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第67話『因縁』

「しまった、ネオンが……!」


雷海竜メジュライトの雷撃がネオンの目前まで迫っている。


爆破魔法ブラストッ……!」


咄嗟に魔法陣を展開して、迎撃しようとする。


(ダメだ、距離的に間に合わない……!)


「リ、リリス様……!」


――ドガァァァァァァン


「はぁ……はぁ……」


洞窟内に煙が舞い上がる。


「間に合わなかった……」


あたった感触がなかった。その事実に絶望して、膝から地面に崩れ落ちる。


「うそ……私が、私のせいで……」


煙が崩れた岩の隙間から、外に流れ出ていく。


「アホが」


突然、私の額に熱が送られる。


「熱ッ……」


「だがこれは借りだ。借りを返しただけだ」


煙が完全に晴れると、中からその場で固まるネオンと、身体中が焦げているメジュライトの亡骸があった。


「ネ、ネオン……!」


「リリス様!」


急いでネオンのもとへ駆け寄る。


「良かった、ごめん……私のせいでこんな目に」


「いいえ、大丈夫ですよ」


そう言うと、ネオンは洞窟の入口に立つ男に視線を向ける。


「リアル様が助けてくれたので」


ネオンの言葉に、リアルは動きを止めると、振り返らずに


「貴様らに助けられたからな、恩を仇で返すような真似はしない」


そう言い残すと、リアルは崩れた岩を砕いて、洞窟から出ていった。


「……リアル、優しいじゃん!なんで私のことを狙うのさ〜」


「きっと、リアル様にもいろいろあるのですよ」


すると、リアルが再び洞窟の中に戻ってきた。


「リアル様、どうなさいましたか……?」


「言い忘れていたことがあった」


そう言うと、リアルが私の前に立つ。


「"アリス・ハルカ"、貴様の母親の名前だ」


「へ?」


突然の出来事に開いた口が塞がらない。


「アリス……って六戎師のですか!?」


ネオンも驚いた様子でリアルを見つめる。


「ちょっと待って!前に聞いた話なんだけど、"一悪いちう、創造のアリス"。つまり、お母さんって悪者だったの!?」


「ああ、その件だ……その件のことでリリス・ハルカ。貴様を始末したかったのだ」


静寂が洞窟を覆う。


「あのさ、始末対象に直接始末したい理由とか普通言う〜?」


すると、ネオンが口を開く。


「その、アリス様が事の発端なら……リリス様を狙う必要なんて」


「制限術式、ドゥケイルが使う魔法だ」


洞窟の空気が、わずかに張り詰める。


「制限……術式?」


ネオンが息を呑む。


「対象に制限をかける魔法だ。

 かけた制限を破った場合、術者が魔法につけた罰を下す」


「罰……?」


私とネオンの視線が、同時にリアルへ向く。


「六戎師同士は、直接殺し合えない。

 それがドゥケイルの定めた制限だ」


「じゃあ……」


ネオンが言葉を探す。


「リアル様は、アリス様を止められない……?」


「ああ」


リアルは短く答えた。


「俺がアリスに刃を向ければ、

 その瞬間に制限が発動する」


「どんな罰が……?」


「死、あるいはそれ以上だ」


淡々とした声だった。


「……じゃあさ」


私は、少しだけ笑う。


「なんで私を殺そうとしたの?」


リアルの視線が、初めて私を正面から捉える。


「アリスの視線を逸らすためだ」


「逸らす?」


「世界を滅ぼせる魔物を、あいつは復活させようとしている。

 だが――」


一瞬だけ、リアルの拳が強く握られる。


「娘を失えば、そちらに構っている余裕はなくなる」


洞窟の奥で、雷が鳴った。


「……それで、世界は救われると?」


「少なくとも、時間は稼げる」


「ひどい話だね」


自分でも驚くほど、声は冷静だった。


「分かっている」


リアルは否定しない。


「だから俺は、王家からも、六戎師からも追われている」


ネオンが、そっと一歩前に出る。


「それでも……今は、リリス様を助けました」


「借りを返しただけだ」


「でも」


ネオンははっきりと言った。


「それは、共に戦えるという意味でもあります」


リアルはしばらく黙り込む。


やがて、低い息を吐いた。


「一時的だ、一時的に貴様らと共に行動する」


ネオンは小さく笑みを浮かべる。


「ちょ、ちょっと待って!

 なんのために私たちと行動するの〜!?」


「リリス、貴様は母親に会いたいか」


リアルが口を開く。


「そりゃ〜会いたいけど……てか、私の質問を無視するな〜!」


「そうか、なら互いに利害が一致しているな」


リアルの言葉が、洞窟の奥へと響いて消えていった。


――第68話へ続く。

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