第27話『珍味を探せ!』
―チャリン
「おお〜!ここが巷で話題のレストランか」
「巷で話題どころか、世界で1,2を争う超有名レストランよ!!?」
私たちは、有名レストランのディ・リーズに来ている。人はいかにもお金持ちそうな見た目の人がわんさか居る。
「てか、お金あるの〜?エレナってなんとなくだけど金遣い荒そうだし!」
「失礼ね、私はちゃんと後先考えてるの!あんたと違って!」
ふと床を見ると黒く光る大理石で、所々にダイヤモンドが埋まっている。
「すご〜い、キレ〜!」
すると、店員さんが声をかけてくる。
「いらっしゃいませ。2名様でよろしいでしょうか?」
「この後に2人来ますので……テーブル席で!」
「かしこまりました」
店員さんは私たちをテーブル席に案内する。
「ご注文が決まりましたら、こちらに魔力を使ってもらうと呼び出しできます」
店員さんは静かに立ち去り、テーブルにはメニュー表とお水と謎の水晶があった。
「リリス、何食べる!私が奢ってあげるわ!」
「え、いいの〜?やった〜!」
――
「これと〜これと〜これ!」
「了解、ちゃんと残さず食べるんだぞー!」
注文が決まりエレナが水晶に手をかざすと、水晶が紫色に光る。
「これで呼び出せるのかな?」
すると、店員さんが私たちの席に来た。
「ご注文は?」
「えーっと……」
――
「かしこまりました」
注文を終えると再び静かに厨房へ戻っていった。
「お腹空いた〜クロエたちまだかな〜?」
「きっとまだ追いかけっこしてるわよ」
エレナと話をして待ってると、厨房が何やら騒がしくなってきた。
「ん、どうしたのかしら?」
耳をよく澄ませると――
『なにッ、メシアザメの卵が消えた……?』
『それ以外にも、ウミガモの肝やミズショウロ、サワウニやイカラスミまで……』
どうやら食材が盗まれちゃったみたいだ。
「ねえエレナ、メシアザメの卵ってなに?」
「キャビアよ、三大珍味の!」
「どうしよ〜このままじゃご飯食べれないよ〜……」
お腹もどんどん空いてきて、少しボーっとしてきた。
すると、厨房の奥から店長らしき人が出てきた。
「えー”ディ・リーズ”に起こしいただいたお客様。申し訳ないのですが、食材の一部が窃盗されてしまいました。この中にギルドの方はいらっしゃるでしょうか?どうか奴らから食材を奪い返してもらいたいのです!」
「エレナ、どうする?」
「もちろん、取り返しに行くわよ!」
エレナが勢いよく席から立った。
「その依頼、受けたわ!」
「私も〜!」
「本当ですか!では……」
急に後ろのテーブル席の男の一人が立ち上がり、話に割って入った。
「いや、俺が受ける。お嬢ちゃんたちは引っ込んでな」
エレナは頬を膨らませて、私の耳元で愚痴を言う。
「なによあいつ……私のギガフレアで一発よ!」
男は話を続けて――
「俺は海洋海賊のリーダー、ドリスだ。普段は盗みを主に働いてるんだが……この店には随分世話になったからな、その犯人は俺らがぶちのめすッ!」
男の言葉に店内がざわめき始める。
「皆さん静かに。確かに彼は正真正銘の海賊です。ですが、それは過去の話です」
「そういうことだ。だから俺に任せろ!」
男はそういうと、仲間を連れて店を出ていった。
「食材は彼が取り戻してくれるでしょう。ご注文分は必ず届けますので、一品。お好きなグルメを選んで待ってもらって結構です!」
「だって〜エレナ!私たちも……」
メニュー表を手にしようとしたら、エレナが急に立ち上がった。
「あの男、追うよ」
「え?ちょっと、待ってよ〜!」
エレナが駆け足で店を出て、私はエレナを追って店を出た。
――
「ドリスはこっちに向かっていったわ!」
「なんで追うの〜!もう疲れたよ〜……」
「だってあの男怪しいじゃん!……それになんか腹立つし」
エレナを導くように魔力の光が男が向かった方向へ進んでいく。
「こっちよ!」
「も〜疲れたァァァァッ!?」
疲労で脚に力が入らず、ふらついた瞬間、足元に地面がないことに気づいた。
「ちょ……リリス!?」
「エレナ〜!!助けてェェェェ!」
体が水に少し触れた瞬間、急に体が止まる。
「あ、あれ〜?」
「大丈夫か、嬢ちゃん?」
顔を上げると、さっきの海賊と名乗ってた男が私を持ち上げていた。
「探知つけられてる気がしたから警戒してたんだが……まさかお前だったとは……」
「…….私の魔力隠蔽を見破るなんて……普通の魔法使いじゃ絶対気づかないはずなのに」
「ま、まりょくいんぺい〜?」
――
「なるほどね、ごめんなさい。疑ってしまって」
「いいんだ、俺は疑われるのも仕事みたいなもんだ!」
どうやら海賊の男は既に犯人を捕まえたらしく、今から犯人の"巣"に向かうところだったらしい。
「え〜っと、ドリア……だっけ?」
「ドリスだ、次間違えたらお前のその服の羽を一枚ずつもぎってやるぞッ!」
話をしながら歩いていると、巨大な木を前にドリスが足を止める。
「ここが"巣"だ」
「ここ、アクアリウムの中央広場だけど……本当にここが犯人のアジトなの?」
「アジト?なに勘違いしてるんだ、犯人は人間じゃなくて魔物だよ」
ドリスが木の穴に指を差す。
「あそこにあるはずだ」
「なに言ってんのよ、あんな小さい穴に犯人が……?」
すると、ドリスがポケットから謎の笛を持ち出すと、笛で音を奏で始める。
「わ〜お、スゴ〜い!」
「これで、奴らも出てくるはずだ」
音を聞いた犯人の魔物はついに、木の穴から顔を出す。その見た目は予想を遥かに下回るものだった。
「ま、魔物って……あのネズミ?」
「そうさ、食材泥棒でこの木に住んでる生き物はこいつくらいしかいねー!」
「ふ〜なんか強い奴だと思って構えてたけど大丈夫みたいだよ〜!でも――」
「ねずみの癖に金銀財宝を身体中に身に付けてるのを私は許せないよ〜!私にもわけて〜!!」
ネズミの首にはキラキラに輝くチェーンに吊り下げられているダイヤモンド。そして耳にはエメラルドやルビーで出来たピアス。如何にもお嬢様見たいな面をしている。
「あれはネズミのミッチェル。ここらじゃ知らない人はいないくらい有名なネズミだ」
「なんでネズミがあんなのを付けてるのよ?」
「あのネズミの飼い主がエルディア三大資産王のルーデス・ゴールド。超がつくほどの大金持ちだからだ」
「えェェェェ!?ねずみの癖に大金持ちなの〜?」
私たちがネズミに気を取られて気付かなかったが、いつの間にか中央広場には人集りが出来ていた。
「うわ、いつの間にか人がたくさん」
「ミッチェルは人気者だからな、顔を出すだけでこれだよ」
ドリスはやれやれと言わんばかりの呆れ顔でミッチェルを見つめる。
「食材、俺が直々に採取してくるよ」
「え、取り返さないの?」
ドリスはミッチェルを見つめ、苦笑いした。
「いや……あのネズミから物を奪うのは流石に気が引ける。まぁ海に出るのが俺の仕事みたいなもんだし、最終的には店に届けるから心配すんな」
そういうと、アクアリウムの門に向かって歩いて行った。
「アイツ、よくわからない奴だったね」
「そうね、でも……腕は相当な物だからまた会うかもしれないわね」
「それじゃあ……ってそういえばクロエとルインは?」
突如としてアクアリウムの正門前が騒がしくなる。
「なになに〜なんの騒ぎ〜!」
「なんで楽しそうなのよ!」
目を凝らしてよく見ると、正門でバトルが勃発している。対戦カードは案の定クロエとルイン。
「アイツら……!」
「あ、エレナ〜待ってよ〜!」
エレナは鬼の形相で正門へと向かって行った。




