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第58話『ありがとうアクアリウム!』

【翌日】


「今回の作戦で、死者は――人か」


「はい、メジュライトによる被害は居ませんでしたが、ヴォルフによる被害が激しく、今回確認できた死者よりも多くの犠牲者が出ているかもしれません」


全ギルド冒険者が招集され、ドゥケイル先導の下、会議が行われている。


「……レナァ、お腹すいた……」


ぼんやりとする意識の中、辛うじてエレナの体を掴んでいる。


「こら、寝るんじゃない!」


「はぁ〜い……ねむねむ……」


――


結局寝ており、気づいたら会議は終わっていた。


「もう、結局寝てたし」


「いやさ〜、魔力を一気に使い切るより、魔力を少しずつ使い切るほうが体に来るんだよ〜」


すると、背後から声をかけられる。


「リリス・ハルカ殿、少し時間をくれないでしょうか」


振り向くと、ドゥケイルが顎髭をいじりながら私の後ろに立っていた。


「あ、ドゥケイルのオッさん!」


「ちょ、リリスゥ!!?」


ドゥケイルは軽く微笑みながら口を開く。


「オッさん呼びとは……なんだかアリスに似てきましたね」


「ん、アリス?」


「おっと失礼。アリスはとてもあなたに似ていたのでね」


ドゥケイルは一瞬だけ遠くを見るような目をしてから、軽く肩をすくめた。


「口調や間の抜け方が、よく似ているだけですよ。

 緊張する場面ほど、妙に力が抜けてしまうところも」


「なにそれ、褒めてる?」


「ええ、少なくとも前に会った時も変わっていませんでした」


それ以上は何も語らず、ドゥケイルは話題を切り替えるように咳払いをした。


「あまり六戒師の話をするのはよくないですね。話を戻して、あなたたちに頼みたいことがあるのです」


「頼み事〜?」


ドゥケイルは目を瞑り、何かを思い出すと、再び口を開く。


雷海竜メジュライト……本来は、雷の大陸(ボルテカ)にしか生息していない魔物なのです」


「え、じゃあなんで水の大陸(アクアリア)にいたの?」


私の問いに、ドゥケイルは一瞬黙るが、再び口を開く。


「恐らく……ボルテカ側で何かがあったのではないかと、我々は予想しています」


「それで、どうして私たちにその話を……?」


エレナが心配そうに尋ねると、ドゥケイルは真剣な眼差しを向けて語り出す。


「私は、あなたたちを信頼しているからです」


「……へ?」


――


「ヤダヤダヤダヤダ〜!お家に帰りたい〜!!」


「しょうがないでしょ!もう引き受けちゃったんだし……てか、アンタも嫌なら否定しなさいよ!」


「だって〜……!!」


エレナが考える間もなく引き受け、ボルテカ行きが確定した。


「あ、クロエじゃん」


突然エレナが走り出す。その先にはカフェで飲み物を飲んでいるクロエと、その隣でクロエにちょっかいをかけてるカルデラがいた。


「って、なんでカルデラまでいるのよ……」


「あら、ダメだっかかしら?」


クロエはすごい嫌そうな顔をしながら、コーヒーを飲んでいた。


「ところでルインは?クロエと一緒だと思ってたのだけれど……」


「ん」


クロエが視線を向けると、その先には魔導書を振り回すルインと、ルインの攻撃を受け流すグレーがいた。


「あ、あの大バカ野郎……!」


エレナは鬼の形相でルインの方に走り出す。私もエレナについていく。


「うぉぉぉぉ!このオカマ野郎がッ!!」


「あらァ〜、そんなに怒ってちゃ可愛いお顔が台無しだわァ〜」


「黙れッ、元々顔面台無し野郎がッ!!」


暴れるルインを取り押さえるように、エレナが背後から抑える。


「バカルイン!こんな街中で迷惑でしょ!」


「だ、誰がバカだ!このバーカ!!」


暴れるルインを横目に、グレーが話しかけてくる。


「リリスちゃん、ドゥケイルのお爺さんから聞いたけど、ボルテカに行っちゃうんだってねェ?」


「ん、あ〜知ってるの?」


「もちろんよォ〜?なんだってワタシはアクアリアギルドのNo.1冒険者なんだからァ〜!」


グレーの口から放たれた言葉に衝撃が走った。


「えぇ!?そんなにすごい人だったの〜!?」


「あらァ〜、知らなかったのォ〜?」


「確かに強いと思ってたけど、そんなにすごい人だったとは……!」


すると、カルデラが近くに来ており、悲しそうな顔で私を見つめていた。


「リ、リリスちゃんたち……ボルテカに行っちゃうの……?」


「うん、そ〜だよ!」


突然、カルデラが泣きながら抱きついてくる


「ヤダヤダ!私、リリスちゃんと離れるの嫌だー!」


「アンタはもう大人なんだから、私たちを困らせるな!」


エレナの強烈なチョップがカルデラの頭に命中する。


「痛い……!」


すると、足元から低い声が聞こえてくる。


「ならば、俺たちもついていけばいいだけの話だろう」


足元の影から、アルベドが顔を出す。


「お、アルベド〜!居たんなら出てくればよかったのに〜」


アルベドは、這い上がるように影から体を出すと、エレナの前に立つ。


「俺たちがボルテカに同行する事は出来ないか?」


「え、んー……私はいいけど、ドゥケイルさんが許可するかは……」


「その事なら心配いらないわァ〜!」


突然、グレーが飛び上がると、ギルド本部の方へ飛び立って行った。


「相変わらず元気だね〜」


すると、カルデラがゆっくりと立ち上がり、エレナの前に座る。


「私もついて行っちゃダメ……?」


「ちょ、そんな顔されたら……拒否できないじゃん」


――


結局、カルデラも同行する事となり、宿に戻って支度を終わらせた。


朝日がのぼり、アクアリアを照らす。


「じゃ、またね〜」


アクアリアの港でアクアリウムに大きく手を振る。


港には、多くの市民が手を振って見送ってくれた。


「それにしても、俺を頼ってくれるなんて、ドゥケイルのおっちゃんも良い根してるな!」


「ドリアって元海賊だから適任じゃん!」


「前にも言ったが俺の名はドリスだ!まあ、ドリス・ドリアだからドリアでも合ってるんだけどな!」


少しずつアクアリアの姿が小さくなっていく。


「ところで……なんでルナまでついてきてるの?」


しれっと、私の隣にルナが座っている。


「べ、別にアンタについてきたわけじゃないんだから!」


「じゃあアルベドに?」


すると、ルナは頬を赤らめて、私の肩を叩く。


「違う違う違う!からかうなー!!」


――


3時間くらい経った頃。突如として、海が荒れ始めて、船員がアクアリア方面に指を指しながら大声で叫ぶ。


「竜だァァァァ!!」


その声を聞きつけたエレナやアルベド。全員が甲板に登ると、大きな翼を広げた竜が全速力で船を追っている。


「うわぁぁぁぁ!?あんなのここで倒せないよ〜!!」


「やばい、アタシたち、海の藻屑にされるゥゥゥゥ!!?」


『うわァァァァ!!?』


嵐に紛れて、私とルインの叫び声が響く。


「黙りなさい!」


エレナのチョップが私とルインの頭に入れ込まれる。


「大丈夫、あの竜は……」


巨大な青色の鱗を輝かせる竜は、船に近づくと、速度を落として船と並走する。


水王竜ユアリア


『リリスよ、無事であったか』


ユアリアは巨大な口を開くと、声が発せられた。


「えっ、喋れるの!?……てかなんで私の名前知ってるの」


『……あまり多くは語らぬ、ボルテカに着いたら……"雷王竜ライミライ"に出会うんだ』


「えっ、ちょ!」


ユアリアはその言葉を残して、アクアリア方面へと飛び立ってしまった。


「ライミライ……」


前方には微かに稲妻が光っているのを目撃した。


――


【少し前、ドゥケイル視点】


地下へ続く階段を降り、大きな扉の前に立つ。


ゆっくりと扉を開くと、真っ暗な部屋に光が差し込む。


「んあ?ドゥケイルか」


部屋の中央の円卓には6本の蝋燭が刺さっており、そのうち3本は火がついていない。


「リアルよ、アリスはどうした」


「ああ、アイツはもう帰ったよ。『楽しいことが起こりそうなの』だってよ」


すると、リアルが勢いよく円卓を叩く。


「なにが『楽しいこと』だァッ!舐めんのも大概にしやがれよ、あのクソ野郎ォッ!」


「リアルよ、落ち着け。まず、なにがあったのか説明しなさい」


私の言葉に、リアルは深く呼吸すると、再び口を開く。


「アイツが最後に言った言葉……教えてやるよ」


リアルは一瞬黙り込む。


「『"禁忌の魔物(リヴァイアサン)"は復活する』……だとよ」


「なに……」


(バカな、リヴァイアサンは30年前に封印した……アリスもその事は合意し、封印を解除しないとも言っていた……なのになぜ)


汗が額を下る中、リアルが再び口を開く。


「だからよ……」


リアルは低く息を吐いた。


「俺は、"リリスを殺す"」


――第59話、ボルテカ編へ続く。

第3章『ボルテカ編』!


※1〜2週間ほど休載させていただきます。

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― 新着の感想 ―
どうでもいいけどよ30年前って微妙に新しくね? 次回のボルテカ編楽しみにしてます
2026/01/13 10:57 シーカーを作ったK
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