第8話『ヌコ救出作戦』
「ご注文の品よ!」
「うぉぉぉぉ〜〜〜!!?」
緑色に輝く迷彩模様に美しい羽根。胸元にはとてもキュートなハート模様が描かれている。
「かッ……かわい〜!」
これには流石の私でも癒されてしまう!
「ヴィルさんの腕は一人前だからね!」
エレナが自信げに語る。
「早速試し打ちに行こ〜!」
「まだだーめッ!行ったら直ぐに服ボロボロにしちゃいそうだから」
「え〜〜!!つまんないの〜」
せっかく新しい装備が出来たって言うのにッ!エレナは本当にケチなんだから。
「そうそう、さっきギルドで良い依頼が出てたんだけど受けに行かない?」
「それってどんなの〜?」
「見たらわかるわ、絶対にリリスが受けたい内容よ!」
そう言い終わると腕を引っ張って外に連れ出された。
――
「ほら、走って!」
全く、リリスは元気だな〜
わしにはついて行けんぞ〜
な〜んて思いながらリリスの後を追う。
「ほら、これ!」
リリスが指を差す。
その先には依頼の紙が貼られていた。
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『ヌコ救出作戦』
目的:ヌコ5匹の救出
場所:フリル村
依頼主:フリル村の村長
うちの村のヌコが5匹、行方不明になってしまったんじゃ。
わしはもう歳で動けるような人間じゃない。だからあんたたちに頼むことにしたのじゃよ。
報酬:1500ゼリア
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「ほら、これどう!!」
「ヌコ……ヌコ〜〜〜!」
そう、この私は可愛い物には目がないのだ!
「ほら、受けたくなってきたでしょ!」
「ヌコ……ヌッコ……!ヌッコを助けに行くぞ〜!」
そう言って私はエレナの腕を掴んで目的地の村に翔ける。
――
「ここが目的地だね!」
「ヌコ……ヌッコ……!!」
「まったく……ヌコにしか目がないんだね」
ネ……ヌコの事を考えながら歩いてると、一つの家から老人が歩いて出てくる。
「初めまして、ようこそフリル村へ」
「あの……あなたがフリル村の村長さんですか……?」
エレナの質問に老人が答える。
「そうじゃ、わしがフリル村の村長じゃ」
「あの……ヌコの依頼を出された方ですよね……?」
「そうじゃ、わしがヌコの依頼を出したんじゃ」
(なんかNPCみたい)
エレナと村長が会話をしているところを眺めていると、足元にフワフワとした触感を感じる。ふと、下を見る。
「おぉぉぉ……!ヌコッ……ヌコだ〜!」
「あら、もうヌコ見つけちゃったの?」
確かに、もう依頼のヌコ捕まえちゃった。すると、村長が話す。
「ヌコは5匹じゃよ」
「あれ〜そうだっけ〜?」
「もう、リリスったら……」
――
あの後、エレナに連れられてヌコが"多分"居る洞窟に来た。
「寒〜い……まだ夏だよね〜」
「洞窟の中だからね、光が入ってこないの」
「そっか〜」
手を擦り合わせながら洞窟を進むと、物音が聞こえる。
「うわッ……なんの音だ」
「まさか……ヌコッ!」
音が聞こえた方を見ると、そこにはヌコと魔物がいた。
「ヌコと……スライム?」
「うぉぉぉぉ〜ヌコを助けなきゃッ!」
足元に魔法陣を展開する。
赤と橙が渦を巻き、中心に青い光点がきらめく。
「ちょッ……ヌコが居るッ……」
ドガァァァァァン
――
「はぁ……アンタが爆破させた時はどうなるかと思ったけど……」
「いや〜無事で良かったね〜」
「なんでそんなに呑気なんだよって!」
結局、スライムを爆散させヌコを救出した。ヌコは丸焦げだけど無事だった。
「エレナ〜スライムって魔力を封じ込めるんだよ〜」
「はぁ……何言ってんの、スライムだぞ」
「どうやらエレナは知らないようだね〜」ニヤニヤ
「なッ……知ってたわよッ!」
(どうせ知ったかぶりなんだろうな〜)
なんて思いながら村長宅に向かった。
――
「おぉ……ありがとう!これで村のヌコたちも安心じゃ」
村長は涙ぐみながらヌコを抱きしめる。
「いや〜可愛いから報酬はいいよ!全部ヌコモフで!」
「いやいやいやいや!受け取るの!」
エレナに後頭部をゴツンとやられ、結局しぶしぶ報酬を受け取ることにした。
――
「ヌコ可愛かったなぁ〜また依頼出してくれないかなぁ」
「……あんたの服がまたボロボロだから、次の依頼は服屋行きね」