第75話『神殺し』
「……爆破魔法」
――ドガァァァァァァン……
大陸全土に響き渡るほどの轟音がどよめく。
黒煙が舞い上がり、視界が塞がれる。
「リリスッ……なにやって」
煙が晴れると、後ろからエレナたちが駆け寄ってくる。
「……エレナ、大丈夫私も――
ネオンも無事だから」
ネオンを優しく抱きかかえる。
「ねえエレナ、ネオンを治療してくれないかな」
「……いいけど」
「ありがと」
エレナがネオンを抱きかかえて、安全な場所に向かっていく。
「おい、リリス。なにをする気だ――」
――ドガァァァァン
「……なっ」
アルベドが目を見開き、口を震わせる。
「コイツにトドメ刺しておかなきゃ」
――ドガァァァァン……ドガァァァァン……
なんども悉命山に爆音が響き渡る。
「コイツは人間じゃないんだ。人の心がない」
なんどもなんども、止まることなく爆破魔法をミリアムに撃ち続ける。
空間は歪みかけ、その一部分だけ魔力質量が比にならないほど上昇していた。
「リ、リス……」
あまりの光景に、アルベドはその場で嘔吐する。
「地獄で詫びろ、生き損ないが」
――ドガァァァァァァァァ……
【数日後】
見知らぬ天井の下でゆっくりと目を覚ます。
「……ここは」
「目が覚めたんですね」
視界の端にネオンが見える。
「ネオン、体は大丈夫……?」
「はい、リリス様が助けてくれたので」
ネオンは私が寝ているベッドの隣に椅子を置いて、私を見つめる。
「リリス様、本当にありがとうございます」
「……なんでお礼するのさ〜別に私は大したことしてないよ……?」
ネオンは顔をうつむかせると、ゆっくり口を開く。
「リリス様は、私を"レフォーシティ"という監獄から救出してくれたので」
「え?それってつまり……」
「私、家出します」
沈黙が流れる。
「え?」
「言葉通りです。私、家出して"レフォーシティ"の姓を捨てます」
「そ、そんな簡単にできるものなの?」
ネオンは軽く微笑む。
「リリス・ハルカ様。お名前を借りてもいいでしょうか?」
「ちょ、そんな急に!」
ネオンは私の腹部に手を添える。
「ふふ、冗談です」
「そういえば私はなんでここで寝てたの?」
「気にしなくて大丈夫ですよ」
ネオンは布団のシワを伸ばすと、私にかける。
「……エレナたちは?」
「エレナ様御一行はおそらく王家で手続きなどをしていると思います」
「手続き?」
私の問いにネオンは答えず、ネオンは私の頭を撫でる。
「今は休んでて大丈夫ですよ」
「ゆっくり、ゆっくり目を閉じて……」
ネオンの囁きに、目が無意識に閉じ、意識も閉じようとする。
「ふふ、おやすみなさい」
その言葉と同時に、頬に小さな温もりを感じ、意識が落ちる。
――
王"ミリアム・レフォーシティ"は死んだ。
レフォーシティ家に代々伝わる"禁断の儀式"。その代償として、ミリアムは死亡した。
表向きではだ
ミリアムの本当の死を知る人間は、おそらくこの世には居ないだろう。
――第76話へ続く。
3章3幕『古代遺跡編』!
※1週間ほど休載させていただきます。




