていたら本当にやばかった」


「うちのお馬鹿リーダーがお荷物すぎて……とても不快だわ」



 お礼を言いにきたのだろうか。それにしても天月はかなり新田に対して辛辣なコメントをしている。



「それを言うなら緑野区もそうだよ。本当にありがとうね!」


 緑野区リーダーの平山清敬ひらやまきよたかが笑顔でお礼を伝える。


「いえいえ! 敵味方関係なく、みなさんと一緒に生還する! これが我々青川区の考えでしたから。これで良かったのですわ!」


「綺麗事だな……」


「言うことはいつも綺麗やねんけど……()()何か企んでるからなぁ〜」


「……なんですの?」


 権田に睨まれて目をらす鏡慎二と東雲しののめあかり。


「あはは。正直俺たちも迷っていたんだよね。でも彼が……六条太地君がいてくれたおかげで迷いがなくなったんだよね」


「やはり六条太地さん……気になりますわ」


 天月千早が太地を見つめる。いや、観察という表現が正しいか。



「その話、ちょっと私たちも混ざっていいかな?」


「お邪魔しまーす! テヘッ」


 黄山区きやまくの羽生姉妹が輪に加わる。



「六条君、なんでマシンガンとか手榴弾とかの扱いがあんなに手慣れてたの? 普通の高校生だったらハンドガンでも難しいでしょ」


「そうそう〜。肩壊れちゃうよね」


 ドキッとする太地。痛いところを突かれた。勿論、月人の提案で特訓したとは言えない。


(ウエポンドールとか言って武器を作りだしたときはひいたけど、ものすごく役にたったなぁ)


 全員が太地の顔を見ている。かなり気になっているようだ。



「テ、テレビとかネットとか観て、あとは……秘密の特訓とかです!」



「秘密の特訓? 怪しいなぁ〜」


 羽生さやかは納得していない。そして太地はしっかりと目撃している。羽生姉妹が武器をロードして、圧倒的な強さで戦っていたシーンを。


「蹴りもすごかったしねー。あの偉そーな敵吹っ飛んでた」


 羽生瑞穂がさらに突っつく。


「……まぁ……その……秘密の特訓が……」


 流石に言い訳しようがない。そもそも今日の個人競技で全員ぶっ飛ばす予定だから嘘をついてもすぐバレるのだ。


「まぁ、それだけ警戒されているってことさ。採点が楽しみだなぁ」


 葛城が太地の肩をポンと叩いて話題を逸らす。



 ――その頃他のチームは――



「チクショ=!! 全滅なんてありえねぇだろ!しかも階段室で撃たれて死亡ってなんだよ!」


 桃山区チームのリーダー、獅子王大輔ししおうだいすけが悔しさを爆発させる。


「大輔が血走ってスタートぶっちぎるからっしょ。やっぱり戦略立てずに突っ込んだのが、まずかったっしょ。切り替えて次頑張ろ〜」


「う、うるせーな……悪かった」


 日野晶馬ひのしょうまの指摘に素直に謝る獅子王。荒々しい性格のようで意外と素直だ。


「次の課題のゲームは俺ら桃山区の圧勝だって!」



 * * *



「負けた……この俺が……あの第三高のクズ野郎に……」


「クソが!」


 周りに当たり散らす新田政次にったまさつぐ。爆破による死亡で課題をクリアできなかったことは名門にとって大きな失態だ。


 それをまさかリーダーの自分が……


「しかも天月たちは青川区と組んでクリアしやがった……。なぜリーダーの俺の指示を聞かねぇんだ、あいつら……クソ! 

 次の課題は俺の案じゃねーから面白くもねーし。黒川区第一高のエースは俺だぞ! クソがぁ!」




 * * *


 その頃一階奥の廊下では……


「……はい。今の所目立った動きはありません。このままプランA

 で進めていく予定です。 ……はい。了解しました」


 グレーチームのリーダーがスマホで話している。そして二人のメンバーもその会話の内容が気になっているようだ。そしてリーダーと誰かの通話が終わる。



「……総帥はなんと?」


「引き続き目立つ動きはせずに待機とのことだった」


「つまり、我々が動き出すのは最後の個人競技ということだな?」



「……そうだ。個人競技で我々は他の参加者を……全員抹殺する」




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