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第73話『神と化した者 その2』

ミリアムの背を見つめる。


爆破魔法ブラスト……!」


空気が歪み、火花が辺りを覆う。


魔法陣から勢いよく放たれると、ミリアムの体を包み込む。


ドガァァァァン


(当たった……!当たった……のに)


確かに当たった。当たった感触がした。けれど、破壊した感触がない――


「へ……?」


爆煙が晴れる。


そこにいたはずのミリアムの姿は、微塵も傷ついていなかった。


(やっぱり……!)


そして、無傷のミリアムの手前に影が映る。


『世界と内は我が紡ぐ……』


背後から響めくような、不快な声が響く。


耳ではなく、頭の内側を直接撫でられるような感覚。


「っ……爆破魔法ブラスト!」


再び魔力を影に向かって放つ。


「……虚魔法ヴォイド


ミリアムの声が静かに響く。


(なにか……来るっ……!)


次の瞬間。


突然、体から血が吹き出す。


「ッ……!?」


(まただ……でも、なんで私に!?)


『世界と内は我が紡ぐ』


再び頭に直接響く。


(もしかして……!)


審判神ジャッジメントは、人を紡ぐッ」


リアルのか細い声が静かに響く。


「ジャッジメントは……ミリアムの人形だッ――」


私の体とリアルの体から、同時に血が吹き出す。


「ぐッ……第三流儀・粛馬鶴しゅくばづるッ!」


リアルはミリアムに飛びかかる。

炎が一斉に散り、鳥のような形を描いて宙を舞う。


虚魔法ヴォイドッ」


(またあの魔法……見えない攻撃は魔法によるもの……!)


「リアル……避けて!」


私の声が響く。それでも、リアルの耳には届かない。


「言うのが遅いんだよッ……!」


リアルは手を合わせると、飛び散った火花がリアルに向かって収束する。


粛馬鶴しゅくばづる・開眼ッ……!」


リアルの掛け声と同時に、炎が一斉にリアルの元に戻っていく。


「うッ……」


炎はミリアムの体を貫くと同時に、リアルの背中から少量の血が吹き出す。


「はぁ……はぁ……」


リアルは息を荒げながら、近くの岩場に背中を預ける。


「リリス……俺はもうダメだ……魔力が揺らいでッ……」


「な、なにやってるの……!?」


急いでリアルの元に駆け寄る。


「このままだと死んじゃうよ……!?早く逃げないと」


リアルの傷から血が流れ出る。


「逃げる……?出来るならとっくにしてるよッ」


リアルは声を震わせ、地面を掻きながら立ちあがろうとする。


「それに……リリス・ハルカ……ここにいたらお前もッ」


「……え」


突然、全身を覆うような冷たい風が背筋を覆う。


恐る恐る振り返ると、悍ましい魔力が目前まで迫ってきていた。


(私……ここで死ぬんだ)


──


(1……2……3……)


死を覚悟した。目を瞑っていた。

しかし、いつまで経っても何も起こらなかった。


ゆっくりと目を上げると、激しい光が目をくらませた。


(え……な、なんで……)


目を細ませると、ボヤける視界の中、微かにミリアムの背中が見えた。


「……どうやら間に合ったみたいだな」


聞き覚えのある声が脳の奥に響く。


「よかった、間に合ったのね……!」


突然、体を抱きしめられ全身の力が抜ける。

同時に、エレナの温もりが体内に染み渡る。


「エ、エレナ……それにみんなも……!」


「大丈夫だ、お前は一人じゃない……少なくとも、コイツもお前の仲間なんだろ」


アルベドが私の横に視線を向ける。


アルベドの視線を追うと、リアルが横たわっていた。


「ともかく、リリスが無事でよかった」


すると、クロエが冷たい声で言う。


「油断しないで、余韻に浸るのはそれから」


ミリアムと目が合う。


その漆黒の瞳に吸い込まれそうになる。


「わかった……それじゃあ行こう!」


──第74話へ続く。

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