表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/7

第2話『爆破魔女、連行される』

朝。

森の外れ、旧城跡地で――


「うぅ……地面ってこんなに冷たかったっけ……」


私はリリス・ハルカ。

昨日の《エスケープ・ブラスト》で、愛しのマイホームが爆散した結果、今は野宿生活中。


「くぅ……昨日の反動で身体がバッキバキ……」


寝起きでストレッチしてると、どこからか軽やかな足音が聞こえてきた。


「おや? こんなところに女の子が一人で?」


パチン、と風を切る音と共に現れたのは――


「……だれ?」


「私はエレナ・ルーシー。王都付近の巡回係よ。こんな所で何をしてるの?」


やたら整った顔立ちと、白銀のローブ。そして無駄にキラッキラした笑顔。

魔法使いっぽい。しかも階級高そうなやつだ!


「……べ、別に? 野宿だよ、野宿。旅の途中的な? 超健全!」


「ふーん? でもこのあたり、最近何度も爆破音がしてるって通報が来てるのよね〜?」


ピクリと眉が動いた。

やば。バレた?


「そ、それは風の音じゃないかなー? この辺、竜巻も起きるし!」


我ながら怪し過ぎる。

エレナが鋭い目つきで睨んでくる。


「じゃあ王都で少し話を聞かせて。ね?」


しってた。

ま、まずい…

こいつに捕まったら…

考えるだけで身の毛がよ立つ。


「遠慮しとく〜!!」


ダッシュ!

捕まったら終わりだ〜

逃げよう


……しようとしたけど。


拘束魔法クローズ


バシュッと何かが飛び、私の足元に魔法陣が広がったかと思えば――


「うわあっ!? な、なにこれ、動けない!?」


「やっぱりね……あんたが“例の爆破魔女”だったのね!」


キリッと目を細めるエレナ。


あー……完全にバレた。


「ちょ、ちょっと待って! 昨日も王国軍に追われたばっかなんだけど!? さすがに2日連続はキツいって!」


「その王国軍からの通報で、私がここに来たの。ということで――連行します!」


「いぃぃ〜やぁぁ〜だぁぁあぁああ!!」



王都・尋問室。


椅子に縛られた私は、なんとも言えない居心地の悪さを感じていた。


「ふむ。貴様が“爆破魔女”リリスか」


「いや“爆破研究家”って呼んでほしいな〜。ね?」


「うるさい! 貴様の爆破によって、王都の騎士寮は震度3の揺れを記録したのだぞ!」


「それで済んでよかったね!」


「黙れ!」


怒鳴られるたびに、椅子がギシギシ揺れる。

もうこれ、精神的ダメージのほうが大きいんじゃない?


――と、そこに。


「おやめなさい」


部屋に入ってきたのは、ローブを着た白髪の老紳士。

周囲の兵士たちが、慌てて直立不動になる。


「学長さま!? なぜこちらに?」


「彼女の魔力波形を解析した。……面白い。実に面白い。

 この娘、並の魔術師とは違う。推薦する」


「は?」


……推薦?


「王都魔法学校、特別研究員枠での入学を認めよう。

 リリス・ハルカ。君には、“爆破魔法”の未来を託す価値がある」


「……」


……えっと。

これってもしかして――


「爆破してたら、出世した……?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ