第43話『海の回帰と炎気』
アルベドと話し終わった後、宿に戻りエレナたちと合流した。
「ただいま〜!」
「おかえりリリス!話はどうだった?」
「なに言ってるかわからなかった〜!六戒師がなんとか、特等術師とかなんとか〜?」
するとエレナの瞳から探究心が溢れ出してくるように見える。
「ちょっと、その話聞かせなさいよ!」
「な、なんでよ〜エレナなら知ってるでしょ〜?」
「だって、高等術師しか知らない情報なのよ!そんな情報を知る機会があるなんて最高じゃない!」
ふと部屋を見渡してクロエを探すが案の定いない。
「クロエに聞けばいいじゃ〜ん」
「だってクロエは話してくれないもん。一人で行動したりする癖にルールには結構忠実だから」
「も〜しょうがないな〜」
――
【同時刻、クロエ視点】
とんでもない魔力と気配が背筋を震わせる。
(この先に……行かなきゃ大変だ……でも)
「怖くて前に進めない……私は変われない……」
足を無理矢理前に出そうとするが、風が吹いていないにも関わらず、足が勝手に後ろへ下がってしまう。
「ッ……海の回帰……!この先にッ……」
「待て、動くな」
突然背後から話しかけられる。背後を振り向きたいが、ただならぬ魔力が体を硬直させる。
「この先は恐らくアリスの子が眠っている。君じゃあ太刀打ちできない相手だ。だから俺が行こう」
男はゆっくりと視界に入ってきて、とんでもない魔力で結界のようになっている道を軽々と進んでいく。
(なんであんなにスラスラと進めるの……一体何者……!?)
「待って……あなた、何者……?」
男を呼び止めると、男は立ち止まりこちらを振り返る。顔は包帯巻きで見えないが、確かにその瞳には嘘偽りない覚悟を感じ取れた。
「王、とだけ言っておくよ。世界を正すためのね……」
その王と名乗る男は再び歩みを進める。彼の足元が触れた場所にはあの悍ましい魔力がなく、綺麗に足跡だけがその場に残った。
「やはりこの先は危険……一旦戻ろう。リリスたち、大丈夫かな……」
その場から離れるように、アクアリウムへ戻ろうとする。
「……でもやっぱり」
それでもリリスたちの安全とプライドもあるため、諦めきれない。
「今行かなくていつ行くんだ……今、行かなくては……!」
意を決して忌々しい魔力の領域に足を踏み入れる。
(やっぱり怖い……でも決めた事は絶対にやる……!)
外側に吹き飛ばされないように、力を込めて足場をしっかりと捉える。
「行かなきゃ……秘密はわからない、そうでしょクロエ・アルヴェリア……!」
吹き飛ばされそうになりながらも足を一歩、また一歩と足を踏み出す。
(視線ッ……!)
近くの木にしがみつくように身を隠す。
(今、確かに誰かに見られた……だけど、魔力的に上等程度……!)
意を決して、木の影から姿を現す。
「私が相手してあげる、矛盾魔法に弱点はない」
――第44話に続く。




