第44話『変な男と重い魔法 1 』
【次の日】
体を伸ばして、太陽の光を浴びる。
「んん〜ッ!よく寝たぁ〜!」
「おはようリリス、今日は準々決勝だよ!頑張ってね!」
「なんか早いな〜。第一回戦って、もう3〜4日前だったよね?」
今日は第二回戦、準々決勝だ。
「相手、なかなか強いらしいから気をつけてね!」
「ちょっと、私が負けると思ってるの〜?」
「心配なのよ、アンタ防御魔法使えないから!」
するとルインが肩から顔を覗かせる。
「大丈夫だろ、リリスの爆破は信頼できるんだ!」
「まあそれもそうね、リリス……絶対に無理だけはしないのよ!」
「は〜い!」
――
「それじゃあ頑張って!」
「じゃ〜ね〜!」
コロシアムの受付でエレナたちと別れ、そのまま受付に案内されて選手待機室につく。
「ん〜!今日はまだ私だけだぁ」
部屋を軽く見渡して、部屋の一番真ん中のベンチに座る。
「そういえば、今日の対戦相手だれだろ」
ベンチから腰を上げて、日程表を見に行く。
「え〜っと……?
準々決勝第1組〜
"爆破魔女 リリス・ハルカ" 対 "重い漢女 グレー・ハザマ"」
「漢女?なにそれ」
日程表を見ながら独り言を言っていると、突然肩を叩かれる。
「あらァ〜?あなたが今日のお相手かしらァ〜?」
なぜか目の前に壁が立ちはだかっていて、一歩後退りする。
「壁……?」
少し視界を上げると、顔が見えた。唇は赤色で頬は薄いピンク、目の周りは濃いピンクで化粧している男が立っていた。
「あらァ〜、ワタシは壁じゃないわよぉ〜?」
「それと漢女じゃなくて漢女よォ〜?」
(この人、目の前にいるだけで魔力が消耗されてる気がする……一体どんな魔法なんだ……?)
その男は近くのベンチに座ると口を開く。
「ワタシはグレー・ハザマよォ〜?グレーちゃんって呼んでちょうだァい?」
「……グレーちゃん?なんか変な名前〜」
「ちょっとォ〜、変ってなによォ〜!」
すると、選手待機室に入場準備のアナウンスが入る。
「あら、時間ねぇ……リリスちゃん、ワタシは手加減はしないタイプなのよォ〜?」
そういうと、グレーはスキップしながら反対の通路を進んでいった。
――
『赤コーナー!今大会の優勝候補の一角、可愛い見た目とは裏腹に勝負となると話は別!グレー・ハザマッ!』
鉄の扉の向こうでグレーが入場したのを実況と歓声で理解する。
すると、目の前の鉄の扉が音を立てて上昇し始める。
『青コーナー!今大会のダークホースッ、強敵を爆破で薙ぎ倒してきた天才少女ォ!リリス・ハルカッ!!』
(……!?)
入場して、思わず息を呑んだ。
さっきまでの軽薄な笑顔は消え、
グレーはただ、こちらを真っ直ぐに見つめていた。
その視線だけで、理解してしまった。
――この人、強い。
思わず魔力が溢れ出てしまうほどの圧だった。
―― 第45話に続く。




