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初恋強盗  作者: 御神大河
84/203

桜ノ宮家はスーパーリッチ

 今日から一泊二日の合宿という名の旅行である。

 彩夜と楓に出発を伝えてから出たかったんだが、二人とも早朝はぐっすりだしな。

 母さんもまだ帰ってきてない。

 というか、ちゃんと帰ってくるんだろうか?家の鍵とか大丈夫だろうか?失くしてたりして。

 そもそも持ち歩いてんのか?わざわざ帰る前に一報入れてきたんだし、鍵持ってないんじゃ……。

 だとしたら、彩夜と楓を起こした方がいいか?じゃないと、母さんが家から追い出し状態に。

 鍵を開けとく?いやいやいや、それは防犯的によろしくない。

 ただ、今は朝の6時だぞ。

 さすがに母さんを待つためだけに起こしたら不機嫌になるよな……。

 結局オレは9時にセットされた目覚ましを大量に用意して出発した。


『楽しみね!』

「そうだな」


 駅で詞と合流すると桜ノ宮の家へと向かう。

 桜ノ宮家のプライベートビーチには桜ノ宮が車を出してくれるらしい。


「桜ノ宮の家って始めて行くな」

「ボクも。なんかすごそうだよね?」

「近くまで来ればすぐわかるって言ってたしな。豪邸とかなんだろうか?」

「なんか緊張してきちゃった」

「オレも」


 桜ノ宮の言ってた通り、桜ノ宮の家はすぐにわかった。


「学校くらいの広さがないか?入り口どこだよ!」

「あそこじゃない?」

「門構え……さすが名家だな」


 ピーンポーン


 オレは門についているインターホンを押す。


「「……」」

「出ないな」

「もう一回押してみよ?」


 ピーンポーン


「はい。桜ノ宮でございます」

「あ、本日こちらで待ち合わせをさせていただいてます、湾月と申します。

 真姫さんはいらっしゃるでしょうか?」

「ああ。湾月様ですね。少々お待ちいただけますでしょうか?」

「はい」


 しばらく待っていると門の向こうから使用人らしき女性がやって来た。

 あれが、桜ノ宮が言ってたお手伝いさんか?


「大変お待たせいたしました。湾月様、瑠璃花様。

 わたくし、桜ノ宮家使用人の朝宿(あすく)と申します。

 お嬢様は正門の方でお待ちしておりますので、申し訳ございませんがご足労いただいてもよろしいでしょうか?」

「あっ、はい」


 正門!?ってことはここ裏門!?

 どんな家だよ。

 オレたちは桜ノ宮家の敷地内を通って正門へと向かう。

 敷地内は思ったよりも自然的というか……草花が整枝されておらず、伸び放題になってる箇所がかなりある。まぁ、こんだけ広い屋敷だし当たり前か……。

 正門にはすでに桜ノ宮だけでなく村雨も藍川も揃っていた。


「おっ、やっと来た」

「ちょっと時間過ぎてるわよ!夏休みで弛んでるんじゃないかしら?」

「すまんすまん」


 いや、それどころじゃないから。

 桜ノ宮家の門の前にスタンバってるその長い車なに?

 そんなもんゲームの世界でもほとんど見たことねーぞ。まさか、それに乗っていくのか?


「では、皆さんお揃いのようですし、出発させていただきます。

 どうぞご乗車ください」


 そう言うと朝宿さんはリムジンのドアを開く。

 桜ノ宮は当たり前のことのように乗車していったが、当然一般家庭出身のオレたちは尻込みする。


「だ、誰から入る?」

「誰からでも一緒だろ?」

「ほな、湾月から入りぃや」

「え!?」

「なにしているのかしら?」


 桜ノ宮に急かされたこともあり、オレから順番に乗車する。


「お、お邪魔しまーす。おお、まじか……」

「すごーい!ホテルの一室みたい!」

「あかん。緊張するわ」

「どこに座ればいいの?」

「どこでもいいわよ。適当に座ってちょうだい。そうだ、飲み物は何がいいかしら?」


 そう言うと桜ノ宮は備え付けの冷蔵庫らしき場所から冷えた飲み物を出す。

 座席はとんでもなく柔らかいし、ライトは蛍光灯みたいに長いし、でかいモニターは付いてるし、もう何が何やら……。住んでる世界が違うわ。

 オレはふわふわした状態で海へ向かうこととなった。



「「海だーーー!!!」」

『海だーーー!!』

「あかん。海に着いたのに落ち着きを感じ取るわ」

「オレも」


 桜ノ宮家の別荘からは海が一望できる。

 青い空!青い海!人っ子一人いない白い砂浜!

 しかしなぜだろう、高級車で運ばれたせいで素晴らしい自然の景色が日常に感じる!……こともないや……。

 人数分用意されたパラソルとサマーベット……沖合にはクルーザーらしきもの……。

 なかなかできる体験でないとは理解しているが、遠慮が勝つな……。


「ご宿泊中に何かお困りのことがございましたら、わたくし朝宿に何なりとお申し付けくださいませ」

「え!?朝宿も一緒にお泊りするの?」

「当然です。わたくしはお嬢様の貞操を守るようにと旦那様より申し付かっております故」

「て、て、貞操って……そんなことにはならないわよ!!」

「いえ、高校生の男女が一夜とは言え同じ屋根の下で過ごすのです。今はその気がなくとも深夜のテンションで間違いを起こすことは大いに考えられます。

 あっ、お嬢様以外にはわたくし口出しいたしませんので、ご自由にしていただいて構いませんよ。

 では、わたくしはこれで。皆さま存分にお楽しみくださいませ」

「朝宿!!」


 朝宿さん、とんでもないことぶっこんで行きやがったな……これじゃあ、各々変に意識しちまって上手いこと好感度上げづらいだろ。

 はっ!?まさか、それが狙いか!?

 ……やるな。


「と、とりあえず、せっかく海に来たんだし。

 泳がない」

「う、うん」

「せ、せやね」


 あーあ。思った通り完全に朝宿さんの術中だよ!

 ここは冷静でいられているオレが、固まった空気を解さないと。


「その前に荷物置こうぜ。桜ノ宮、悪いんだけど部屋案内してもらっていいか?」

「ええ、もちろんよ。各々荷物を持ってついて来てもらえる?

 湾月くん、わたしの荷物運ぶの手伝ってもらっていいかしら?」

「ああ。──って多くないか!?

 こんなにたくさん何入れてきたんだよ?」

「乙女の荷物は詮索しないのがマナーというものよ」

「そうっすね」


 オレたちは桜ノ宮の後について桜ノ宮家の別荘へとお邪魔する。


「「すごーーーい!!」」

『別荘って感じー!!』


 ほへー。これはすごいな。

 ふかふかの芝の庭に奥にはプール。

 建物はガラス面がやたら多く、なんと言うかホテルや旅館よりは家に近いが確実住宅地に会ったら浮くであろう絶妙な感じ。


「えっと、実はあんまり部屋がなくって、男女で二部屋に分かれるでいいかしら?

 みんなでリビングで寝るってのでもいいのだけれど……」

「いや、桜ノ宮はリビングで一緒には寝れないだろ。朝宿さんの監視もあるし。

 でも、せっかくみんなで止まりなんだし桜ノ宮以外はリビングで寝るか!」

「え!?それはズルいわ!!」


 いや、ただの冗談だよ?そんなに必死になることないだろ?というかキャラ崩壊してないか、桜ノ宮?

 あと詞、真に受けてオロオロしない。


「ん゛ん゛。んぐっ。あはははは!あかん。おもろいわ!」

「桜ノ宮さんってかわいいのね!」

「え!?ど、どういうことかしら?」

「単なるジョークだよ。男女別々で寝るから部屋に案内してくれ。……くくく」


 桜ノ宮は耳まで真っ赤にして怒る。


「あっ……あっ……あっ……湾月くんは外で寝て!!」

「やって!あはははは!」

「いや、だからちょっとしたお茶目な冗談だって。ごめんな、桜ノ宮」

「許してあげない!」



 結局、オレの迫真の土下座に加え、詞と村雨、藍川の説得もあり、桜ノ宮はオレが別荘で寝ることを許してくれた。

 しかし、涙目になるほど怒るとは今後は自重しよう。

 と、ふざけてないで攻略に集中せねば。

 海と言えば肉体美!……は脇腹のマークのせいで披露できないし、ナンパからの救出……はプライベートビーチだから相手がいないし、ビーチバレーからのポロリ……は運動できるメンツじゃないんだよなー。

 後は、温泉で混浴ハプニングは現実的じゃないし、肝試しは……出来るんだろうか?

 ……あれ?海のイベントってほとんど無理じゃね?

 どうするか……。

また読んでいただきありがとうございます!

『初恋強盗』の84話です!!

今回はプライベートビーチへの移動回!!

桜ノ宮家が超ビップで感覚がバグる。

果たしてこの合宿で親密度は上がるのか!?

次回は浜辺でのドタバタ回!!お楽しみに!


忌憚ない批評・感想いただけると嬉しいです。

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