第25話『大海の先にある水城』
大海原を十数隻の船が侵攻する。
目指すはリヴァイヴが巣食う海域。
「すごい光景だよ〜!」
潮風が船を揺らす。少しずつ、波も荒れてきた。
「クロエ本読んでると酔うよ……ッて遅かったか」
「ゲホ……ゲホ……おェ……」
クロエは相変わらず本を読んでいた。案の定酔って、水面と見つめ合ってる。
「来るぞッ!船員、戦闘準備ッ!」
ギルド長が大声で叫ぶ。大海の先で大きく水飛沫が上がり、黒い影が現れる。天候もどんどんと荒れ、嵐へと変わる。
「すごい……風……リリス……クロエ……吹き飛ばされないように注意して」
「よし……行くよ!」
海面から黒い体が露わになる。
その巨体は顔こそないものの、見えているかのように的確に船を攻撃する。
「喰らえ〜!爆破魔法!」
魔法陣が展開され、魔力が集中する。エレナも負けず劣らず魔法陣を展開している。
「私だって!氷魔法!」
氷魔法が大海の主の体を凍らせる。
次々と魔法や砲撃が大海の主めがけて飛んでいく。
「よし、効いてる!」
「体を凍らせれば、魔力耐性を無効に出来る。さらに氷を通じて体内に直接魔力が入るらしい……」
すると、大海の主が咆哮する。海は荒れ、ギルド長率いる先導の船の一部が破損する。
「マズい、このままでは沈んでしまう!!?誰か、船のバランスを取れる魔法使いはいないか!!」
「落ち着いてください、ギルド長……!!」
船が激しく揺れ、他の船体も激しく打ち上げられる。
「このままじゃ沈んじゃうよ〜エレナ〜」
「今思い出してるの!使えそうな魔法!」
エレナが悩みに悩んで、魔法陣を展開する。
「風魔法!」
魔法陣から魔力が放出され、沈みゆく船体を包み込む。風の力で水を弾き、浮かぶ。
「さすがエレナ〜!」
「なんとか持ち堪えたわ……」
しかし、安堵する間もなく大海の主が私たちの船に向かって突撃してくる。
「うわぁぁぁぁ!こっち来てるぅぅぅぅ!」
「まかせて」
クロエが本を閉じて、船体の先端に立つ。
「矛盾魔法」
私たちの船の前に巨大な盾が立ち塞がる。その盾に向かって大海の主が突撃してくる。
「喰らえ、大海の主」
巨大な盾が大海の主を受け止め、弾く。巨大な盾が変形して剣になり、大海の主を切り付ける。
「リリス、今の内に」
「よし、行くよ〜!」
巨大な魔法陣を大海の主に向けて展開する。
「爆破魔法!!」
超高密度の魔力を大海の主に向かって放出する。爆破魔法が大海の主の体に触れると、轟音を響かせ、大爆発する。
「すごい……」
煙が舞い、呻き声が響く。海は爆風で海底が顔を出し、雲は不自然に穴が空いている。
「はぁ……はぁ……もう動けないよぉ〜」
魔力消費が激しく、もう動けなくなる。
「大丈夫、リリス?」
すると、煙の中から影が蠢く。
「うそ……まさか生きて……!?」
煙が吹き飛び、中から大海の主が現れる。
「炎魔法!」
しかし、大海の主の体表に亀裂が入り、そこから青白い光が漏れ、視界を遮る。
ギィガアアアアァァァァァ
遥か遠くから大海の主の悲鳴が響く。次第に悲鳴が聞こえなくなるにつれて、大海の主の体が海中に顔を隠す。
「終わったぁ……?」
「たぶんね」
――海が静まった。
荒れ狂っていた波も、まるで息を潜めるように穏やかに戻っていく。
「やったわね……!!」
「またアタシ活躍出来なかったよぉぉぉぉ!!?」
ルインが船の上で暴れて、船が揺れる。クロエは船酔いで海と目を合わせている。
「はぁ……まったく……」
すると、ギルド長が船体の先端に立って語り始める。
「ただいまを持って、炎を喰らうものの討伐を正式に認める!」
船は歓喜で揺れ、海も共鳴し揺れる。
「そして、これから水の大陸へ向かう事を許可するッ!」
ギルド長の背後にうっすらと大きな大陸の影が見えた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
今回、25話で1章インフェルナ編は幕を閉じ、次章アクアリア編へと突入します。アクアリアは水の大陸で水上都市アクアリウムがリリスたちを迎え入れ、新天地で新たな魔法使いと、新たな魔物と出会うことになるでしょう。
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