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第40話『迫り来る幻影 2 』

『試合開始ッ!』


審判の号令がコロシアム内に響き渡る。それと同時に、アルベドは地面を蹴り上げ私に向かって飛びかかる。


幻影魔法ミラージュッ!」


アルベドの周りを魔力が包むと、突然アルベドが3人に増える。


(この魔法……あの時の!)


「ひひ、私も行くよ〜!爆破魔法《ブラスト弱連》!」


魔法陣を3つ展開して、3人のアルベドを捉える。


「発射ァ!」


魔法陣から魔力が、3人のアルベドに放たれる。


その魔力は3人のアルベドに当たると、爆発を起こす。


「よし、ヒット!」


しかし、爆破跡が残るだけでそこには何も無い。熱だけが虚しく残り、命中した感触がどこにもなかった。


「あれ?」


――その瞬間。

背後から、今までとは比べものにならない魔力を感じる。


(ま、真後ろッ……!?)


後ろを振り向くと、アルベドが私に蹴り掛かる。右腕でアルベドの蹴りを防ごうとするが、その反動で大きく吹き飛ばされる。


(つ、強い……魔法使いなのに、蹴りが……!)


ガシャーン――。

体がコロシアムの壁に強く激突し、衝撃で壁が一部崩れる。


「い、痛い……」


背中と右腕に激痛が走る。


(今の一撃だけでこんなに……早く決着をつけないと!)


起きあがろうと体を起こすと、正面から再びアルベドが飛びかかってくる。


「まずッ……!」


咄嗟に腕で体を守る、アルベドの蹴りが飛んできたと思ったがその蹴りは空を切るように外れた。


(あれ……外れた?)


そのまま立ち上がり、一歩前に進もうとした瞬間、背中を叩き割るような一撃を受ける。


(ウソッ……いつのまに……!?)


そのまま体は前に飛ばされて地面に叩きつけられる。


「グ……強いッ……」


「もう終わりか、リリス・ハルカ?」


ゆっくりと足音を立てながらアルベドが近づいてくる。


「はぁ、はぁ……爆破魔法ブラスト!」


魔法陣を高速で展開して、アルベドめがけて爆破魔法を放つが、やはり空を切り不発に終わる。


(高速移動が……一体どうやって……)


そのまま立ちあがろうとした瞬間、アルベドと目が合う。それもアルベドは私の影から顔を出すようにして。


「影、影だッ……!」


しかし時すでに遅く、アルベドの拳が私の体を軽々と宙へ打ち上げた。


「ぐはッ……」


そのまま体は地面に落下し、衝撃で視界が歪む。


(まだ、まだ戦える……本体はもう見破れる……勝ちの目は見えた……!)


拳を握りしめながらゆっくりと立ち上がる。


「アルベド、私と鬼ごっこだッ……!」


血反吐を吐きながらも、ゆっくりとフィールドを歩き回る。


地面に魔力をこぼしながら――


「鬼ごっこか、わかったお前のペースに合わせてやる」


アルベドは私を警戒しながら、私の道筋を歩いていく。


――


5分ほど経っただろうか。

すでにコロシアム上を埋め尽くすほどの魔力の源は設置できた。


(あとは起爆するだけ……!)


立ち止まり、その場で足踏みをする。


「どうした、走る気になったか?」


「いや、違うね……!勝つ気になったんだよ!」


勢いよく地面を足で踏みつけると、大きな魔力の円が現れる。


「地雷だよ、踏んだら起爆しちゃうから気をつけてね!」


「地雷……ふん、笑わせてくれる。踏まなければどうということは……なっ!?」


アルベドが地面を見ると、さっきまでなかったはずの地雷が足元まで迫っていることに気づく。


「なに、さっきまでここには……!?」


アルベドを囲うように次々と周りに地雷が設置される。


「しまった……!」


「これが爆破魔法ブラストダウン、地雷源を設置すれば魔力はどんどん伝わって地雷となる!つまり、お前の足元にも地雷がもうある!」


アルベドの周囲を囲っていた地雷から魔力が染み込むように、アルベドの足元に地雷が生成される。


「くッ……!」


ドカァァァァァン


爆音と共に黒煙が立ち上がる。

ドサッという鈍い音と共に、黒煙が晴れると中から倒れたアルベドが現れる。


『ア、アルベドが……』


実況室の声が再び聞こえる。元々ずっと話していたはずなのに、試合に集中しすぎて全く聞こえなかった。


審判がアルベドに駆け寄ると、右手を振り上げ


『魔法祭典本戦、第一試合!

リリス・ハルカ 対 アルベド・ミラノ!

アルベド・ミラノの戦闘続行不可により、リリス・ハルカの勝利ッ!』


歓声がコロシアムを埋める。その中からルインの絶叫に近い歓声と、エレナの泣き声がよく聞こえた。


「うおぉぉぉぉ!!リリスゥゥゥゥッ!」


「よがっだぁぁぁぁ……リリスしぬがどおもっだぁぁぁぁ……!」


「へへ……私が死ぬわけないでしょ〜!」


――


【試合後、泊まっている宿にて】


「ちゅかれた〜!」


試合の魔力消費と、ダメージ蓄積による疲れでなす術なくベッドに吸い込まれていく。


「お疲れ、リリスゥ!やっぱリリスはスゲェよ!」


「そうかなぁ?ありがと〜!ルインもがんばってね!」


ルインも明日が一回戦だからそれに向けて軽くストレッチをしている。


エレナは泣きながら私に抱きついている。


「リリスゥゥゥゥ……よかったよぉぉぉぉ!」


「もう、エレナは心配性なんだから〜!」


「前も言ったけど防御魔法使えないから心配なのぉ……」


ふと周りを見渡すが、やはりクロエはいない。


「クロエは発表中なのかなぁ?」


「そう……だったわね。クロエは発表部門だもんね」


体を伸ばして布団を被る。


「疲れたから寝るね〜」


「……おやすみ!」


――第41話へ続く。

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