第5話『ギルドの怪鳥』
朝10時、王都魔法学校にて
コンコン
部屋の扉からノックが聞こえる。
ぼんやりとした意識の中、扉に手を掛ける。
「は〜い」
ぼやける中、目を凝らすとそこにはエレナとクロエが立っていた。
「ど〜したの?」
「ど〜したの……じゃないでしょぉ!」
エレナの怒号に頭と目が覚めた。
「えっええ?どうしたの?」
「もう約束の時間から2時間も立ってるんだよ!?」
そういえば昨日、ギルドの依頼に参加するから「今日朝からギルド王都本部に行こう」って言われてたんだった。
「あ〜そうだっけ〜」
「あんたねぇ……」
〜〜少女達移動中〜〜
「ふわぁ〜……眠っ」
「充分寝てたじゃない」
「それがね〜、研究に夢中になっちゃって気づいたら日跨いでた……」
「はぁ?」
「うわぁん、殴らないでぇ」
「殴らないわよ!あと常習的に殴られてるような言い方やめて」
へへっ、やっぱエレナはからかいないがある。クックック
「ここだよ」
クロエが指を刺す。
その先にはなかなかオシャレな雰囲気の建物があった。
「ここがギルド?」
「そう、この王都のギルド本部」
ギルド本部……
ここから色々な任務が出てくるのかぁ、楽しみだなぁ。
「すみませーん」
エレナが受付してる女の人を呼んだ。するとすぐに受付はきた。
「はい、エレナ様とクロエ様」
「それと……リリス様!」
「リンケル上級魔法使い様から話はお聞きしています」
リンケル上級魔法使い?誰のことだ?あのおっさんのことかな?
「リンケルって誰?」
「は?あんた知らないの?」
クロエが目を見開いて聞いて来た。
「学長だよ」
驚愕しているクロエの代わりに
エレナが答えてくれた。
「あ〜そんな名前だったんだ」
「そんな名前って失礼な!」
へへっ、そんな人の名前なんて覚えるもんか!(まあ、そもそも聞いてないだけだけど)
「えーっと……リリス様は爆破魔法の正当化の名目でお越しいただいたんですよね?」
ちょっと気まずそうに受付が聞いて来た。
「あ〜そ〜だね」
「では早速依頼の紹介をさせていただきます!」
と言うと後ろの棚から一枚の紙を取り出して来た。
「こちらが、今回の依頼の内容です」
その紙にはこう書かれていた。
___________________
『粉砕!爆砕!大怪鳥!』
目的:ホルホルの狩猟
場所:フリル森丘
依頼主:森の伐採機
俺の仕事場の森でいつも通り仕事をしていたら、後ろから物音がするな、と思い振り向くととても大きな鳥がクチバシを振り下ろして襲って来たんだ!どうか安全のためにもやっつけてくれ!
報酬:3000ゼリア
___________________
「ホルホル……?」
「フリル森丘に沢山いるモンスター、それほど強くないからリリスなら余裕だよ」
ってエレナに言われた。
フリル森丘、どこなんだろう?
それと依頼主が森の伐採機って?
機械が依頼してるの?
「あんた、今「森の伐採機って誰?」って思ってるでしょ!」
エレナが聞いて来た。
「えっエスパー?」
「へん、あんたの考えてることがわかるようになって来たかも〜」
「エレナ、それってリリスくらいバカになったってことだよ」
クロエの鋭い一撃、エレナに効果は抜群だ。
「は?」
「あの〜早く行かない?」
全く〜、世話の焼ける奴らだ(特大ブーメラン)
「そうだね、行こう!」
「そいえばさ、フリル森丘ってどんなとこ?」
「ん?あんたが住んでた所よ」
えっ!?
私が住んでたとこなの!?
今初めて名前知ったかも。
てことは久しぶりに私、家に帰れ……って、もう私の家ないんだったぁ。
「昔は、大きな火山地帯だったんだけど急に火山が枯れて緑に溢れたそう」
「それも数万年前の話だけどね」
クロエが私の疑問に答えてくれた。ほう、昔は火山地帯だったのか!私みたいな奴が爆破してマグマまみれにしたのかな?
ガタッガタッ
「あっ!すみませーん!」
エレナが手を挙げて走ってくる何かを止めた。
「よし、行くよ!」
「エレナ、これ何?」
「えっ!あんた馬車すら知らないの!」
へへっ、私ずっと森にいたからそういうの知らないな〜。
なんか楽しいな〜!
「まあ、とりあえず乗って!」
私たちは馬車?と言う乗り物に乗った。
「どちらまで?」
馬に乗った男がエレナに尋ねた。
「フリル森丘まで」
「了解!」
〜〜少女達移動中〜〜
「10ゼリアです」
「はい」
「ご利用ありがとうございましたー」
ガタッガタッ
「ふー、ついた!」
といってエレナが何かを空に打ち上げた。
「何それ?」
「これはギルドにクエスト開始の合図を送る物」
「時間が経っても帰ってこなかったら色々と問題になるし、その対策で定期的にギルドの人が安否を確認しにくるの」
へ〜……へ〜……
私の小さい頭じゃ、理解できないや。なんでたかが魔物なんかにそんなのが必要なんだ?別に私は負けないしいいでしょ。
「リリス、爆破しすぎないように」
とクロエが私に言った。
そうだった。
ギルドで爆破魔法を使えるようにするために私はここに来たんだ。
「あっ、そうだね」
「そういえばどこに居るの?鳥」
「まず探すの、それがギルドクエストの基礎」
「へ〜」
「興味なさそう」
え〜、探さなきゃいけないの〜?
この大きな森の中から〜?
大変すぎじゃない?
「森を平にして探すのは?」
「絶対やめろ!」
エレナが本気の顔をしている。
やったら確実に殴られる。
「全く、早く探すよ」
「私はこっちの方を探すよ」
「じゃあ私は反対側を」
エレナとクロエが先に探しにいっちゃった……
私はどうすればいいの?
サボってていいかな?
ガサガサ
「ん?」
ガサガサガサ
「なんかいる……」
ガサガサガサガサ
――ホルルルルル!
で……出た!
自分から出て来てくれた!
よーし、早速倒すぞ!
「行けっ!徹夜で研究した新爆破魔法」
「爆破魔法《ブラストバー……」
「いや、ダメだ」
「爆破魔法《ブラスト・弱》」
これでよし!
危ない、また森を消すところだった。
――ドガァァァァン
あっ……
ドタドタドタドタ
「ちょっ、何事!?」
「リリス……あんたまさか……」
先に探しにいってたエレナとクロエが戻って来た。
「あっ、いや、これは……」
そういえばレベルカンストしてるんだったぁ……
弱い爆破魔法でも並以上の爆破になっちゃうんだった……
バサッ
「ん?」
「って!もう倒しちゃったの!?」
そういえば例の鳥に撃ってたんだ、忘れてた。
「全く……このことは責任持ってギルドに言うしかない……」
「あ〜もう!リリスめ!」
へへっ、すまないねエレナ。
〜〜少女達移動中〜〜
「すみません!」スミマセン
勢いよくギルドに土下座をした。
「私がリリスの事を見てなかったからぁ……」
「いや、そんな頭をあげてください」
とギルドにお偉いさん(たぶん)が言った。
「今回に関してはリリスさんの爆破魔法のレベルが高すぎたのが原因ですし、悪いのは貴方達ではありません」
「で、でも……」
「あのぉ〜……」
秘書さんみたいな人が会話を挟んで資料を持って来た。
「こちら……」
「ん?」
_________________
『爆破魔法の威力実験』
Lv.1
ダメージ:1000
地形破壊:0
Lv.10
ダメージ:10000
地形破壊:1
Lv.50
ダメージ:65000
地形破壊:6.5
Lv.75
ダメージ:97500
地形破壊:9.5
Lv.99
ダメージ:128700
地形破壊:13
________________
「ほう、なるほど」
「この資料を見る感じ、Lv.9までは地形破壊はほぼないようです」
「なるほど」
「それと今までの爆破魔法が使える魔法使いの最大レベルはリリスさんを除いて30レベルほどとなっています」
「ふむ、つまりリリスほどの魔法使いでなければ地形破壊はそれほど問題にならないと」
「はい、おそらく」
「うむ、わかった」
といってギルドのお偉いさんが立ち上がった。
「爆破魔法を正式に許可しよう!」
「やった〜!」
「やったね」
「あっそーだね」
「なんでリリスが一番盛り上がってないんだよ!」
エレナの的確なツッコミ。
確かに爆破魔法は私のメイン魔法だけど、それ以上にエレナが喜んでて反応に困った。
「それとリリスさん、今回程度の地形破壊なら許可しますが前回のような大規模な爆破は控えてください」
へへっ!
これからはブラスト弱なら使ってもいいらしい!
これから忙しくなるぞ!
「よし!じゃあこれからギルクエ制覇目指すぞー、」
「おー」オ〜