第19話『大海に潜む影』
〜エレナ視点〜
砂煙が舞い上がる。
あまりの魔力消費にリリスは気絶する。
「はぁ……リリスがあんな魔力を……」
リリスの爆破魔法が残した痕跡は一つの国なら簡単に破壊してしまうほどのものだった。
「リリスめ……やっぱりアンタは……!」
王都近郊は静寂に包まれる。
しかし、その静寂は長くは続かなかった。
地面が揺れ、砂煙が吹き飛ぶ。
「え……嘘……まさか生きて……!?」
砂煙の中から、巨大な影が現れる。しかし、その姿はさっきまでの面影はなく、鱗は落ち、角は破損し、翼を広げる力もほぼ残っていない。
炎王竜、インフェルナに伝わる伝説の竜……
「ッ……早く倒さないと……!」
魔法陣を展開する。
赤く光、橙色の魔力がたまる。
「炎魔法……!」
魔力を瀕死の炎王竜に向けて、放出するが最後の力を振り絞って魔力を払う。
「ッ……クロエ、ルイン……追うよ!」
吹き飛ばされて居ないクロエたちを意味もなく呼んで、炎王竜を追おうとする。しかし、炎王竜は王都に向かうわけでもなく、全く違う方向……大海に飛び立った。
「ッ……なんでそっちに……!?」
「だけど……ここで倒さないと、また王都が危険に晒される……!」
大海に反射する太陽。葵い海を背景に飛び立つ炎王竜を追う。
「飛行魔法!」
体がフワッと浮く。
そのまま、炎王竜の背を追って大海に出る。
「待てッ、炎魔法!」
炎魔法が炎王竜を追って放たれる。そのまま炎王竜の背中を撃ち抜く。
ウギャルルルアアア
炎王竜は悲鳴を上げて、体をフラつかせる。
「これでトドメよ、雷魔法……!」
魔法陣が私の前に展開される。
黄色に輝く魔力が炎王竜を捉える。
「喰らえぇぇぇ!」
魔法陣から放たれる。
魔力が炎王竜に触れる。
ドカァァァァァン
風が吹き荒れ、視界が塞がれる。
「ふぅ……どう……」
風が落ち着き、視界が晴れる。
そこには、ふらつく炎王竜と雷魔法を防いだ謎の魔物……
「嘘ッ……!?」
謎の魔物は炎王竜を狙って水面を暴れるが、炎王竜は遥か遠くへ逃げ去る。
「ッ……コイツをなんとかしないと炎王竜を追えない……」
歯を食い縛る。炎王竜にトドメをさせない事に悔しい気持ちが溢れる。しかし、奴がいる限り、炎王竜を追うことは出来ない。
「ッ……撤退するしか……」
炎王竜がどんどん遠ざかっていく。謎の魔物も私や炎王竜を追う素振りは見せなかった。
「次は必ず倒すわ……!」
――
〜リリス視点〜
「んん……こ……ここは……」
知らない天井で目が覚める。
周りにはエレナやクロエ、ルイン。それに学長とギルド長が見守ってる。
「あッ……リリス!目が覚めたのね!」
エレナが抱きついてくる。
クロエは奥で本を読んでいる。
「ちょっと、エレナ重い!」
「はい?」
私がエレナにデリカシーのない言葉を言い放つ。それにはエレナも逃すはずもなく。
「誰がデブよぉぉぉ!」
「痛い痛い痛い痛い!やめて〜!」
「ほら、エレナさん落ち着いて!」
学長が必死にエレナを慰める。
「ふぅ……まったく、リリスったら!」
「ひひ、ごめん!」
するとギルド長が口を開く。
「今回は炎王竜からここインフェルナ王国を守っていただき、本当にありがとうございました。頭が上がりません」
「そっか、もう倒したのか〜!」
「倒してないよ」
クロエが本を読みながら口を開く。
「あの後、炎王竜が飛び去って大海に逃げた」
「逃しちゃったの〜!?」
エレナがクロエの本を取って、私に見せる。
「コイツ、大海の主が邪魔をしてきて追うことができないの。これまでも大海を出た船が何隻も行方不明になってるの」
「つまり、ソイツを倒さなきゃ炎王竜を追えない」
「なるほど〜じゃあさ!ソイツを倒すために準備をしよう!」
私の言葉にエレナとクロエが笑みを見せる。
「リリスならそういうと思った」
「私たちなら余裕だよ!」
エレナたちの鼓舞にルインも反応する。
「あたりまえだ!アタシ、炎王竜戦で活躍できなかったから今度こそ活躍してみせるぜ!」
「よし、じゃあ早速計画を立てよう!」
『おー!』〈おー




