第66話『退路はない』
王邸を一度も振り返らずに、人気のない洞窟の入口にたどり着いた。
「ふう、やっと一息つける〜」
「そうですね」
ネオンは抱えていたリアルをゆっくり地面に寝かせる。
「ドリームを置いてきてしまいましたが、大丈夫でしょうか……」
「大丈夫でしょ!ドリームはすごいんだから!」
「そうだといいんですが……」
洞窟の外では雷鳴が鳴り響いている。
「それにしても、すごい天気だね〜」
「はい、ボルテカは古くから荒れた天候が続いていると、お父様から教えられました」
すると、背後から地面を掻くような音が聞こえる。
「今の、聞こえた?」
ネオンはリアルを庇うように、リアルの前に立つ。
「はい、なにかいますね」
洞窟の奥、暗闇の中から雫が滴る音が響き渡る。
「獣、おそらく魔物でしょう……」
足跡が少しずつ近づいてくる。
「杖がないから本気出せないけど……爆破魔法!」
暗闇に向かってブラストを放つ。
ブラストは火花を散らし、暗闇を照らしながら進んでいくと、爆音と共に、辺りを吹き飛ばす。
「う〜ッ!風強い」
「リ……リリス様!?」
突然、洞窟の入り口から轟音が鳴り響く。
勢いよく振り向くと、出口が崩れた岩で塞がれていた。
「あ……」
空いた口が塞がらないまま、洞窟の出口を見つめる。
「う、後ろ……」
ネオンがその場に尻もちをついて、洞窟の奥に指を差す。
「後ろ〜?」
再び、洞窟の奥に振り返ると、青白い光が発光し始める。
「あの光どこかで……」
見覚えのある光を見て、記憶を整理する。
(アクアリアで戦った奴だよね、名前は確か〜)
「雷海竜!」
次の瞬間。
雷鳴と共に、青白い光が強く煌めき、魔力が高速で向かってくる。
「ヤバい!アイツ、前倒せなかった奴だァァァァ!!?」
急いで振り返り、洞窟の入り口に走る。
「ヤバいヤバい!助けてェェェェ」
崩れた岩を殴り、外に出ようとするがびくともしない。
「リリス様……!」
背筋に魔力の風がこびりつき、膨大な魔力がすぐそこまで来ていることに気づいた。
――第67話へ続く。




