第68話『禍根の王』
「利害が一致しているな。だが――」
リアルは言葉を溜めると、洞窟の外を見つめる。
「俺を追い詰めるくらいには強くなくてはならない」
「……へ?」
「リアル様、それってどういう……」
ネオンが不安そうな目でリアルを見つめる。
「俺と戦って、俺に『参った』と言わせろ」
その言葉を聞いた時、風の音が正確に聞こえた気がした。
「ちょ、ちょっと待って!なんで私がリアルと戦うことになってるの!?」
「俺と手を組むのなら、俺と同等以上の力を持ってなければならない。そうだろう」
そう言うと、リアルは再び洞窟から出ていった。
「ちょ、待って〜!」
「リリス様、行きましょう」
「マジですかい……」
重い腰を上げて、渋々ネオンと共にリアルについていく。
――
リアルを追って、ボルテカを横断する。
「はぁ、早いな……リアルは」
「リアル様はお強いお方ですから」
「それにしても熱くなってきたねぇ……」
ふと、辺りを見渡すと、溶岩が煮え滾る火山地帯に来ていた。
「うわっ!?ここどこ〜?」
「ここは悉命山。レフォーシティ家に代々伝わる"審判神"様の根城とされています」
「へ〜……神様っているんだ〜」
そんな会話をしながら、進んでいると、リアルの背中が再び見え始める。
「お、やっと追いついた〜!」
小走りでリアルに近づく。
リアルは一度も振り返らずに静かに喋り始める。
「遅いな、その程度の覚悟か?」
リアルの言葉と共鳴するように、辺りの溶岩が弾ける。
「遅いって、リアルが早すぎるだけでしょ!」
(なんか違和感が……)
リアルは一歩も動かずに、両手を広げる。
「既に勝負は始まっている」
「え、ちょっと早すぎ――」
――ドカァァァァン
突然、地面が盛り上がり、体が宙に浮く。
(不意打ちとか卑怯すぎ!王家のくせにっ)
「うお〜爆破魔法《ブラスト・弱》!」
魔法陣が展開して、指先から魔力が放たれる。
「その程度の力じゃ、俺には敵わないぞ」
リアルは最小限の動きで、魔力を弾き飛ばす。
「っ、やっぱり弱じゃダメか」
リアルが地面を力強く踏みつけると、再び私の足元が膨張し、破裂する。
「くっ、その技強すぎ〜!」
私の体が再び宙に浮く。
リアルはその隙を逃さずに、飛び上がる。
「チェックメイト、終わりだ」
リアルの拳が燃え上がる。
「へ、それはどうかな!爆破魔法!」
リアルの拳に魔力をぶつけて、その反動と爆風でリアルを地面に吹き飛ばし、私の体をさらに上空に押し上げる。
「っち、逃げるのか。リリス」
「いいや違うね!むしろ勝ちに行ってるの!」
慣性の力が弱まるのを感じ取り、体を下に向けて、リアルに向かって落下する。
「爆破魔法!」
背中あたりを爆破させて、反動と爆風で、さらに加速する。
「考えたな、リリス」
リアルは地面に手を添えると、体全体が炎で包まれる。
「鏖炎の流派ッ」
(来た……!リアルの本気モード……!)
それでも体は加速を止めない。
むしろ止められない。
(だったら……)
「突っ切るだけでしょ!」
――第69話へ続く。




