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第57話『死滅海竜』

風を切りながら、爆破の勢いで雷鳴の響いた根本へ向かう。


「アルベド、雷海竜メジュライトはどこ!」


「この先だ」


アルベドと共に、アクアリアを駆け抜ける。すると、再び雷鳴が鳴り響く。


「被害が広がる前に急ぐぞ」


「……了解!」


――


雷光を切り抜けると、エレナの背中が見えて来た。その場には数十人がメジュライトを取り囲んでいた。


「エレナ〜!」


受け身を取り、エレナの足元に着地する。


「リリス、強敵よ……!」


エレナが杖を構える先には、大きな結晶のような翼を広げた、メジュライトが空気を痺れさせていた。


「アイツがメジュライトか〜」


「相変わらずね、リリス……」


エレナが魔力を溜めると、辺りが燃えるように空気が揺らぐと、魔法陣が勢いよく燃え盛る。


炎魔法ギガフレア!」


炎が地面を燃やしながら、メジュライトに向かって、勢いよく放たれる。


炎が地面を抉り、灼熱の奔流となってメジュライトを呑み込む。


「当たった……?」


爆音と共に、煙と蒸気が辺り一面を覆った。


だが――


「……っ、まだだ!」


煙を切り裂くように、青白い雷光が走る。


「上ッ!」


上空を見上げると、メジュライトが蒼い光を纏い、雷雲がメジュライトを包み始める。


「アレは……」


「マズイッ、全員離れろ!」


アルベドが叫ぶと、空気が震える。

空気には微かな電気が含まれており、触れるだけでパチっとした痛みが襲う。


(アレ……もしかして、死ぬ?)


周りには既に冒険者は居らず、私だけがメジュライトの標的として狙いを定められている。


「リリスッ……!!?」


雷雲が勢いよく裂けると、蒼白い雷光が勢いよく放たれる。


爆破魔法ブラスト……!」


咄嗟にブラストを放つ。


ブラストは空気を揺らしながら、雷光と衝突する。


「今のうちに退避しなきゃ……!」


急いで、エレナのいる方に向かって走る。


しかし――


「リリス、急いで……!」


エレナが焦った表情で駆け寄るのを見て、振り返る。


ブラストは雷光を抑えていたが、少しずつ魔力が相殺されていき、今にも消えてしまいそうだ。


防御魔法セーフティー……!」


エレナが私の体を地面に押し付けるように、体の上にのしかかると、防御魔法を展開する。


ついには、ブラストが押し負け、防御魔法にぶつかる。


「ぐ……リリス、今のうちに……!」


「だ、ダメだよ……そしたらエレナが!」


雷光が密林を覆うと、衝撃で地面が抉れる。


「私はいいから……!」


すると、突然私の体が空を飛ぶように移動する。


「アルベド、なんで……!」


「お前に死なれるのは困る……特に、奴に勝つにはな」


影から腕が伸び、私の体を安全圏に下ろされる。


「エレナ、エレナ!」


私がエレナの所に向かおうとするが、アルベドに抑えられる。


「なんで邪魔するの!これじゃあエレナが……!」


「だから――」


すると、勢いよく雷光が再び煌めくと、魔力が一気に消えたように感じた。


「エ、エレナ……!」


急いでエレナの元に駆け寄る。

地面はいまだに電気が走っており、空気もピリついている。


「はぁ……はぁ……」


「エレナ!」


「……リリス、私は無事だよ……!」


雷光は一切通らなかった。

だが、エレナは全ての魔力を使い果たし、その場に崩れ落ちた。


「魔力切れ……運んで、リリス」


「もう、よかった……エレナが無事で!」


エレナを担ぐと、アルベドの元へ戻る。


しかし、再び空気が揺れる。

ふと、メジュライトを見上げると、再び雷光を溜めて、私たちに狙いを定めている。


「マ、マジ……!?」


「リリス、奴は恐らくさっきので魔力を消耗している。だからお前のブラストで相殺できるはずだ」


アルベドの言葉を信じて、杖を構えると、杖の先端に魔法陣を展開する。


「その言葉、信じていいんだよね!」


魔力が魔法陣に集中していき、あたりに火花が撒き散る。


「いっけ〜!爆破魔法ブラスト!」


雷光が放たれると同時に、ブラストを勢いよく放つ。


「これで吹き飛ばしてやる〜!」


雷光とブラストが触れ合う寸前、突如としてメジュライトがよろけた。


頭から血が溢れ出しており、墜落しそうにフラフラと対空している。


「え、何事!?」


「おう、大丈夫か?嬢ちゃん」


突然、低い声で私を呼ぶ声が、背後から聞こえた。


「誰……?」


振り返ると、大きな体で視界を防ぐように立ち尽くし、メジュライトに指を指している男がいた。


「ハハハ、忘れちまったか。俺はドリス、ドリス・ドリアだ」


ドリス


レストランで出会った元海賊のリーダー


「あ、あの時の!」


「お、思い出したか!」


ドリスは低く笑うと、指をメジュライトに指す。


「嬢ちゃんの魔法、今初めて見たがすごいな。俺の魔法とは比べ物にならないくらいになる……だけど、俺の魔法も見てほしいな」


すると、ドリスの指の先に魔法陣が展開される。


魔法陣に魔力が溜まると、勢いよく魔力が放たれる。


狙撃魔法スナイプ、俺はこう呼んでるぜ」


スナイプの魔力は、メジュライトに向かって一直線で飛んでいく。


一瞬にしてメジュライトを貫くと、メジュライトはもがくように、海に飛んで行った。


「追うぞ」


アルベドがそう言うと、真っ先に影を伝ってメジュライトの後を追っていく。


「じゃあ俺たちも行くか」


「そうだね」


すると、突然体が宙に浮き、体を振り回される。


「そんじゃあ投げ飛ばすから操作は頑張ってくれ」


「うわわわわぁぁぁぁ!!?」


そのまま、勢いよく体がメジュライトの方に投げ飛ばされる。


「バカやろ〜め〜!!」


――


広大な海を前に、メジュライトは私たちを目にもくれずに飛んでいく。


「海に潜られたらマズい、リリス。アイツを吹き飛ばせ」


アルベドが目の前で影に潜ると、私の体を足元から持ち上げて、メジュライトと直線上に立たされる。


「了解!」


魔力を溜めて、魔法陣に集中させる。


そして、勢いよく爆破魔法を放とうとしたその時


(あ、あれ?)


メジュライトが振り向き、口から雷光を放っているのが見える。


「ちょ、アルベドおろして!」


「何をしているんだ。早く撃て」


「撃てって……」


再びメジュライトを見ると、既に視界を雷光が覆っていた。


(あ……)


咄嗟に爆破魔法を撃つ。


しかし、爆風と魔力同士の衝突の衝撃で後方に吹き飛ばされる。


「うッ……いたた」


「しまった……」


アルベドは膝をつき、その場に固まる。


「アルベド、ごめん……」


「いや、お前の責任じゃない……だが――」


――ドガァァァァン


突然、轟音が響き渡り、雷光が光る。


「なんの音だ」


「……行こう!」


――


アルベドと共に、急いでメジュライトが飛び立った海辺に向かう。


「なっ……」


アルベドが言葉を失う。


私もその光景を見て、立ち尽くした。


「メジュライト……は死んだ?」


力無きメジュライトが、海面に流されるように浮かぶ。


さっきまで空気を震わせていた雷の気配は、嘘みたいに消えていた。


「な、なぜだ……頭の傷か?いや、メジュライトはその程度じゃ致命傷にはならない……じゃあなぜだ」


アルベドがメジュライトに近づき、海水を触る。


「ッ!……とてつもない電流が流れている」


「……戻ろう。ドゥケイルに知らせなきゃ」


メジュライトの亡骸は、死に際の電撃に巻き込まれたであろう魚の死骸と共に、砂辺に打ち上げられた。


――第58話へ続く。

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