第80話『迫り来るのは』
「エレナ待って〜!」
前に進むエレナたちを追って小走りで通路を駆ける。
「もう、リリス遅い!アルベド見失っちゃったよ」
通路の奥は真っ暗で先が見えない。
「もう、アルベドったら〜」
「それにしても――」
エレナが辺りを見渡す。
「静かですね」
ネオンが静かに口を開く。
「そうね、なんだか不気味だわ……」
「そうですね――」
突然、背後から音が鳴り響く。
急いで振り返ると、そこにネオンの姿はなかった。
「ネ、ネオン……?」
「一体何が起こって――」
再び大きな音が鳴り響く。
「え?」
エレナのいた方に振り向くが、ネオンと同様、そこに姿はなかった。
「エレナまで……!」
(うう〜どうしよ〜!)
エレナを探そうと足を踏み出した瞬間――
大きな音と共に、体が浮くような感覚に陥る。
「……へ?」
――
「いたた……」
下半身に激しい痛み。
気づけばさっきまでとは違う空間に来ていた。
「ここどこ〜?エレナ〜ネオン〜……!」
しかし私の声が虚しく響くばかりだ。
「もう、私を一人にするなんて〜!」
すると、緑色に光っていた壁が赤色に変わる。
『第二試練、闇の迷宮。挑戦者のみんなは頑張ってね〜!』
「またこの声――」
前も聞いた声が聞こえなくなると、光が完全に消えて、暗闇が現れる。
「うわ、ビックリした〜!」
再び沈黙に飲み込まれる。
「てか闇の迷宮ってなに〜」
すると、背後からとてつもない量の魔力を感じる。
(後ろだッ!)
杖を構えて、魔力を練る。
「爆破魔法!」
激しい爆音と共に煙が舞い上がる。
(感触あり。……けど違和感――)
沈黙が流れる。
煙が闇に紛れ、通路の先がうっすらと見えるが、なにも見えない。
(やった……?)
しかし、通路の奥から魔力を感じる。
「いや、まだだ……」
『爆破魔法』
(え、私の声――)
次の瞬間、体を貫かれたような激しい激痛が走る。
(ッ……!?)
爆音と共に、通路の奥に吹き飛ばされる。
「うッ……なんで、私の……」
更に暗闇の中から魔力が放たれ、私の頭上を通っていく。
石壁が爆ぜ、破片が降り注ぐ。
「くっ……!」
転がりながら距離を取る。
腹部が熱い。
服が焦げ、血が滲んでいる。
(私の魔法ってこんなに痛いんだ……)
お腹を抑えながら、地面を這う。
背後から足音が近づいてくる。
「ヤバい……超ピンチだ……」
か細く息を吐きながら、視線の先に手を伸ばす。
(逃げないと――)
『ねえ』
(ッ……!)
足音が止まると、私の足に体重がかけられ、そのまま体を覆われる。
「ねえってば」
「……」
手を伸ばして逃げよとするが、手を掴まれる。
「君、私でしょ?」
「……だ、誰……」
すると、冷たい腕に抱擁される。
冷たい手で傷口を撫でられる。
「痛いでしょ?ごめんね」
「……なんで殺さないの」
一瞬沈黙が流れる。
「お母さんにダメって言われてるから。それに、私人殺し嫌いなんだよね」
「おか……さん?」
「うん、知らないの?……って、私も覚えてないんだけどね〜」
突然頭を撫でられる。
「行っていいよ?お兄ちゃんが待ってるから」
「お兄ちゃん……?」
そう言うと、私の体から離れる。
「なに……急に」
ゆっくり立ち上がり、振り返る。
「お、私と同じ顔じゃん!」
そこには、私と瓜二つの女の子が杖を構えて立っていた。
しかし、肌は薄黒く、石のような材質だ。
(本当に私だ……!)
「私って結構可愛いんじゃん!」
リリスが私に近づいてくる。
「……ねえ。リ、リリス……?」
「なぁに?ってかリリス2号って呼んでよ。名前一緒でしょ?」
「リ、リリス2号……?」
「へへ、リリス1号!……じゃあね」
リリス2号の言葉と同時に、足場がなくなる。
「ちょ……まだ!」
「お兄ちゃんとお母さんによろしくね〜」
その声は古代遺跡の奥深くに溶けていった。
――第81話へ続く。
最近モチベ上がらなくて書けません!
そろそろ百合成分を補給しなくては……!
次回更新も少し遅れるかもです。




