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第30話『水の魔法使い』

鋭く高いベルの音が部屋に響き渡る。


「ん〜ふぅ」


窓から街を見渡す。まだ空は少し暗く、街の光も少ない。


「エレナ、ルイン、クロエ。起きて!」


3人の体を揺すり、起こそうとする。


「……リリス、早いね」


一番最初に起きたのはクロエ。次にエレナが体をゆっくりと起こす。


「んーッふぅ……リリスが早起きなんて珍しい……」


「へへん!今日は予備戦の初戦だからね!」


「応援してるよ、リリス!」


話を遮るように壮大な落下音が静かな部屋に響き渡る。


「な、何事!?」


ふと音の鳴った方を覗くと、ルインがベッドから落下していた。


「なんだ、ルインか〜」


「もう、大丈夫?」


エレナがルインを揺すると、ゆっくりと目を開く。


「……もう朝ぁ?」


「今日はリリスの初戦。全力で応援しないとだよ!」


エレナの言葉に、ルインは目をパッチリと開く。


「おし、任せろッ!」


――


「おお、ここが会場か〜!」


アクアリウムの住宅街から少し離れた場所にとても大きなコロシアムが立ち尽くす。


「観客席も多いらしいわね、予備戦でも数千人が見に来るらしい?」


「うおぉぉぉぉテンション上がってきたッ!」


小走りで受付に向かう。


「あの〜予備戦の1組目に出るリリスですけど〜」


受付内に呼びかけると、受付が奥の部屋からゆっくりと現れた。


「リリス・ハルカ様ですね……確認いたしました!それでは選手待機室へご案内いたします!」


「それじゃあ、ちゃんと応援してね〜」


「わかってるよ、頑張ってね!」


――


エレナたちとは別れて受付についていき、選手待機室に入れられる。


「お、日程表かな?」


壁に貼られていた日程表を眺める。


「1組目1回戦、"爆破魔女 リリス・ハルカ"VS"水の妖精 ルナ・シャル"」


「ほうほう、対戦相手はルナって言うのか……しかも水、爆破魔法の苦手な相手だ……」


日程表を眺めていたら、背後から肩を叩かれる。


「あなたがリリス……?」


「ん〜?」


後ろを振り返ると、青く長い髪をなびかせて澄んだ水のような瞳で私を見つめている少女が居た。


「そうだよ、じゃあ君がルナ?」


「はじめまして、私はルナ・シャル。水魔法を極めてるの、周りからは"水の妖精"って呼ばれてるわ」


「私も周りから"爆破魔女"……じゃなくて"爆破研究家"って呼ばれてるよ!」


私が話し終えると、ルナの表情が少し深妙な面持ちに変わった。


「そういえば、爆破魔法ってギルドでは禁忌とされていなかったかしら……」


「あ〜そのことなんだけど、受付出来てるし……あとガクチョウさんが許可の申請出してくれてるから大丈夫だよ〜!」


「学長……あなた、インフェルナから来たでしょ?」


突然出身地を言い当てられ、驚きを隠せない。


「えぇ、なんでわかるの!?」


「あなたの魔力の感じがインフェルナの人っぽかったから。それに、学長って聞いたらリンケルさんが一番最初に思い浮かぶもの」


ルナはそう言い残すと、部屋の扉に手をかけて退出しようする。


「ちょ、ちょっと待って。どこ行くの?」


「どこって、試合会場よ?試合開始時刻は午前8時から」


慌てて時計に目をやると、針は7時30分を指し示していた。


「そ、そうだったの〜!?」


「なに、知らなかったの……?」


「あばばば……準備しないと〜!!」


急いで荷物をまとめて、身だしなみを軽く整え、部屋を出る。


「行きましょう、手加減は無しよ?」


「わかってるって!」


「ふふ、爆破できるかしら……爆破魔女さん?」


ルナは不敵な笑みを浮かべると、会場スタッフに連れられて、その場で別れた。


――


ずっしりとした重い金属音が響き、ゆっくりと鉄の扉が開かれ、会場の光が差し込む。


「お〜」


とても広い砂場と、その周りを囲む観客席。観客席に座っている大勢の観客が目に入った。


「リリスゥゥゥゥ!!ガンバレェェェェ!!」


観客の歓声を切り裂くような大声でルインが私を鼓舞する。


「お、ルインだ!ヤッホ〜」


ルインに手を振るとルインは手を振り返す。エレナも私に手を振ってくれていた。


「ひひ、これなら頑張れそうだ!」


すると、鈍い金属音を奏でて反対側の鉄の扉がゆっくり開かれる。


「爆破魔女さん、せいぜい私を楽しませてもらうわ」


反対側からルナが現れるが、顔には右側だけ欠けた仮面を取り付けていた。


「へへ、こっちのセリフだよ〜だ!」


両者の出場が完了したのを見て、審判が勢いよく手を挙げる。


「予備戦第1組目!

リリス・ハルカ 対 ルナ・シャル!

これより試合を開始する!!」


審判の号令と共に、花火が打ち上がる。地面がかすかに震え、観客席から歓声が一気に噴き上がる


「試合開始ッ!」


審判が大きな声で号令をかけると同時に、地面を蹴り上げてコロシアムの外に飛び立つ。


(――来る。この初戦、絶対に負けられない!)


視界の中央でルナがゆっくりと魔法陣を展開している。


――第31話へ続く。

2章幕間『魔法祭典・予備戦編』開幕!

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