第十五話 「 後悔 」
第十五話 「 後悔 」
「日も暮れてくる頃だし、今日はこの辺で休みましょうか。
勇者とモジャはテントの用意をお願い。私は辺りに結界を張ってくるわ」
「はぐれたら危ないから、遠くへは行くなよ」
「キノコもいりませんぞーー」
「わかってるー。キノコにはもうこりごりよー」
リンは木々の間へと姿を消した。
残された俺とモジャはテントを張り、次に夕食の準備に取りかかる。
パスタと、モジャが持っていた乾燥肉を一緒に茹で、乾燥肉は食べやすい細さに切る。
パスタ、乾燥肉、玉葱をニンニクとオリーブオイルで炒め合わせ、味付けはシンプルに塩胡椒。
隠し味にちょっぴり醤油をたらして出来上がり!
うーむ、食欲をそそる香り!
「ほぉ、美味しそうですな。わしはこの数日間、この硬い肉をひたすらちびちびかじりながら過ごしてきましたからなぁ。勇者殿の料理には感激ですぞ」
「料理と言えるほどの物じゃないけどさ、喜んでもらえるなら良かった。
俺が子供の頃、母ちゃんが仕事から帰るまでの空腹が辛くてさ、いつの頃からか料理するようになったんだ。
生ものは持ってこれなかったから、モジャの乾燥肉、ありがたいよ。
‥ それにしても、リンは遅いな」
「道に迷ってしまったのかもしれぬ。探しに行きましょうかの」
「そうだな。行こう」
俺とモジャは、リンが進んだ方向へ進む。
が、リンの姿は見えない。
「おーい、リン!どこだぁ?」
「どこにおるんじゃー?」
リンを呼びながら雑草をかき分けて進む。
リンの紫色のローブ、赤みを帯びた髪の毛の一本も見当たらない。
「リーーーーン!どこだぁーーー?返事をしてくれーーーー」
森の奥へ足を踏み入れるにつれ、胸騒ぎがしてきた。
「リーーーン!どこだぁーー?」
いっそう力を込めて叫ぶ。
するとようやく
「‥ ここよぉぉぉ」
前方から、かすかにリンの声が聞こえてきた。
「向こうの方ですぞ」
「よし。行ってみよう」
声が聞こえた方向へ、俺達は急いだ。
「おーい、リン。近くにいるかー?」
「すぐそばにいるわよぉぉ‥ 」
今にも半べそ状態のリンの声を耳にした。
そして、声の方向へ振り向いた瞬間、俺達は驚愕した。
そこに見たのは、変わり果てたリンの姿だったから。
正面に見えた大木の真下に、巨大な芋虫の姿があった。
十メートル以上はあろうかという巨体。
紫色の体表は、赤い小さな針のような体毛で覆われ、頭と思われる部分には、複数の黄色い目玉。
その姿にリンのローブ姿を重ね、リンをひとりで森へ行かせた事を悔やんだ。
「リン‥ 」
リンの姿に絶句した俺は、力なくその場に膝をついた。
モジャは震える声で呟く。
「魔物に呪いをかけられてしもたのか‥ 」
森の木々がザワザワと音を立てて揺らめいた。




