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第5話『ギルドの怪鳥』

【翌朝】


――コンコン


部屋の扉が叩かれる。薄い意識の中、立ち上がり部屋の扉を開く


「は〜い……」


ボヤける視界の中、目を凝らすと扉の前にエレナとクロエが立ち尽くす。


「ど〜したの?」


「ど〜したの……じゃないでしょぉ!」


エレナの怒号に頭と目が覚めた。


「えっええ、どうしたの!?」


慌てて姿勢を伸ばして、エレナの様子を伺う。


「……7時に大広間集合、今何時だと思う?」


エレナが顔を引き攣らせながら、見つめてくる。


目を逸らしながら、時計を探す。


「え、え〜っと……今の時間は」


時計に目をやると、時計の針は9時を示している。


「9時ですね……!」


「二時間遅刻して、呑気に返答してるんじゃないよぉ!!」


「ごべ〜ん……!!」


――


頭を掻きながら、寝癖を治す。


「ふわぁ〜……眠いぃ〜!」


「充分寝てたじゃない!」


「それがね〜、研究に夢中になっちゃって気づいたら日跨いでた……」


私の言葉に、エレナの表情が変わる。


「はぁ?」


「うわぁん、殴らないでぇ」


咄嗟に頭を手で覆って、守る動作をとる。


「殴らないわよ!あと常習的に殴られてるような言い方やめて」


(へへっ、やっぱりエレナはイジりがいがあるな〜!)


すると、赤レンガの壁が目立つオシャレな雰囲気の建物にクロエが指を刺しながら口を開く。


「ここだよ、ギルド本部」


「お、おぉ〜!!オッシャレ〜!」


ギルド本部に見惚れていると、クロエが受付の女性の元へ向かう。


「すみませーん」


クロエが受付に向かって声を出すと、受付の女性が笑顔で挨拶をする。


「おはようございます!エレナさま、クロエさま!」


「それと……リリス様!」


「リンケル上等術師から話はお聞きしています」


(リンケル上等術師……?)


「リンケルって誰?」


聞き慣れない名前を無意識に口走っていた。


「は、あんた知らないの?」


すると、クロエがゆっくりと口を開く。


「学長だよ」


「ガ、ガク……チョウ?」


「知らないのかよッ!」


驚愕しているエレナの代わりに

クロエが答えてくれた。


「ほら、あの爺さん」


「あ〜、そんな名前だったんだ」


「そんな名前って失礼な!」


すると、気まずそうに受付が話に割って入ってくる。


「えーっと……リリス様は爆破魔法の正当化の名目でお越しいただいたんですよね?」


「あ〜、そうだね」


「では早速依頼の紹介をさせていただきます!」


と言うと後ろの棚から一枚の紙を取り出して来た。


「こちらが、今回の依頼の内容です」


___________________

『粉砕!爆砕!大怪鳥!』


目的:ホルホルの狩猟

場所:フリル森丘

依頼主:森の伐採機


俺の仕事場の森でいつも通り仕事をしていたら、後ろから物音がするな、と思い振り向くととても大きな鳥がクチバシを振り下ろして襲って来たんだ!どうか安全のためにもやっつけてくれ!


報酬:3000ゼリア

___________________


渡された紙を見つめる。


「ホルホル……?」


無意識に名前を口ずさむ。するとクロエが本を取り出して、ページをめくる。


「フリル森丘に沢山いるモンスター」


「へ〜」


すると、エレナが突然私の肩を叩いて依頼の紙を奪い取った。


「あんた、今

『森の伐採機って誰?』

って思ってるでしょ!」


「えっ、エスパー?」


「へん、あんたの考えてることがわかるようになって来たかも〜」


と、エレナが腰に手を当てて、得意気に語る。


「エレナ、それってリリスくらいバカになったってことだよ」


すると、クロエが鋭い一撃を放ち、エレナはクロエに一気に詰め寄る。


「クロエ、少しお話ししましょうか」


「やだ」


「あの〜早く行かない?」


エレナの肩を掴み、クロエと引き剥がす。


「……そうだね、行こう!」


――


少し歩いて、城門付近に着く。


「そいえばさ、フリル森丘ってどんなとこ?」


「ん?あんたが住んでた所よ」


「えぇ〜!マジで」


「知らなかったのかよ」


すると、クロエが本を取り出してページを捲る。


「昔は、大きな火山地帯だったんだけど急に火山が枯れて緑に溢れたそう」


「それも数万年前の話だけどね」


クロエが私の疑問に答えてくれた。


すると突然足音が鳴り響く。


ガタッガタッ


「あっ、すみませーん!」


エレナが手を挙げて走ってくる何かを止めた。


「えぇ〜!家が動いてる!?」


「……あんた、馬車すら知らないの……?」


エレナは呆れながらも、私の手を掴んで、馬車に乗る。


「よし、行くよ!」


「どちらまで?」


すると、馬に乗った男がエレナに尋ねた。


「フリル森丘まで」


「了解!」


馬に乗った男が、紐を上下に揺らすと、馬が走り始める。


――


直ぐにフリル森丘まで着いた。


「10ゼリアです」


「はい」


「ご利用ありがとうございましたー」


お金を払うと、馬車はお城の方に帰って行った。


「ふー、ついた!」


「てか、歩いて来た方が早くない〜?」


「少しは楽をしたいの!」


そう言いながら、エレナが何かを空に打ち上げた。


「何それ?」


「これはギルドにクエスト開始の合図を送る物」


「時間が経っても帰ってこなかったら色々と問題になるし、その対策で定期的にギルドの人が安否を確認しにくるの」


すると、エレナが地面に手を触れ、魔力を放つ。


「今から探すから待ってて」


エレナが辺りを探っていると、クロエが私に話しかけてくる。


「リリス、爆破しすぎないように」


「あっ、そうだね」


「そういえばどこに居るの?鳥」


「今エレナが探してる」


エレナが地面を這うように森の奥へ進んで行く。


「へ〜」


「興味なさそう」


すると、クロエもエレナと同じように、地面を観察すると、森の奥へ進んで行く。


(森を平にする方が早いんだろ〜な〜)


ガサガサ


「ん?」


近くの草むらから気配を感じる。


「なんかいる……」


ガサガサガサガサ


次第に音は強くなり、確実に私の近くに来ている。


――ホルルルルル!


すると、咆哮と共に大きな翼を広げて、デカい鳥が襲いかかってくる。


「げ、出た〜……」


翼には目のような模様があり、カラフルな紫色の羽が辺りを漂う。


「この鳥ってホルホルだったんだ……」


「てか、この鳥がホルホルかわからないし」


少し考えていると、巨大な鳥が大きな翼を広げて飛びかかってくる。


「でも、襲ってくるなら吹き飛ばすまで!」


魔力を練り、ゆっくりと魔法陣を展開していく。


「行けっ!徹夜で研究した新爆破魔法」


「爆破魔法《ブラストバー……」


新爆破魔法を撃とうとしたが、クロエの言葉を思い出して止まる。


(そういえば、爆破魔法の安全性を見るために来てるのか……)


「いや、ダメだ」


「爆破魔法《ブラスト・弱》」


魔力を出来るだけ抑えて、魔法陣に集中させる。


――ドガァァァァン


「へ……?」


大きな閃光が辺りを覆い、爆音と爆風がフリル森丘に響き渡る。


(ま、マジか〜……)


地が軽く抉れ、木々がへし折れている。


素の魔力が高すぎるが故に、弱体化版ブラストの火力調整にミスってしまった。


「ちょっ、何事!?」


「リ、リリス……?」


先に探しにいってたエレナとクロエが戻って来た。


「あっ、いや、これは……」


両手を広げて、無惨な地形破壊を隠そうとする。


バサッ


すると、背後から何かが倒れる音がする。


「ん?」


振り返ると、例の鳥が倒れていた。


「って!もう倒しちゃったの!?」


(あ〜……そういえばコイツに撃ったんだった。てかコイツがホルホルで合ってたんだ)


「と、とりあえずこの事はギルドに伝えなきゃ……あーもう、リリスめぇ!!」


静かな森に、エレナの嘆きが響き渡った。


――


「すみません、すみません、すみません……!」


エレナとクロエが土下座をしている。


「私がリリスの事を見てなかったからこんなことに……」


「いや、そんな頭をあげてください」


とギルドの偉そうな人が言った。


「今回に関しては、リリスさんの魔力量を見誤っていた私たちの誤算ですので」


「で、でも……」


すると、部屋の扉が開かれて、たくさんの資料を抱えた秘書が現れた。


「ルドー様、こちらは爆破魔法の資料でございます」


ルドーと言う名の男は、秘書から渡された指標に目を通す。


「うむ……なるほど、わかった」


といってルドーが立ち上がった。


「リリス・ハルカ、あなたの爆破魔法にますます興味が湧きました。ぜひ、ギルドの一員として爆破魔法について研究させてくれませんか」


と頭を下げてお願いして来た。


「……拒否するって言ったら?」


「それはそれで構いません……ですが、あなたの爆破魔法を少しでもいいから知りたいんです」


「だってさ、リリス?」


エレナが耳元に話してかけてくる。


「じゃあ拒否する!」


「……へ?」


エレナが驚いた表情で私を見つめる。


「……そうですか」


ルドーは顔を上げて、私を見つめる。


「ちょ、リリス……なんで」


「なんでも何も、私がしたいのはギルクエ制覇であって、ギルドに貢献したいわけじゃないもん」


その言葉を聞いたエレナは、少し悔しそうな顔をしていた。クロエは無表情だが、少し嬉しそうに感じた。


「では今日は帰って結構です。ですが、リリス・ハルカ」


ルドーが鋭い眼差しで睨むように見つめると


「私は必ずあなたの爆破魔法の秘密を解き明かします」


その言葉を耳に残して、私たちは部屋から退出した。


――


ギルド参入の正式な許可が降りて、魔法学校に帰る途中。


「ふぅ……よかった、怒られなくて」


エレナが安堵した様子で、歩みを進めている。


「そういえば、あの人って誰なの?」


「あー、あの人はルドーギルド長。……まあギルドで一番偉い人って言う認識でオッケー」


すると、クロエが私を見つめて口を開く。


「ギルクエ、全制覇するんでしょ」


「うん、そうだよ〜」


そう言うと、クロエは一瞬、笑顔を浮かべる。


「私は全力で手伝うから」


「……クロエ、なんだか楽しそうだね!」


「へへ〜、仲良しですな〜!」


こうして私たちは、誰も成し遂げたことのないギルクエ完全制覇に向けての、スタートラインを踏み出したのだった。


――第6話へ続く。

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