第81話『最後の試練 その1』
「ん……いたた」
なんだか長い間滑り落ちていた気もするし、短い間だった気もする。
気づけば知らない天井を見つめていた。
「お兄ちゃんとお母さんって……居たっけ」
起き上がろうとするが、背中の痛みがそれを阻む。
「……エレナ〜」
――
一方その頃、エレナは
「痛い……もう、なんなのよ!」
突然落とし穴にハマったかと思えば、変な廊下に居たし。
それに私の偽物に襲われたし。
「結局この宝石はなんなのよー!」
「エレナか、合流できたみたいだ」
アルベドの声が通路の奥から聞こえてくる。
「アルベド、無事だったんだ」
「ああ、お前と同じように落とし穴にハマってな」
すると、アルベドは私が手に入れたものと同じ宝石を見せる。
「お前も見つけたか?このコアを」
「あ、これがコアだったんだ」
「おそらくだが、あの偽物は石像と同じくコアによって操作されていたのだろう」
「はあ、リリスともネオンさんともはぐれちゃったし……」
すると、コアが一瞬光ると、声が響く。
『第二試練突破おめでと〜!次が最後の試練だからみんながんばるんだぞ〜!』
「次……まだあるのね」
『最終試練!コアを奪い取れ、コア略奪サバイバル〜!挑戦者チャレンジャーのみんなは他の挑戦者チャレンジャーからコアを奪ってね!奪ったら中央の扉に掲げると――』
説明が終わる前に、コアの光が消えて声も途切れてしまった。
「ちょ、まだ途中だったのに」
「要するにその扉の先に行けるのは一人だけということだ」
「一人だけ……」
その言葉にピンとくる。
「もらったー!」
アルベドの手にあるコアを奪おうと飛びかかる。
「待て」
アルベドに額を抑えられる。
「一度集合しよう、リリスもネオンさんも。誰が扉を開くか話し合いをするべきだ」
「……そうね、少し早とちりだったわ」
――
光り輝くコアを見つめる。
「なんでこの宝石は光ってるんだろ〜」
もう一つのコアを見つめる。
「こっちは光ってないのに」
「てか、エレナたちはどこに居るの〜」
大きな声で独り言を言うが、返ってくるのは自分の声だけだ。
「嫌だ〜ひとりヤダ〜!!」
コア二つが地面を転がっていく。
「あ、待って〜!」
平地なはずなのに、どんどん私から遠ざかっていく。
「なんでそっちに行っちゃうの〜!」
すると、コアが小さな音を当ててピタリと止まる。
地面には微かに赤い液体が流れていることに気づいた。
「え……」
その先、影が見える。
倒れている。
光るコアがゆっくりと影を照らす。
「ネ、ネオン……?」
そこには、血塗れのネオンが倒れていた。
「ネオン……!どうしたの!?……ねえ、ネオン!」
体を揺すると、少し眉が動いた。
「ネオン!」
「……リ、リリス様……」
ネオンは目を閉じたまま私の名を呼ぶ。
「よかった……ネオン」
ネオンの手を握る。
「安心して、今は私がいるから!」
――
少し時間が経ち、ネオンが目を覚ます。
「リリス様」
「あ、起きた!よかった〜」
目覚めたネオンに勢いよく抱きつく。
「へへ、怪我大丈夫〜?なでなでしてあげるよ〜!」
「リリス様、あんまり抱きつかないでください」
「ああ、ごめんごめん……嬉しくてつい」
ネオンは小さく笑みを浮かべると、小さく口を開く。
「エレナ様も無事だったんですね!」
「ん?エレナ〜」
ゆっくり背後を振り向く。
確かにエレナが立っていた。
けれど、どこか違う。
肌は白い、目に光が宿っていない。
異常な魔力。
「いや、違う……!」
「炎魔法」
目の前に大きな魔法陣が展開され、魔力が溜まっていく。
「リリス様……!」
「爆破魔法……!」
――第82話へ続く。




