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Bloody Code  作者: 大森六
第二章 東京都区別対抗学戦祭編

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第27話 それぞれのアイデア

「ええっと、『トラップ仕掛け人』は私、葛城聖司かつらぎせいじの提案です。

 そのままの意味で設定されたエリアの中にトラップを仕掛ける。相手に食らわせて敵の人数削っていく。イメージはチーム戦で且つ複数チーム同時に戦う感じ。エリアのどこかにある鍵を入手して自軍の捕虜を救ったチームの勝ちってゲームです。」


 まず葛城がアイデアをプレゼンする。


「面白そうだな!」


「どんなトラップがあるのか楽しみなのですわ」


「捕虜助けるとかいいね〜」


 メンバーの反応は上々だ。



『トラップにフォーカスしている点や複数チームの同時参加という点もいいな。捕虜を持ち出してきた部分も面白い。いいんじゃね〜か。全員で更に詰めたらいいゲームになりそうだな』


 月人も評価している。



「次は補給部隊大作戦ですわ……うん。こりゃ〜お嬢だな……なんか……お嬢にしては珍しい提案だな。」


 権田成美ごんだなるみの友人である葛城が漏らした本音。



「そうですわ! 普段のワタクシが考える案だと、おそらく他のチームと同じような提案になってしまいそうですわ! そしてこの提案になりましたわ!」


 権田成美の提案の面白さは補給部隊をどう動かして戦場を優位に進めるかという点にあった。しかもこれは震災にあった地域に物資を届けるというシチュエーションも含む。それは審査員の心象もかなり良さそうだ。


『ほう〜。意外にもあのですわ嬢、いい案出してきたな。』


 月人がまたも褒める。さすが青一高エースだ。



「次は『テロップ!』だな。これは誰のアイデアかな?」

「はいは〜い。それ私だね」


 東雲しののめあかりが手を挙げる。


「これ、結構視点が面白いなぁ……テロップを出すように兵士に指示を出してチームを勝たせるってゲームかい? オペレーター的なポジションなのかな」


 葛城が面白そうに想像する。


「ううん。違うで。テロリストに屁をこくねん。プ〜ッて。 それでテロップ!」


「「「 …… 」」」


「毒の屁っていうのがポイント。どこまでお尻を顔面近くまで持っていけるか……スリルやで〜。どのチームもこれは思い浮かばへんやろなぁ〜」



『こいつやべ〜! 最高だな!』



 後ろで月人が腹を抱えて笑い転げている。


 太地も唖然として言葉が出ない。



「東雲……とりあえず、葛城が言ったような案ということにしておけ……」


「ええ!なんでよ〜。 これ絶対面白いって!」


「その面白さは要らん」


 鏡慎二かがみしんじがまとめた。



「武器創造は俺の提案だ」


 続けて鏡慎二が話す。


「対戦の際に必ず装備する武器の改良を行うゲームだ。キャラクターの能力に合わせて武器を選び、どのような形状でどこに装備するとか、弾道の設定や剣の長さや太さなどを調整できる。その後一対一で戦って、製作した武器の有用性を証明するというアイデアだ。対戦の勝敗ではなく、武器の能力や可能性で勝敗が決まる」



 鏡のプレゼンに太地が目をキラキラさせて聞いている。


(太地が好きそうだなぁ……この提案)

 月人も鏡の案に対して高評価なのだが、それ以上に太地がとても興奮していることが気になっている。



「こっ……これ……すごくいいですね! 鏡先輩!」


「えっ? そ、そうか?」


 食いつきが良すぎるリアクションに驚く鏡。



「六ちゃんがそんなに興奮するのって、初めてやな〜」


「すごいのですわ! 鏡慎二君」


「これで決めてもいいかもな!」



 メンバーの判断基準が太地のリアクション重視になっていた。


 話が盛り上がって、次第に落ち着く。


 葛城が再度進行する。


「さてと……次は六条君かな? 立体戦棋」


「そうです。僕が提案するのは盤面が空、地上、地下の3階層で展開される立体的なチェスって感じのゲームです。 参加人数は複数名対複数名のチーム戦でもOK

 ですし、一対一の個人戦も可能です。6チーム同時に戦闘も可能です」


「複数名参加可能で複数チーム参加も可能で一対一も可能なボードゲームって感じか?」


 鏡が確認する。


「そうですね。盤面はオセロや将棋などでも使われている正方形のものや、参加人数によっては正三角形とか正六角形の集合……蜂の巣のようなイメージの盤面があります 」


「なるほどな。つまり、正三角形は三人まで、正方形の盤面は最大4チームが対戦可能で、6チームの場合は正六角形の盤面で可能ということだな?」


「はい。そうです。難度をあげたければ2チームの対戦で正六角形の盤面を使うとより複雑な展開になります」



 なるほど。という表情で頷くメンバー。太地が説明を続ける。


「そして立体戦棋と言っている理由ですが、先ほど三つの盤面について空、地上、地下があるとお話しましたが、プレイヤーに見えている盤面は地上層だけです。他の空と地下の層は駒を操作しているプレイヤーとチームメイトのみ把握できるシステムで、他のチームのプレイヤーはこの駒が地上兵か、上空兵か地下兵かが、把握できません。」



「つまり……将棋のように進めていって、歩兵を取ったと思ったらその兵は上空にいて取れていなかったというケースもあるということですわね?」



「そうです。ここが一つ目のポイントです。 コマの動きを地上の盤面を見て把握し、上下(空、地下)の可能性を頭の中で想定する必要があります。」



 太地の説明は続く。


「コマの説明ですが、まずチームごとに色が違います。そして将棋やチェスのように能力の違うコマが数種類存在しています。

 この能力についてなんですが、将棋もチェスも「動き方」が決まっていますよね?『歩』なら前に進むのみ、『香車』なら前方一列どこまでも進める、『飛車』は前後左右の二列を自由に移動できる……とか。

 このゲームでは動けるマスの『数量』が決まっていますが、動き方は『自由』なんです。」



「あぁ〜わかった。例えば一番弱い駒は3マスしか進めない、強い駒は8マス進めるとかそういうこと?」



 東雲も理解しているようだ。



「はい。そうですね。 そして、地上の盤面を前方や後方もしくは左右に1つ動く際に、当たり前ですが、『1マス』とカウントします。そして地上から空、地上から地下へ移動する際も同じく『1マス』とカウントします。 

 もしも、3マス動ける駒を動かした時に、地上の盤面上では前方へ2マスだけ進んでいるように見えます。しかし、実際は空に上がって1マス消費し、空を2マス前進している可能性があるということです」



「そして、2マスしか進んでいないから空にいるかと思わせておいて、実は地上で2マス進んだだけというケースもある。コマ一つの動きで読み合いが発生するんだな」



 鏡は深く理解し始めたようだ。


『なるほど』 という表情を皆がしている。

 徐々にこのゲームの奥の深さがわかってきたようだ。



「二つ目のポイントです。このゲームはチームの大将を倒すか、タイムアップ時の領土の占領面積の多さで勝敗が決まります。その時のチームの大将がどのコマなのか、敵チームにはスタート時点でわかりません。開始前にどのコマにするかをチーム内で決めるのです。」



「えぇ〜そんなんどうやって大将の位置がわかるの?」


「いや、待て……実際も敵の司令官がどこにいるかなんてわからんぞ。より訓練になるということかもしれないな」


「あと、すごく弱いコマが実は大将という設定も可能ということですわ……」


「なるほどね。これは面白そうだな……六条君、他に説明やポイントはあるかい?」



 葛城が確認し、太地がうなずく。


「将棋やチェスのように交代して順番でコマを動かすのではなく、1ターンで盤上全てのチームが手持ち全てのコマを同時に動かせます」


「え?同時に?」



「はい。僕は制限時間を設けたらいいと思うんですが、3分と決めたら、1ターン目の指令を出して指令完了ボタンを押して待機。3分後、盤上で一斉にコマが動き出します。次に盤上の状況を確認する時間3分の間に、敵と自陣のコマの関係を把握する。そして2ターン目の指令を出す……という流れを繰り返します」




「あぁ〜そういうことね! まさにシミュレーションだな」



「他にも攻撃の仕方とか細かい部分はありますが、この提案が採用されたら詰めて行くということで」



「おっけ〜。了解です。それにしても、こんな細かい内容……よく30分で考えたな」


 葛城が褒めながら呆れている。


「結構、こういうの好きなんです」


 笑顔をみせる太地。




「ええっと……次の案、『青髭危機一髪』はあかりちゃんだろ?」



「そうそう!このゲームはな、巨大なたるに剣とか刺してビヨ〜ンって……」



「よし!じゃあ、案が出揃ったから候補を二つ選ぼうか!」



「ちょっと! 話聞いてよ〜!」



『すげ〜な。意外にちゃんとボケ担当っているんだな〜。青一高にも』


 月人が感心する。


「う、うん。今必要かどうかは微妙だけど……」




 東雲の二つ目の案は葛城の華麗なるスルーによって幻となった。



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